【関屋記念】マイル適性もあり立て直されたララクリスティーヌ 京都牝馬S以来の巻き返しに期待
山崎エリカ
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新潟芝1600mは意外と前からでも押し切れる
関屋記念は新潟芝外回りの1600mで行われる。ストレートの長い外回りとなると差し有利とイメージしがちだが、過去10年で逃げ馬の優勝2回、2着2回、3着1回と意外と逃げ切りが決まっている。また優勝馬を見ても逃げ~中団までで8勝。2着馬は逃げ~中団までで7回と過半数を越えている。
これは日本最長の最後の直線約659mを意識して前半のペースが上がらないからだろう。過去10年のペースを見ても平均ペース6回、ややスローペース2回、かなりのスローペース2回と全て平均よりも遅いペースで決着している。もちろん、追い込みが届くこともあるが、前からの押し切りも警戒が必要だ。今年はサマーマイルシリーズ第一戦の米子Sで差し、追込馬台頭の流れを作ったノルカソルカと、第二戦の中京記念を逃げ切ったセルバーグが出走。しかし、過去10年の関屋記念の傾向から、極端なハイペースは期待しにくい。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 ディヴィーナ】
前々走は13番枠から出遅れ、促されても進まずに最後方列からの追走。前半3Fは34秒2となかなか速かったが、じわっと後方2列目の外まで挽回して3角へ。ペースが緩んだ3~4角では我慢し、4角で外から中団まで押し上げ、ナミュールに蓋をして直線へ。序盤でその勢いのまま3列目の5番手に上がり、ラスト1Fでバテたロータスランドを交わすと、3着スターズオンアースに1馬身差まで迫った。
前走の中京記念でも11番枠からやや出遅れ、二の脚もひと息でじわっと位置が下がって後方外目を追走。3~4角でルージュスティリアに蓋をしながら中団外まで押し上げて直線へ。ラスト1F手前で伸び始めて2列目まで上がり、ラスト1Fでセルバーグに1馬身半差まで詰め寄った。
本馬は前走時、4角で6頭分くらい外を回るロスの大きい競馬で、見た目に上手くは乗れていない。しかし、M.デムーロ騎手に乗り替わってからは、スタートしてから早めにエンジンを掛けて行く競馬をするようになり、前々走のヴィクトリアマイルでは一変している。つまり、外から自由に動いて行くのがベストであり、内で待たされる競馬は向かない。本馬自身も成長していると見ているが、1番枠には全幅の信頼を置けない。
【能力値2位 ビューティフルデイ】
前走でパラダイスSを勝利した上がり馬。前走は2番枠から好スタートを切って、そこから徐々に控えて前にスペースを作り、中団の最内を追走。3~4角で前のスペースを詰めて、4角出口で中目に出されると、馬群を割ってしぶとく脚を伸ばし、ラスト1Fで4番手。そこからも伸び続け、最後に先頭のメイショウチタンを捉えてハナ差で勝利した。
前走は東京芝1400mで前半3F35秒1-後半3F33秒8のかなりスローペース。逃げたメイショウチタンの勝ちパターンを、末脚をしぶとく伸ばして勝利した内容は褒められる。ただし、最内をほぼロスなく立ち回れており、ハンデも53Kgとやや恵まれた面があったのも確か。
また本馬はデビューからしばらくは芝1600mを中心に使われていたが、そこでは善戦はするものの終いが甘くなって勝ち切れず、距離を短くして差す競馬で上昇した馬。それだけに1Fの距離延長で外枠から距離ロスを強いられる競馬は好ましくない。人気よりも実力があるタイプだが、割引が必要だ。
【能力値3位 アヴェラーレ】
前走の京王杯スプリングCの4着馬。前走は16番枠からやや出遅れ、軽く促されてもそれほど進まずに、後方の外を追走。3~4角でややペースダウンしたが、ここで中目を通して直線へ。序盤で中目のスペースを拾おうとしたが、失敗して前が壁。ラスト2Fでブレーキ気味に外へ誘導する形で後手を踏んだが、ラスト1Fではかなり目立つ脚色で伸びて、半馬身+クビ+クビ差に迫った。
3走前の節分Sでは東京芝1600mで前半4F48秒1-後半4F45秒5の極端な上がり勝負となった中、レッドモンレーヴをマークして好位直後の外でレースを進めたが、直線でさらに差を広げられ、1馬身半差に敗れた。
それゆえに前走時は最後の直線でレッドモンレーヴよりも早めに動いて勢いに乗せる選択をし、中団馬群に突っ込むギャンブルを打ったものと推測されるが、結果的にスムーズさを欠く形。ラスト1F地点でレッドモンレーヴよりも良い脚で伸びて、半馬身差まで迫ったように、完全に脚を余したわけでもないが、スムーズならばもっと際どい決着にはなっていたはず。本馬もややエンジンの掛かりの遅い馬だけに、昨年の関屋記念のようにかなりのスローペースで後半3F33秒0という速い上がりを求められた場合が厄介ではあるが、今年の新潟は昨年よりも時計を要していることもあり、極端に遅い流れにはなりそうもない。有力馬の1頭と見ている。
【能力値3位 ララクリスティーヌ】
