【キーンランドC】GⅠ実績のあるナムラクレアやウインマーベルが中心 北海道組はシュバルツカイザーに注目

勝木淳

2023年キーンランドCに関するデータ,ⒸSPAIA

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3枠より内は未勝利

米国ケンタッキー州レキシントンにあるキーンランド競馬場は、馬産地の競馬場でもあり、世界的な競りキーンランド・セールの会場としても知られる。

そんなキーンランドの名がついたレースだけあり、過去10年で国内のセール出身馬は13年フォーエバーマーク、17年エポワス、18年ナックビーナス、20年エイティーンガールの4勝。競り市場が活況な昨今、セール出身馬は珍しくないが、今年はキミワクイーン、スノーテーラー、ブトンドールなどそこまで数は多くない。競り会場の名がついたレースだけに、そんな繋がりはないものだろうか。データは過去10年中、函館施行の2013年を除く9回分を使用する。

キーンランドCの人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【2-2-1-4】勝率22.2%、複勝率55.6%、2番人気【1-4-0-4】勝率11.1%、複勝率55.6%、3番人気【2-0-2-5】勝率22.2%、複勝率44.4%と上位人気はそれなりに堅実だ。

サマースプリントシリーズのなかでも後半戦に位置づけられるこのレースは、秋のスプリンターズSを狙う馬たちの始動戦としての顔もあり、前半戦と比べると、骨っぽいメンバー構成になりやすい。今年も高松宮記念2着ナムラクレア、昨年キーンランドCとスプリンターズS連続2着ウインマーベルなど実績馬が顔をそろえる。これらにキミワクイーンらシリーズ転戦馬がどこまで対抗できるだろうか。

キーンランドCの年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢の傾向は3歳【2-3-0-18】勝率8.7%、複勝率21.7%、4歳【3-3-3-19】勝率10.7%、複勝率32.1%、5歳【3-2-3-29】勝率8.1%、複勝率21.6%の3世代が中心。ここは偏りがない。

高齢馬は9歳エポワスが勝ったレースでもあるので、油断できない。6歳以上は【1-1-3-45】勝率2.0%、複勝率10.0%と確率的には下がるものの、複勝圏内に入る可能性は十分想定しておこう。

キーンランドCの枠番別成績,ⒸSPAIA


札幌芝1200mはシンプルなコースレイアウトであり、そこまで枠番の傾向に偏りはなさそうだが、実は3枠より内が【0-2-2-44】で未勝利だ。6~8枠が7勝と外枠優勢ではあるが、まずは内枠が不振だということを覚えておこう。

というのも、開催が進んだ札幌の馬場はこの時期、年によっては傷みが顕著になり、内を開ける攻防が多くみられる。昨年はヴェントヴォーチェがそんな攻防を読んで、外にできた馬群の内側ギリギリを抜け出してきた。同馬は4枠8番で、勝てる限界がこの辺りにあるのか。今年の札幌は3週目が道悪だったが、その影響は次週の競馬をみる限り、そこまでない。馬場傾向の変化もしっかりチェックしよう。

北海道のオープン組は負けた馬も注意

週末は枠順と馬場の関係をしっかり確認しつつ、傾向通りと踏めば、内枠不振を頭に入れて予想を進めよう。では、個別の好走傾向はどんなものがあるのか。ここからは前走成績を中心に調べていく。

キーンランドCの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走国内GⅠは【1-1-2-11】勝率6.7%、複勝率26.7%。始動戦的位置づけでもあり、勝ちきる場面は少ない。今年でいえば、ナムラクレアのヴィクトリアマイルが【0-1-0-1】複勝率50.0%。17年VM5着だったソルヴェイグが2着と好走した。当然、ナムラクレアもスプリント戦に戻れば、成績をあげてきそうだ。また、ナランフレグの安田記念は【0-0-0-1】。

GⅡではウインマーベルの京王杯SCが【0-0-1-1】。21年セイウンコウセイが8着から3着に巻き返した。2着だったウインマーベルは昨年夏から秋にかけての充実を考えれば、当然、候補に入る。

キーンランドCの前走レース別成績(GⅢ),ⒸSPAIA


次に前走GⅢ【4-4-4-40】勝率7.7%、複勝率23.1%について。内訳は函館SS【3-2-2-23】勝率10.0%、複勝率23.3%、アイビスSD【1-0-1-12】勝率7.1%、複勝率14.3%、CBC賞【0-1-0-2】複勝率33.3%とサマースプリントシリーズ組が中心だが、今年は函館SS組しか登録がない。

同じ北海道の函館SSは3着以内【2-2-2-6】、4着以下【0-0-0-16】と好走が必須条件になる。函館と札幌はコースレイアウトや勾配など異なる点もあるが、洋芝という共通項も存在する。同じようなメンバー同士の対戦でもあり、基本は好走馬を選ぼう。今年はキミワクイーン、ジュビリーヘッド、トウシンマカオが候補だ。

キーンランドCの前走北海道のOP・L組、着順別成績,ⒸSPAIA


前走オープン・L【3-2-2-50】勝率5.3%、複勝率12.3%は、大半が北海道組で【2-2-2-41】。函館、札幌と芝1200mのオープンは多く組まれており、今年も候補は多い。その着順内訳は1着【0-1-2-4】複勝率42.9%、2~5着【0-0-0-18】、6着以下【2-1-0-19】と、勝った馬か大きく負けた馬か極端。掲示板まで来た馬の好走はないので、注意が必要だ。

青函Sを勝ったゾンニッヒ、しらかばS勝ち馬シュバルツカイザーや同8着ウォーターナビレラなどが候補に残る。特にシュバルツカイザーは今夏、北海道の1200mで連勝中と充実期にあり、どこまで通用するか楽しみだ。

キーンランドCに関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


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