【関屋記念】「栗東所属馬」「ディープインパクト産駒」に好走データあり リアアメリア復活だ

門田光生

2022年関屋記念の前走クラス別成績,ⒸSPAIA

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新潟の名物重賞の傾向とは?

2022年8月14日に新潟競馬場で行われる第57回関屋記念。「真夏のマイル王決定戦」として長年親しまれている、新潟の名物競走である。

夏競馬といえば、函館、札幌、新潟、福島、中京、そして小倉の6つが思い浮かぶ。リニューアル(2012年)以前の中京競馬場には芝1600mという条件がなかったので、芝1600mが行われていたのは新潟だけ。この距離を求めて、有力マイラーが集まってくるのは自然な流れだったのかもしれない。

現在、中京競馬場には芝1600mが設置され、同距離で行われる中京記念→関屋記念というローテーションが王道路線(今年は中京記念が小倉芝1800mで、関屋記念への登録馬もなし)。2レースともサマーマイルシリーズに組み込まれており、ポイント争いも注目のひとつといっていいだろう。そんな関屋記念にはどんな傾向があるのか。今回も過去10年の成績を基にして検証していきたい。

関屋記念出走馬の所属,ⒸSPAIA
関屋記念出走馬の性別,ⒸSPAIA
関屋記念出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆所属、性別、年齢
美浦所属馬5勝、栗東所属馬5勝。3着も5回ずつ。決定的に違うのは2着馬の数で、美浦1回に対して、栗東9回。連軸として考えるなら、栗東所属馬の方が信頼度は高いといえる。

性別は牡馬・セン馬13連対(7勝)、牝馬7連対(3勝)。出走頭数は牡馬・セン馬が3倍以上も多いこともあり、勝率、連対率とも牝馬優勢の傾向。

最も多く連対馬を出している世代は5歳馬の9連対(3勝)。これを勝率、連対率で上回っているのが4歳馬(5連対、3勝)。3歳馬は1勝、6歳馬は2勝だが、両世代ともここ5年で挙げたもの。3~6歳までは大差ないと考えてよさそう。ただ7歳以上になると31頭が出走して、連対したのは2013年1着のレッドスパーダだけ。8年間も馬券に絡んでいないということで割引は必要だろう。

関屋記念出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
関屋記念出走馬の前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
13連対(5勝)のGⅢ組が主力を形成。続いて5連対(3勝)のGⅠ組。重賞を使った馬を中心に考えていいのだが、なぜかGⅡ組だけ【0-0-0-8】と結果が出ていない。

レース別では、冒頭にも書いた中京記念組が55頭と最多で、9連対(3勝)とそれなりの結果を出している。GⅠでは安田記念【1-2-0-6】、NHKマイルC【1-0-2-4】とともに勝ち馬を出しているが、ヴィクトリアマイル組だけは【0-0-1-6】で、連対馬が出ていない。

関屋記念出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走着順
前走1着馬は【2-1-1-14】とまずまずの成績。ただ、前走2~4着馬からは勝ち馬が出ていない。特に3着馬は【0-0-2-11】と不振。好結果を出しているのは5着馬。【3-2-1-10】で、連対率が30%を超えている。

関屋記念におけるプラスデータ,ⒸSPAIA
関屋記念におけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げてみる。まず種牡馬だが、平坦のマイル戦ということでディープインパクト産駒が【4-2-1-20】と活躍。また、前走2番人気は【4-0-0-11】、3番人気は【2-2-2-7】と、そのほかの人気より好走確率が高くなっている。最後に、牡馬・セン馬で前走斤量が55キロ以下だったのは23頭いるのだが、連対どころか馬券圏内に入った馬すらいない。

伝統のマイル戦でリアアメリアが復活

関屋記念のデータをまとめてみよう。まず信頼度が上がるパターンはA「栗東所属馬」B「前走5着馬」C「ディープインパクト産駒」D「前走2or3番人気」。

好走確率が下がるのはE「7歳以上」。連対例がないのはF「前走GⅡ」G「前走ヴィクトリアマイル」H「牡馬・セン馬で前走斤量55キロ以下」。

まず、登録馬の中でFGHを持つスカイグルーヴ、ディヴィーナ、レッドライデン、ワールドバローズの4頭を消すところから始める。

今回プラスデータを複数持ち、マイナスデータがないのは、エアファンディタとリアアメリアの2頭。エアファンディタはリステッド格付け前後を合わせて【0-0-0-6】と結果が出ていない米子S組というのが気になる。リアアメリアも【0-0-0-2】と連対馬が出ていないマーメイドS組だが、こちらはサンプル数が少なく、信頼度は微妙だ。

ちなみに、前走ハンデ戦を経由して連対した馬は過去に11頭いるが、過去10年で連対した7頭の牝馬のうち、5頭がこれに該当。よって、今回はリアアメリアを本命とする。前走13番人気が気になるところだが、2012年に前走14番人気から巻き返したドナウブルー(1着)の例もあるので、問題はないだろう。エアファンディタは押さえまで。

8年連続で連に絡んでいる中京記念組が1頭も登録していないのは痛い。悩む2番手以下だが、ここ3年で3頭と、最多の連対馬を出している6歳世代に注目。特にピースワンパラディは前走、同距離でハンデ戦の京都金杯を走っており、ほかの6歳馬2頭(ザダル、シュリ)より魅力があるということで、これを2番手とする。

あとは連対率が最も高いGⅠ組で、連対率33%を誇る安田記念を経由してきたダノンザキッド、イルーシヴパンサーにも印を回しておく。

◎リアアメリア
◯ピースワンパラディ
▲ダノンザキッド
△イルーシヴパンサー
×エアファンディタ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
現在、社会人になって初めて日曜(たまに土曜も)が休みのローテーションに。家族と出かけるのには都合がいいのですが、問題は通院。土、日は閉まっている病院が多いだけに、調整が難しくて四苦八苦しております。

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