【関屋記念】実はディープインパクトよりハーツクライ 東大HCが新潟芝1600mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

新潟芝1600mコースデータ,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は新潟芝1600mを舞台に、サマーマイルシリーズ第3戦・GⅢ関屋記念が行われる。当該コースの重賞は関屋記念の他、ハープスター・イスラボニータを輩出し一流馬への登竜門として名高いGⅢ新潟2歳Sが施行される。今週は夏を彩るこのコースの特徴をデータで分析していく(使用するデータは2016年8月14日~2021年8月8日)。

まずはコース紹介。広い新潟ならではの外回りワンターンコースで、向正面半ばをスタート後、3コーナーにかけての300mでおよそ2mの上り坂をゆっくり上がり、4コーナーでは逆に急坂を下る。大箱コースを生かした658.7mという果てしなく長い直線はほぼ平坦で、小細工なしのキレ勝負が繰り広げられる。

外枠の末脚自慢を素直に

新潟芝1600m・過去5年の枠別成績,ⒸSPAIA


<新潟芝1600m・過去5年の枠別成績>
1枠【11-12-8-199】勝率4.8%/連対率10.0%/複勝率13.5%
2枠【17-10-19-198】勝率7.0%/連対率11.1%/複勝率18.9%
3枠【15-14-13-213】勝率5.9%/連対率11.4%/複勝率16.5%
4枠【7-17-20-215】勝率2.7%/連対率9.3%/複勝率17.0%
5枠【20-20-18-212】勝率7.4%/連対率14.8%/複勝率21.5%
6枠【20-18-30-214】勝率7.1%/連対率13.5%/複勝率24.1%
7枠【29-30-17-256】勝率8.7%/連対率17.8%/複勝率22.9%
8枠【26-24-20-274】勝率7.6%/連対率14.5%/複勝率20.3%

枠別成績では外寄りの枠が好調。特に5枠より外か否かで好走率に大きな差がついている。直線が長い故に末脚のトップスピードを問われる展開になりやすく、ごちゃついてブレーキを踏むことが致命傷になるコース。のびのびと走れるメリットが大きいようだ。

特に前走上がり3F2位以内だった馬のうち、7・8枠を引いた馬は【18-17-7-70】連対率31.3%をマーク。重賞では【3-6-1-9】と半数以上が馬券になっている。

新潟芝1600m・過去5年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<新潟芝1600m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【19-12-12-102】勝率13.1%/連対率21.4%/複勝率29.7%
先行【51-52-36-379】勝率9.8%/連対率19.9%/複勝率26.8%
差し【58-62-70-728】勝率6.3%/連対率13.1%/複勝率20.7%
追込【17-19-27-571】勝率2.7%/連対率5.7%/複勝率9.9%

他のコースに比べて後ろが届いているものの、依然として逃げ・先行がやや優勢。直線勝負が織り込み済みのため必然的にスローペースになりやすく、前で運ぶ馬にも余力が残っており、トップスピードの差よりも位置取りの有利が効いている。

とはいえ近年の関屋記念で前残りとなったのは武士沢友治・マルターズアポジーが幻惑のペースで逃げ切った17年ぐらいで、20年はサトノアーサーが4角17番手から、19年はミッキーグローリーが4角15番手から前を撫で切っており、後ろに席がないケースはほぼない。

ハーツクライの牝馬は熱いが……

新潟芝1600m・過去5年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<新潟芝1600m・過去5年の種牡馬別成績>
ハーツクライ【16-5-8-54】勝率19.3%/連対率25.3%/複勝率34.9%
ディープインパクト【14-20-11-112】勝率8.9%/連対率21.7%/複勝率28.7%
キズナ【4-3-1-32】勝率10.0%/連対率17.5%/複勝率20.0%

どう考えてもディープインパクト産駒の成績が良さそうなものだが、意外にも最多勝はハーツクライ。わずか83回の出走(ディープは157回)で16勝を積み重ね、単勝回収率は181%とベタ買いでも収支がかなりプラスになる。

特に牝馬が【11-4-6-25】複勝率45.7%、単勝回収率254%・複勝回収率131%と好相性。2歳戦などではイメージと好走率の乖離で妙味があり、積極的に狙っていきたい。ただし距離短縮では【0-2-1-7】と勝利がなく、回収率も平凡。

ハーツクライの後塵を拝しているディープインパクトだが、前述の通り5枠より外で真価を発揮し、該当馬は【10-14-8-52】複勝率38.1%と格好をつけてくる。

キズナ産駒で3着以内に入ったのは全て牝馬(【4-3-1-24】複勝率25.0%)。このうち栗東所属の騎手で【3-2-1-9】複勝率40.0%となる。

新潟芝1600m・過去5年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<新潟芝1600m・過去5年の騎手別成績>
戸崎圭太【14-4-8-28】勝率25.9%/連対率33.3%/複勝率48.1%
福永祐一【11-5-7-18】勝率26.8%/連対率39.0%/複勝率56.1%
田辺裕信【8-6-5-29】勝率16.7%/連対率29.2%/複勝率39.6%
岩田望来【0-5-2-23】勝率0.0%/連対率16.7%/複勝率23.3%

最多の14勝を挙げているのは戸崎圭太騎手。20年は関屋記念をサトノアーサーで、新潟2歳Sをショックアクションで勝ち、このコースの重賞を完全制覇している。前走上がり3F2位以内だった馬に騎乗した際【6-1-3-4】複勝率71.4%を記録しており、東京新聞杯で33秒5を使ったサトノアーサーに追い風だ。

勝率・連対率・複勝率全てで戸崎騎手を上回るのが福永祐一騎手。牝馬では【7-2-5-9】複勝率60.9%と大台に乗せ、単勝回収率160%も魅力的。

単勝回収率187%とひとつ大きい馬券を取りたい時の田辺裕信騎手も覚えておきたい。こちらも牝馬で【6-5-2-8】複勝率61.9%、単勝回収率390%・複勝回収率177%と見事だ。


新潟芝1600mコースデータ,ⒸSPAIA



《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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