【阪急杯】中心はグレナディアガーズ アグリ、ルプリュフォール一発秘める

勝木淳

阪急杯インフォグラフィック,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

阪急といえば、十三の法則

阪神競馬場の最寄り駅仁川は西宮北口から所要6分、宝塚から8分のところにある。宝塚寄りに引き上げ線があり、競馬開催時には仁川始発西宮北口行きの臨時列車が増発される。さらにGⅠレース開催時は臨時急行大阪梅田行き(通称馬急)が加わり、仁川から梅田までの利便性は格段に向上する。阪急の本気を感じるダイヤ運用だ。阪神競馬場へのアクセスに欠かせない阪急の列車運用は関東の京急と双璧をなす面白さがある。どちらもダイヤ改正はマニアにとって注目の的だ。競馬のデータは過去10年間のものを使用する。

過去10年阪急杯人気別成績,ⒸSPAIA


さて話を競馬に戻そう。高松宮記念の前哨戦である阪急杯は実績馬が多く参戦するレースであり、1番人気は【4-1-1-4】勝率40.0%、複勝率60.0%、2番人気【2-2-2-4】勝率20.0%、複勝率60.0%と堅調。一方、ペース次第で紛れやすい阪神内回り芝1400mらしく7番人気【2-0-0-8】勝率、複勝率20.0%、10番人気以下【1-1-2-69】勝率1.4%、複勝率5.5%など波乱もある。

注目は3番人気【0-0-0-10】、10番人気【0-1-0-9】、13番人気【0-0-0-9】。阪急といえば大阪梅田から十三までの3線並走区間だ。神戸線、宝塚線、京都線が同時に淀川を渡る光景は関西民にはおなじみでも、関東民には壮観な景色でもある。十三を出ると、隣にあった線路が消えるのはいつ見ても驚く。ホームから始まっている分岐は見事だ。その十三に関係する3、10、13番人気は阪急杯では不振だ。好走は21年10番人気2着ミッキーブリランテしかいない。なお馬番13番は【3-0-1-5】勝率33.3%、複勝率44.4%なので、十三の法則はこちらが正解だ。

過去10年阪急杯年齢別成績,ⒸSPAIA


次に年齢別成績を。4歳【2-2-3-24】勝率6.5%、複勝率22.6%、5歳【3-2-3-32】勝率7.5%、複勝率20.0%、6歳【3-3-2-40】勝率6.3%、複勝率16.7%、7歳以上【2-3-2-37】勝率4.5%、複勝率15.9%で短距離のわりに世代の差がないことが特徴だ。6歳の3勝は2、11、6番人気なので、ベテランは穴っぽい馬を狙っても面白い。

阪神C13着ルプリュフォール

ここからはいつものようにローテーションを中心に好走パターンを探っていき、具体的な好走候補を絞ってみよう。

過去10年阪急杯前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績では前走海外【2-0-0-0】が目立つが、ピクシーナイトの回避により今年は不在。前走(国内)GⅠも出走がない模様だ。

過去10年阪急杯前走阪神C組着順別成績,ⒸSPAIA


次に前走GⅡ【2-5-2-23】勝率6.3%、複勝率28.1%について。グレナディアガーズなどが該当する阪神Cは【2-4-2-22】勝率6.7%、複勝率26.7%。その着順内訳はグレナディアガーズの2着【0-1-0-2】複勝率33.3%、ルプリュフォールの10着以下【1-0-1-7】勝率11.1%、複勝率22.2%。グレナディアガーズは始動戦でもあり、目標は次というニュアンスも強く、狙うなら思い切ってルプリュフォールか。阪神C13着は一発狙いのイン突きで進路がなく、追えずに終わった結果であり、その前走はスワンS3着。上がり最速タイ33.5で追い込み、1.20.0だった。極端な脚質だが、通用しても不思議はない。

ミッキーブリランテの京都金杯は【2-1-1-8】勝率16.7%、複勝率33.3%。その着順内訳は4着以内【1-0-1-2】、5~9着出走なし、10着以下【1-1-0-6】。大敗からの巻き返しはあるので、9着ミッキーブリランテはデータ上、無下にできない。2年前の阪急杯2着。昨秋は京成杯AH2着、阪神C7着もその差は0.2しかなかった。なお中京の京都金杯からは昨年ダイアトニックがここを勝利した。

今年は淀短距離Sから勝ったホープフルサイン以下大挙出走予定だが、前走淀短距離Sは【0-0-0-10】で結果が出ていない。オープン・L組は1400m未満【0-0-2-21】、1400m【0-0-1-4】、1400m超【1-1-0-15】で1400m以上の経験がほしい。ただし前走オープン・L6着以下は【0-0-0-26】。マイルから得意の1400mに替わるダディーズビビッドはこのデータに触れる。

前走3勝クラスからここを勝ったのは20年6番人気ベストアクター1頭。今年該当するアグリは芝1500mと芝1400mで3連勝中。前走六甲アイランドSは前半600m33.7を2番手追走から抜け出した。勝ち時計は1.20.3と記録上は通用していい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。


阪急杯インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



《関連記事》
3連単の最高額は1460万40円 2022年中央競馬の高額配当ランキング
武豊騎手、JRA重賞350勝までの道のり 節目の重賞勝利を振り返る
2023年に産駒がデビューする新種牡馬まとめ 日本馬の筆頭・レイデオロは「ディープ牝馬」との配合で期待

おすすめ記事