【宝塚記念】雨が降ればレイパパレには負けない! 京大競馬研はクロノジェネシスの連覇に自信あり

京都大学競馬研究会

宝塚記念インフォグラフィック1ⒸSPAIA

上半期を締めくくるGⅠレース

6月27日(日)に阪神競馬場で行われる宝塚記念(GⅠ・芝2200m)。今年はやや小粒なメンバー構成で少し寂しい感じは否めないが、それでもグランプリ3連覇を目指すクロノジェネシスをはじめ、大阪杯を完勝したレイパパレ、天皇賞(春)3着のカレンブーケドールなど、強力牝馬勢が揃い楽しみな1戦だ。

近年強い牝馬がここも制圧するのか、はたまた牡馬勢が一矢報いるのか、過去の傾向や今年の勢力図なども踏まえつつ予想していく。


過去10年宝塚記念通過順ⒸSPAIA


まずは宝塚記念の過去の傾向を見ていく。過去10年の宝塚記念について3着内馬のコーナー通過順を見ていくと、少頭数の場合は前が残りやすい傾向が出ている。過去10年で15頭立て以下となったのは4度あったが、そのうち3度は道中4番手以内の馬が3着内を独占している。例外はサトノクラウンが制した2017年だが、前半にアップダウンの激しいペースを刻んでからのロングスパート戦で、先行勢が苦しくなったものだ。

逆に16頭立て以上の場合は、道中二桁番手の馬が追い込んでくるケースが多い。これは頭数が多いと馬群を捌きづらくなることを懸念し、中団勢の仕掛けがワンテンポ早くなりがちなことや、有力馬が早めに前をつぶしに行くことが原因だろう。今年は13頭立てとなったため、道中余程ペースが乱高下しなければ基本的には先行勢が有利になると見てよいだろう。


クロノジェネシスvsレイパパレ どっちが強い?

次に、今年の宝塚記念におけるメインテーマとも言える「クロノジェネシスvsレイパパレ」の力関係について考察してみる。両馬を比較する材料として、コース及び馬場が似ていた2020年宝塚記念と2021年大阪杯を取りあげる。

2020年宝塚記念のレースラップは
【12.3 - 10.9 - 11.4 - 12.7 - 12.7 - 12.4 - 12.4 - 12.4 - 11.9 - 12.1 - 12.3】

2021年大阪杯のレースラップは
【12.4 - 11.1 - 12.1 - 12.1 - 12.1 - 12.8 - 12.2 - 12.1 - 11.6 - 13.1】

となっている。宝塚記念を勝利したクロノジェネシスは、残り800mから動いていって残り600m地点ではすでに先頭に立ちそのまま突き放した。これに対し大阪杯を勝利したレイパパレはスタート一息も挽回してハナを切り、最後まで後続に影を踏ませず押し切った。馬場についてはどちらもレース直前に大雨が降ったことで水分を多く含んだ状態だったが、発表や映像を見る限り大阪杯の方が悪化していそう。斤量は大阪杯が55kgに対し宝塚記念は56kg。

これらを考慮すると、タイム面ではほぼ同列に比較していいものと考える。前半1000mは宝塚記念1:00.0に対し大阪杯59.8とほぼ同じ。ラスト3Fについて見ていくと、クロノジェネシスは【11.9-12.1-12.3】とほぼ一定のペースで突き放していったのに対し、レイパパレは【12.1-11.6-13.1】と、後続に迫られた600m~200mにかけてペースを上げて突き放し、最後は流れ込んだ形だ。

つまり両馬が一緒に走った場合、3角過ぎから押し上げてくるクロノジェネシスをレイパパレはどう凌ぐかという勝負になってくる。この場合、1ハロン12秒前後の脚を最後まで持続できるクロノジェネシスの方が有利であると言える。良馬場スローペースでラスト3F11秒台を続けるレースになればレイパパレの方が有利だろうが、重馬場で消耗戦になればなるほど、最後までバテずに脚を使えるクロノジェネシスが有利になっていくだろう。


牝馬3頭の順番は?

以上の点を踏まえて本命はクロノジェネシス。金曜時点だと、日曜は1日雨が降る予報であり重馬場での開催が濃厚だ。ならば、前項で述べた通りバテずに最後まで脚を使えるクロノジェネシスが一番強い。実際、稍重以上の馬場であれば4戦4勝のパーフェクトである上に、全て着差は2馬身以上という鬼っぷりだ。

特に昨年の宝塚記念の内容は異常なレベルで強く、最後まで余裕を持ったまま坂があるラスト200mでもペースを落とさず突き抜けた。またスタート自体も下手ではなく、少頭数であればある程度位置をとることも可能なので、前残りにも対応できる。今回はドバイ帰りとなり疲労が不安という見方もあるだろうが、今年は国内の古馬中長距離重賞もタフで、疲労の溜まりやすいレースが多かったため国内組とも大差ない。馬体も回復し状態は問題なさそうなので大丈夫だ。

対抗はカレンブーケドール。いつもワンパンチ足りないが常に安定した成績を残しているのは強みだ。クロノジェネシスとは何度も対戦しているが、道悪では2戦2敗で着差は2馬身から2馬身半。道悪でのクロノジェネシスの強さを考えれば善戦していると言え、このメンバーの中では上位だろう。また、前走でも見せたように先行力がある馬であり、少頭数の宝塚記念にマッチした脚質でもある。大崩れはなさそうで相手筆頭に据えるにはもってこいだ。

3番手はレイパパレ。前項で述べたように雨が降って重馬場になるならばクロノジェネシスには及ばない。また前走は迫ってくる後続に重馬場適性がなかったため楽に突き放すことができたが、今回は重馬場の鬼が迫ってくる。必然的に早めにスパートせざるを得なくなり最後は垂れてしまうと見て3番手とする。また、気性的に難しい面もあり初めての2200mも課題だ。とはいえ、前走の大阪杯で見せたパフォーマンスは非常に高いものであり、6戦無敗と底を見せていないのは魅力的だ。牡馬勢には負けないと見てこれ以上評価は下げられない。

アリストテレスは、確かに2200mへの短縮はプラスだが重馬場は歓迎でない。また今年は道悪のAJCCと阪神大賞典、ハイペースの天皇賞(春)とタフなレースばかりを使ってきており、疲労が残っていそう。上がり目が残っているとは考えづらく、実力的にも少し足りないか。前走で差は僅かだったとはいえ、ハイペースを前付けして早め先頭だったカレンブーケドールに対し、その後ろで溜めて追い上げたアリストテレスでは着差以上に差があると見たい。3着までといったところだ。

キセキは昨年くらい走れば2着争いに絡んできそうだが、流石に7歳となった衰えが見えてきている。前走のクイーンエリザベス2世Cでは4着だったが、上位とは完全に差をつけられての完敗だった。こちらも重馬場適性を活かして3着までか。

買い目については万が一クロノジェネシス単勝が2倍つくのであれば単勝1点勝負だ。ただ、流石にそう甘くはないと思われるので、3連単◎→○▲→○▲にかなり厚く、最後にレイパパレが大きく垂れた場合に備え、3連単◎→○→△×を抑えとする。(文:川崎)

▽2021宝塚記念予想印▽
◎クロノジェネシス
◯カレンブーケドール
▲レイパパレ
△アリストテレス
×キセキ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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