【阪神牝馬S】スローの瞬発力勝負が定番 注目は前走有馬記念組のライラック、洛陽S勝ちのドゥアイズ
勝木淳
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桜花賞とはコンセプトが違う
4月6日土曜日のメインは、桜花賞と同じ阪神芝1600mを古馬たちが走る阪神牝馬S。翌日の桜花賞を占う指標になりそうだが、意外と結びつかない。昨年は阪神牝馬S(稍重)1:33.9(48.0-45.9)に対し、桜花賞(良)1:32.1(45.9-46.2)。生涯一度の大目標と、GⅠの前哨戦ではコンセプトが違う。同週同舞台の重賞であってもこれほど違う記録になるのは、状況がレースに大きな影響を与えることを示す。改めて、コンセプトや適性といったレースを取り巻く環境に目を向ける大切さを教わる。
ということで、阪神牝馬Sは例年、スローの瞬発力勝負が定番だ。目標はこの先。前哨戦から全開で消耗するような競馬はしたくない。そんな各馬のけん制がゆったりとしたつくりの外回り芝1600mと相まってスローペースを呼ぶ。位置取りを生かすか、瞬発力を繰り出すか。好走するタイプは極端になる。データはマイル戦になってからの過去8年分を使用する。
1番人気【2-2-1-3】勝率25.0%、複勝率62.5%を筆頭に4番人気以内が6勝で堅調だ。3番人気【0-1-0-7】複勝率12.5%には注意したいが、展開の紛れが少ないコースでもあり、実力通りに決まるケースが目立つ。その3番人気も近走不振な実績馬が推されるケースが多く、前走4着以下【0-0-0-6】。勢いのある馬が3番人気止まりなら評価し、巻き返しを期待される存在なら危ないと思っておこう。
一方で10番人気以下【0-3-1-31】複勝率11.4%と大穴の激走もある。こちらも前走4着以下【0-1-1-27】、3着以内【0-2-0-4】。クラスを問わず、前走で好走したのに人気がない馬がいれば、ぜひ買い目に加えてほしい。
年齢別では4歳【4-6-3-33】勝率8.7%、複勝率28.3%が中心も、5歳【3-2-2-32】勝率7.7%、複勝率17.9%、6歳【1-0-3-12】勝率6.3%、複勝率25.0%など差は大きくない。体力勝負の消耗戦になりにくいため、年齢を重ねても立ち回りひとつで好走できる。
ハイペースを勝ったドゥアイズ
今年はJ.モレイラ騎手騎乗予定でもある4歳マスクトディーヴァが中心だろう。前走でオープンを勝った同世代ドゥアイズ、GⅠ・2着馬ウンブライルのほか、5歳は距離を一気に詰めるライラックなど多彩なメンバーが顔をそろえる。
前走GⅠ【1-2-0-8】勝率9.1%、複勝率27.3%は有馬記念組【1-1-0-1】に注目。距離が900mも短くなるため疑いたくなるが、そこはむしろ買いと判断したい。ライラックは2年前の桜花賞以降、一貫して中距離を歩んできたが、休み明けの府中牝馬S3着をみる限り、決着時計が速くならないスローなら対応できる。
前走GⅢ【4-4-6-40】勝率7.4%、複勝率25.9%の内訳をみると、1400mの京都牝馬S【2-2-2-17】勝率8.7%、複勝率26.1%。その3着以内【2-1-1-5】、4着以下【0-1-1-12】で、前走好走が条件になる。5着シングザットソングはデータ上、少し厳しい。
牡馬相手のレースなら東京新聞杯が【1-0-1-5】勝率14.3%、複勝率28.6%。1着【1-0-1-0】、2着以下【0-0-0-5】とさらに好走ゾーンが狭い。6着マスクトディーヴァ、9着ウンブライルはこのデータを覆せるか。基本、前走好走馬が強いレースだ。
前走オープン・L【2-0-0-15】勝率、複勝率11.8%では、ドゥアイズの洛陽Sが【1-0-0-1】。昨年、サウンドビバーチェが11着から1着に反転した。大敗馬の再浮上が難しいレースとしては珍しい結果だった。
ドゥアイズはその洛陽Sを勝って参戦する。洛陽Sは序盤600m33.8、前後半800m45.5-47.1、ラスト600m35.3で勝ち時計1:32.6とハイペースだった。追い込み決着を4コーナー6番手から粘り切った内容は評価できる。問題はスローペースになってどう出るか。前走とのギャップに戸惑わなければ面白い。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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