【中山記念】参考レース振り返り データは中山金杯組、好メンバー揃うもソーヴァリアントに注目

三木俊幸

2023年中山記念に出走するソーヴァリアント,ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

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参考レースを振り返る

大阪杯や宝塚記念、そしてドバイや香港など国内外の大舞台を目指す馬たちが集結する注目の一戦、中山記念(GⅡ・芝1800m)。過去10年のデータとともに参考レースを振り返っていこう。

中山金杯【データ:A レースレベル:B】

過去10年の成績【3-0-1-6】勝率30.0%、連対率30.0%、複勝率40.0%

2018、2019年ウインブライト、2021年ヒシイグアスが勝利し、過去10年で最も好相性の前哨戦だ。今回はその中山金杯を制したラーグルフが参戦を予定している。

レースはフェーングロッテンが1000mを1:00.6のペースで逃げる。勝負所に差しかかり馬群が一団となるが、ラーグルフは中団でじっと我慢。徐々に外へと持ち出して直線に向くとゴール前は内フェーングロッテン、外クリノプレミアムと3頭による大接戦となったが、ハナ差制して重賞初制覇。勝ちタイムは2:00.2だった。

2023年中山記念に出走するラーグルフ,ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

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今回は相手強化に加えて、戸崎圭太騎手から菅原明良騎手へ乗り替わりとなる。引き続きの中山コースと連勝中の勢いに乗ってどこまで戦えるか、先を見据えるうえでの試金石となる。

香港マイル【データ:B レースレベル:A】

過去10年の成績【1-0-1-2】勝率25.0%、連対率25.0%、複勝率50.0%

前走香港マイルからの参戦は4頭あり、全て5着以内。馬券圏内はともに2017年、ネオリアリズムが1着、ロゴタイプが3着に入っている。今年はシュネルマイスターがこのローテーションから挑む。

9頭立てで行われた香港マイルは、カリフォルニアスパングルが逃げる展開。前半800m通過は47.52のスローペースを嫌ったビューティージョイが捲っていき、一気にペースアップした。直線に入って残り300mでカリフォルニアスパングルが先頭に立ち、外から迫ってきたゴールデンシックスティの追い上げをクビ差凌ぎきった。

シュネルマイスターはスタートで出遅れて6番手からのレースとなった。しかしペースが上がったあたりから手応えが怪しくなり、9着という結果に終わった。

昨年のドバイ遠征も含めて海外では実力が発揮できなかったが、本来の能力はこんなものではない。もともとエンジンのかかりが遅いタイプでもあるので、1800mへの距離延長はプラスに働くが、中山コースでは差し届かないということも考えられる。

香港カップ【データ:C レースレベル:A】

過去10年の成績【0-0-0-3】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%

出走3頭のうち2頭が1番人気に支持されたが、いずれも期待を裏切る形で最高着順は6着となっている。今年は香港カップからダノンザキッドが参戦予定となっているが、相性が良くないデータを覆すことができるのだろうか。

レースはスタートで出遅れたパンサラッサが強引にハナを奪うが、カーインスターにピッタリとマークされる形となり、最初の400m25.34以降、400mごとのレースラップは23.53-23.51-23.87-23.45とペースが緩むことはなかった。そうした流れの中、5番手を追走していた地元香港のロマンチックウォリアーが直線で力強く突き抜け、4馬身半差をつけて力の違いを見せつけた。

ダノンザキッドは9番手で脚をため、直線では馬群を割って2着に入った。上手く展開を味方につけた格好だが、昨夏以降は距離やコースを問わず安定した成績を残している。ここでも自身の力が発揮できれば上位争いを繰り広げてくれそうだ。

エリザベス女王杯【データ:B レースレベル:A】

過去10年の成績【1-0-0-1】勝率50.0%、連対率50.0%、複勝率50.0%

過去10年で出走は2頭と少ないが、2015年にヌーヴォレコルトが勝利。今年はこのローテーションでスタニングローズが始動戦を迎える。

重馬場で行われたエリザベス女王杯は、ローザノワールが1000m通過1:00.3というペースで引っ張る展開。中団から直線大外を伸びたジェラルディーナが2:13.0という勝ちタイムで勝利した。4角2番手だった2着同着のウインマリリンを除いて、上位は全て差し・追込馬が占めた。

道中5番手を追走していたスタニングローズは、直線に向いたところで一瞬不利があったが、その影響以前に手応えもなく、失速して14着。紫苑Sと秋華賞を連勝した後の秋3戦目でお釣りが残っていなかった状態で、タフなレースとなるなど展開面も向かなかった。

中山コースではフラワーCと紫苑Sを勝利しており、コース適性に不安はない。リフレッシュされた状態であれば、牡馬相手でも格好はつけてくれるだろう。

チャレンジC【データ:C レースレベル:C】

過去10年の成績【0-1-0-0】勝率0%、連対率100%、複勝率100%

過去10年では、前身である2013年朝日チャレンジカップ優勝からアルキメデスが出走、2着した1例のみ。もっとも、当時は現在と違って阪神外回りの1800m戦。今年出走するソーヴァリアントとは過程が異なる。

内枠から好スタートを切ったレッドベルオーブが後続から5馬身ほどのリードを奪って逃げ、2番手にタイセイモンストル、さらに5~6馬身離れた3、4番手にソーヴァリアントがつける展開。1000m通過は57.7とハイペースだった。

直線の残り300mあたりでレッドベルオーブが一杯になり、それを外からあっさりと交わしていったソーヴァリアント。ラスト12.2-12.2と失速することもなく、後続に1.3/4馬身差。1:57.5という好タイムでチャレンジC連覇を達成した。

今回は相手強化となるが、すんなりと突破してGⅠの舞台へと向かってほしいと思わせるほどの素質馬だ。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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