前々走の京都牝馬Sで初重賞制覇を達成した上がり馬。同レースでは5番枠から五分のスタートを切り、そこから二の脚でじわっと好位の中目に収めて追走。3~4角でひとつ内に入れて3列目で直線へ。序盤で外に出されると、そこからジリジリ脚を伸ばし、ラスト1Fで2列目まで抜け出して、最後に先頭のウインシャーロットをハナ差捉えて優勝した。
前々走は前半3F35秒1-後半3F33秒9のかなりのスローペース。逃げたウインシャーロットの勝ちパターンを、末脚をしぶとく伸ばして今回のメンバーでは3位タイの最高値で優勝した内容は褒められる。
前走のヴィクトリアマイルは、8番枠からまずまずのスタートを切り、そこから軽く促して3番手を追走したが、最終的にはソダシを前に入れて好位の中目を追走。しかし、3~4角でペースが一気にダウンしたことで、ブレーキを踏み、そこでサウンドビバーチェに入られて中団の中目までポジションダウンする形。直線序盤でも置かれて14着に敗れた。
前走は前半で位置を下げる不利もあったが、最後の直線で伸びあぐねたのは休養明けの前々走で自己最高指数を記録と、好走した疲れもあったはず。最短距離を上手く立ち回ったとはいえ、3走前の芝マイル・キャピタルSを好指数で勝利していることから、今回の距離にも不安はないはず。立て直されて、この中間の動きの良さが目立った本馬の巻き返しに期待したい。
【能力値5位 フィアスプライド】
前々走のターコイズSでは、ミスニューヨーク、ウインシャーロットと接戦の3着と好走した馬。前々走は大外16番枠から出遅れて最後方を追走。それまでのように行きっぷりが悪かったこともあり、道中は無理をさせずに追走し、最後方の外で3角へ。3~4角で後方の外から徐々に進出し、4角で大外から後方2列目で直線へ。序盤で追い出されるとしぶとく伸びてラスト1Fでは中団。最後は2着のウインシャーロットにアタマ差まで迫った。
前々走は3~4角でそこまでペースが上がらなかったことで位置をある程度挽回して行くことができたが、末脚特化型のミスニューヨークを目標に動いて、同馬を上回るメンバー最速の上がり3Fを記録したことは評価できる。
前走のエプソムCでは9着に敗れたが、8番枠から五分のスタートを切って、序盤は2列目の外を追走。向正面で外から掛かり気味に先行するルージュエヴァイユらに行かせて好位の中目と、出遅れず、テンに置かれることもなく先行できたことは評価できる。休養明けで前々走から距離延長、さらに稍重と馬場がタフになったことで、最後の直線で失速しているが、前走くらい距離があっても悪くなさそうだ。今回は1600m戦。スタートと出脚次第ではチャンスがありそうだ。
【能力値5位 メイショウシンタケ】
サマーマイルシリーズの第一戦、米子Sを勝利した馬。その前々走、米子Sでは11番枠から出遅れて、中団よりやや後方の外から追走。前の1番人気馬ジャスティンスカイとのスペースを作って進め3角へ。3~4角では最短距離を立ち回り、4角でスペースを詰め切って出口で中目に誘導すると、好位列の間を割ってしぶとく伸び、ラスト1Fで突き抜けて1馬身1/4差で完勝した。
ただし、前々走はノルカソルカが激しい先行争いを制して逃げ、前半4F44秒9という激流を作ったことで、後方で脚をタメたことが功を奏したことは確か。それも3~4角でロスなく乗られており、上手く脚をタメたことで自己最高指数を記録している。
前走の中京記念では休養明けで好走した疲れがあったようで、出遅れ後の進み具合も悪く、後方を追走。3~4角の最内から直線でも他馬が避けていた内を通す形となり、8着に敗れた。今回は前々走で前崩れの流れを作ったノルカソルカが出走。前々走のような流れになればチャンスがあるが、過去10年の関屋記念の傾向からはそこまでは期待しにくい。
穴馬は昨年のNHKマイルC・3着馬カワキタレブリー
カワキタレブリーはややハイペースだった昨年のNHKマイルCで、後方外から追い込み、3着に善戦した馬。NHKマイルC後に休養し、昨夏の五頭連邦特別で復帰するとその後はやや物足りない内容が続いたが、そこから再び立て直された前々走の湘南Sでは成長を見せることができた。
前々走は大外13番枠から好スタートを切ったが、そこからじわっと位置を下げて、中団の外を追走。3~4角では我慢して、4角の大外から勢いに乗せて直線へ。序盤で追い出されると、そこからしぶとく伸び続け、早めに抜け出したアサヒに3/4馬身差を付けて完勝した。
前走のエプソムCは4番枠からトップスタートを切って、そこから位置を徐々に下げて中団中目を追走。4角で上手く馬場の良い外に出せてはいたが、直線では伸びてこれなかった。前走は初めての芝1800mで距離が長いようにも感じたが、休養明けで好走した疲れもあったはず。今回は得意の芝1600m。前々走やNHKマイルCのように揉まれずに行ければ、ここで変わり身を見せても不思議ない。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ディヴィーナの前走指数「-20」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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