【鳴尾記念】今年も波乱要素大! コース傾向から浮上するショウナンバルディに注目

勝木淳

鳴尾記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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ディープインパクト産駒とスタミナ型にチャンス

1907年、関西競馬倶楽部が建設した鳴尾競馬場は現在、武庫川女子大付属の敷地にあたる。この鳴尾競馬場が紆余曲折を経て、仁川にある阪神競馬場へつながっていく。鳴尾記念は阪神競馬場の歴史を伝えるレースだ。

と、ここまで書いておきながら、今年も鳴尾記念の舞台は中京競馬場。春の中京開催も残り4日間のみ。宝塚記念が控える夏の阪神は2週間と短縮して行われる。迷子にならないようにしたい。そこで今回は鳴尾記念のデータではなく、2012年以降、中京芝2000m、古馬オープン・重賞35レースのデータから好走パターンを探っていく。

過去10年同条件人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気の傾向から。1番人気は【9-6-5-15】勝率25.7%、複勝率57.1%。4回に1勝というラインはクリア、半数以上が馬券圏内なので、まずまずといったところ。2番人気【5-3-5-22】勝率14.3%、複勝率37.1%と3番人気【2-4-2-27】勝率5.7%、複勝率22.9%との間に境目があり、5番人気【3-2-4-26】勝率8.6%、複勝率25.7%から7番人気までが勝率上昇、8番人気【5-3-2-24】勝率14.7%、複勝率29.4%にもうひとつ頂点がある。波乱も視野に入れたい。

なにせ昨年の鳴尾記念は8番人気ユニコーンライオン、9番人気ショウナンバルディ、5番人気ブラストワンピースで決着、その春には最低人気ギベオンが金鯱賞を勝った。ショウナンバルディ、ギベオンはこのレースにも出走予定。コース実績がある人気薄になる可能性があり、ひねって入っても問題ない。

過去10年同条件種牡馬別成績,ⒸSPAIA


血統面を見ると、やはり芝の中距離らしくディープインパクトが着度数別でトップ。その数字は【9-12-6-60】勝率10.3%、複勝率31.0%。2位キングカメハメハ【7-4-5-32】勝率14.6%、複勝率33.3%と比べると、やや2着が多いものの、出走数は87と48、数が違う。今年もギベオン、カイザーバローズなどが出走予定。キングカメハメハが勝率で上回るように、直線に急坂があるため、瞬発力に特化していなくても、馬力型もやれる。上位にステイゴールド、ハーツクライ、ゼンノロブロイとサンデー系でもスタミナタイプが並んでいる点は参考にしたい。


超久々がカギを握る短縮組

ディープインパクト産駒ギベオン、キングマンボ系ショウナンバルディとコース実績がある馬たちに可能性を感じつつ、ここからは前走成績、特に距離に注目していきたい。

過去10年同条件前走距離別成績,ⒸSPAIA


前走が2000mより短かった馬は【8-12-8-124】勝率5.3%、複勝率18.4%、2000mだと【11-15-14-172】勝率5.2%、複勝率18.9%、2000mより長いと【16-8-14-125】勝率9.8%、複勝率23.3%。延長、同距離と比べると、短縮組が勝ち切る傾向が強い。急坂があるコースらしく、前走で長い距離を走った経験がいきる。

過去10年同条件距離短縮組・前走距離別成績,ⒸSPAIA


短縮組の内訳を出すと、2400m【4-3-3-11】勝率19.0%、複勝率47.6%が目につく。メトロポリタンS8着のサンアップルトンが登録している。

過去10年同条件距離短縮組・前走着順別成績,ⒸSPAIA


では短縮組全体の前走着順別成績はどうだろうか。1着【3-2-0-6】勝率27.3%、複勝率45.5%、2着【1-1-1-3】勝率16.7%、複勝率50.0%など好走が条件。おおむね掲示板以内の成績がいい。ほかの短縮組では21年AJCC2着ヴェルトライゼンデなどがいる。阪神大賞典6着キングオブドラゴンが該当する6~9着は【3-0-4-32】勝率7.7%、複勝率17.9%。先述コルテジアは12着。二桁着順【2-1-4-50】勝率3.5%、複勝率12.3%なので、やや分が悪い。

過去10年同条件距離短縮組・前走脚質別成績,ⒸSPAIA


短縮組の位置取り別成績ではキングオブドラゴンの逃げ【0-0-0-6】。好成績は先行【6-4-4-29】勝率14.0%、複勝率32.6%、中団【6-2-5-52】勝率9.2%、複勝率20.0%。長い距離でひと溜め作れた馬の成績がいい。ここに該当するのがヴェルトライゼンデだが、なにせこちらも約1年5カ月ぶりの出走、強気になれない。中京はコントレイルの神戸新聞杯2着と実績は十分だが、はたして。

過去10年同条件距離短縮組・前走脚質別成績,ⒸSPAIA


短縮組を狙いたいが、雲行きが怪しくなってきたので、最後に同距離の前走2000m組について。ここはダートを消し、前走芝2000m【11-15-14-169】勝率5.3%、複勝率19.1%に絞り、前走競馬場別成績を出す。新潟大賞典2着カイザーバローズが当てはまる新潟は【0-0-1-16】複勝率5.9%と同じ左回りでもイマイチ。ひたすら軽さを求められる新潟と中京は適性にズレがあり、それが反映された結果といえる。

では金鯱賞組サンレイポケット、ギベオンが当てはまる中京はどうか。同じ競馬場のわりに【2-2-1-22】勝率7.4%、複勝率18.5%と確率は案外。それならば、大阪杯12着ショウナンバルディの阪神【2-0-3-20】勝率8.0%、複勝率20.0%でどうか。鳴尾記念2着以外にも中日新聞杯Vもある得意舞台。強敵相手の大阪杯はノーカウントと割り切りたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


鳴尾記念インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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