【関屋記念】末脚自慢で新潟外回りは上積み十分 Cアナライズからはアヴェラーレを推奨
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
先週のレパードSではエクロジャイトを推奨し2番人気4着。出脚がつかず自分の競馬に持っていけなかったのが痛かった。さて、今回は8月13日(日)新潟競馬場で行われる関屋記念について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった19頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。
重要データ:人気馬がとにかく強い
シンプルなデータだが関屋記念は人気馬がとにかく強い。1番人気【3-2-3-2】、2番人気【1-0-1-8】、3番人気【1-0-2-7】、4番人気【4-1-1-4】と4番人気以内の成績は【9-3-7-21】で勝率22.5%の単勝回収率145%、複勝率47.5%の複勝回収率97%。一方、5番人気以下の成績は【1-7-3-110】となっていて単勝回収率10%、複勝回収率39%となっている。
堅いレースになる理由として考えられるのは2点。1点目は別定戦だということ。実力のある馬が斤量の恩恵を受けやすく、持っている能力を発揮しやすい。2点目は新潟1600mというコース設定。ワンターンで外回りの長い直線を有するこの設定では、いわゆる「紛れ」が起きにくいのだろう。
【上位人気が予想される出走予定馬】
・アヴェラーレ
・エターナルタイム
・ディヴィーナ
・プレサージュリフト
・ララクリスティーヌ
・ロータスランド
前走不利データ:京王杯スプリングCのアヴェラーレ
アヴェラーレの前走は京王杯スプリングC4着。このレースは前半3Fが34.9、後半3Fが33.7で中間1Fを除けば後傾1.2秒の超スローペース。GⅡのレースとしてはかなり前有利な展開だったことは否めない。
勝ったレッドモンレーヴは4コーナー10番手からの差し切り勝ちだったが、本馬は次走安田記念で6着の実力馬。そのほか2、3着馬は先行勢で、アヴェラーレは上がり最速の32.5秒を使ったものの差し届かずの4着。1着とは0.2秒差だったから十分の内容で、勝つには上がり32.2秒を使わないといけなかったわけで、展開負けと言ってもいい内容だ。
今回は休み明けのレースだが、鉄砲がきくタイプであり、東京より直線が長い新潟外回りで自慢の末脚を発揮してもらいたい。
血統解説:アヴェラーレ、エターナルタイム、ディヴィーナ
・アヴェラーレ
母アルビアーノが米国産馬なので、日本での牝祖は母。アルビアーノは現役時フラワーCとスワンSを勝利した実績馬で本馬はその初仔となる。日本で活躍した近親にはヤマニンパラダイスがいるが、本馬は3代母Auroraを根幹とする枝に属する。
このファミリーはスーパーダービー(GⅠ・ダート10F)勝ち馬のArchやスピンスターS(GⅠ・AW9F)勝ちのAcomaなどがいる。さらに本馬の叔母にはBCフィリー&メアスプリント(GⅠ・ダート7F)などGⅠ・2勝のCovfefeがいる。血統背景は重賞級以上といえるだろう。
早期から息の長い活躍ができる馬が多いことが特徴のファミリーで、本馬の場合は成長力の高いドゥラメンテを父に迎え5歳の今がまさに充実期。馬体重も前走時点でデビュー時の424キロからプラス30キロとなる454キロを計測。古馬重賞で十分に戦える身体となりドゥラメンテ譲りのバネの利いた歩様が持ち味の一頭だ。
・エターナルタイム
日本での牝祖は4代母クリスザレディー。ファミリーからは京都新聞杯勝ちのゲシュタルトや富士S勝ちのクリスザブレイヴが出ている。本馬の祖母タイムウィルテルはフローラS2着、母マジックタイムはダービー卿CT勝ちと一定以上の活力を持ったファミリーだ。
元々極端に晩成なファミリーではなかったが、母マジックタイムの父がハーツクライだった影響からか母は遅咲きの馬だった。本馬は父にロードカナロアを迎えたが、母の影響が強く出ていて、デビュー時の馬体は幼さがかなりあった。すでに古馬の夏を迎えたが、今回が8走目でかなり大事に使われてきている。
トモもしっかりしてきてダービー卿CTを勝った時の母にかなり近づいてきた印象だ。ポジションを取れる強みがあるので大崩れはしないだろうが、決めて勝負になるとアヴェラーレ、ハイペースのバテ合いになるとディヴィーナに軍配が上がりそうで、1着では買いづらい。
・ディヴィーナ
日本での牝祖は3代母ハルーワソング。この一族は日本で多数の活躍馬を輩出しているが、本馬の祖母ハルーワスウィートは別格。ヴィクトリアマイル連覇に加えてGⅠで5度の馬券内という本馬の母ヴィルシーナ(父ディープインパクト)、JC勝ちに加えてGⅠで7度の馬券内の叔父シュヴァルグラン(父ハーツクライ)、秋華賞とドバイターフ勝ちに加えてGⅠで3度の馬券内の叔母ヴィブロス(父ディープインパクト)を輩出。その抜群の活力はヴィルシーナも受け継いでいて、本馬の半兄ブラヴァス(父キングカメハメハ)は20年新潟記念を勝利。本馬も十分重賞を勝つだけの血統背景と言えるだろう。
このファミリーは晩成傾向の強い馬が多いことが特徴で、本馬は父がモーリスだからよりその傾向は強くなっているだろう。ヴィクトリアマイル、中京記念と2走続けて強いところを見せているが、ここにきて本格化したと考えて抑えておくべき一頭かもしれない。ペースが速くなるとより良さが出るだろうから、展開予想も重要だ。
Cアナライズではアヴェラーレを推奨
今回のCアナライズではアヴェラーレを推奨する。4番人気以内に入るかどうかは微妙なラインで、必ず好走データに該当するわけではないが、それ以上に本馬の決め手は魅力的。前走の京王杯スプリングCの内容はかなり強いもので評価すべきだ。
加えて今回のメンバーを見れば絶対ハナを取りたい馬こそいないものの、比較的前目のポジションを取る馬が多く、また決め手自慢は少ない。従って極端なスローペースになることは想像しづらく、前走のようにどうやっても届かないという展開にはならないだろう。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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