【京都記念】各馬の仕上げにも注視の一戦 近走が不利続きの伏兵は?

坂上明大

2021年京都記念の参考レースⒸSPAIA

ⒸSPAIA

各馬の仕上げにも注視

京都競馬場の改修工事の影響で阪神芝2200mに施工条件が替わる今年の京都記念。別定戦でドバイシーマクラシックや大阪杯のステップに使われる反面、GⅡで賞金が高いだけにここを目標とする馬も多い。純粋な地力だけでなく、仕上げ面にも気を使わなければならない一戦だ。

宝塚記念らしい超タフ競馬

【宝塚記念】
レース直前の豪雨により馬場状態が悪化。トラックバイアスも「外有利」に変化し、当日の好走馬直線平均進路は前日から約3頭分外に広がった(土:3.3頭目/日:6.4頭目)。ペースは60.0-61.1の前傾1.1秒。重い馬場状態も相まって「後有利」の競馬であった。

3着馬モズベッロは馬群の後方で待機し、残り800mから進出開始。能力があってこそではあるが、展開が向いた感は否めない。ラスト1Fのタイムからも上位2頭には力差を見せつけられた形だ。

9着馬ダンビュライトは外目3番手で運んだが、展開不利もあって4角で後退。次走の京都大賞典でも展開や馬場が向かず、近走はバイアスに反した競馬が続いている。

13着馬ワグネリアンも好位での競馬。負け過ぎではあるが、展開が向かなかったことは確かだろう。

切れ味勝負の牝馬GⅠ

2020年エリザベス女王杯トラックバイアスⒸSPAIA


【エリザベス女王杯】
京都改修工事により阪神芝2200mでの施行。高速馬場のため単純比較はできないが、同コースで行われる例年の宝塚記念と比較しても勝ち時計2分10秒3は相当速い好時計。当日は上がり3F最速馬が⑨⑫②②①①②着、また上がり3F上位で馬券圏内を独占するレースも複数あったことから、近年の東京芝に似た末脚重視の馬場状態であった。

レースはノームコアが暴走気味に逃げて前後半1000m59.3-59.0。ただ、2番手以降の馬群は前後半1000m60.0-58.3の後傾1.7秒と、トラックバイアスと同じく決め手勝負のレースであったといえるだろう。

3着馬ラヴズオンリーユーは中団待機から勝ち馬の後追い。上がり3Fは11.4-11.2-11.2程度と脚を余した形であり、同様の脚を使ったサラキアが有馬記念でも好走している通り、レースレベルはなかなか高い。ちなみに本馬は有馬記念では進路を失い不完全燃焼であった。あとはドバイシーマクラシックを控えているだけに、どの程度まで仕上げてくるかがポイントか。

不良馬場の地力勝負

【AJCC】
8枠の3頭がレースを引っ張り前半1000mは63.3秒。上り坂から平坦の区間、かつ不良馬場ということを考慮するとまずまずのペースで運んでいる。地力勝負。レースレベルは平均以上。

4着馬ステイフーリッシュは先行策から渋太く粘ったが、ラスト1Fで大きく失速。G1上位勢に真っ向から勝負を挑んだが、少々力が足らなかったか。

5着馬モズベッロは出遅れて後方からの競馬。上がり3Fはメンバー中2位であったが、序盤で楽をした分を考慮するともう少々いい脚を見せて欲しかった。

地力最上位は明白も…

地力ではラヴズオンリーユーが頭一つ抜けているだろう。ただ、ドバイシーマクラシックを控えているだけに、最終追い切りや当日のパドックはチェックが必要だ。展開不利が続くダンビュライトの巻き返しにも要注意。

注目馬:ラヴズオンリーユー、ダンビュライト

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者45000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。


《関連記事》
【京都記念】「前走2200m」かつ「前走先行」の連対率4割 データと浮上する穴馬
【共同通信杯】問われる中距離適性 穴は「前走京成杯組」 当日まで覚えておきたいデータとは
【クイーンC】今年の阪神JF組は危険 前走GⅢ、マイル戦など当日まで覚えておきたいデータとは

おすすめ記事