【日本ダービー】1・2枠有利、ルメール騎手が複勝率6割超 東大HCが東京芝2400mを徹底分析

東大ホースメンクラブ

東京芝2400mコース図,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週日曜、東京芝2400mを舞台に日本競馬の祭典・GⅠ日本ダービーが行われる。2019年に生を享(う)けた7522頭のサラブレッドの頂点を決める一戦。皐月賞馬ジオグリフ、キタサンブラックの至宝イクイノックス、豪脚一閃ダノンベルーガ、そして武豊騎手の夢をロンシャンへとつなげたいドウデュースの4強に、京成杯馬オニャンコポン、青葉賞を勝ったプラダリア、皐月賞5着に逃げ粘ったアスクビクターモアなど伏兵勢も番狂わせを狙う。

当該コースの重賞は4レース。グレード順に、GⅠは3歳牝馬クラシックの2冠目・オークス、ホースマンの夢舞台・日本ダービー、外国馬と歴戦のジョッキーが秋の府中を彩るジャパンカップの3レース。GⅡはダービートライアルの青葉賞が行われる。今週はこのコースの特徴をデータで分析していく(使用するデータは2012年5月26日〜2022年5月22日)。

まずはコース紹介。大箱コースを1周する形態で、ホームストレッチをスタートし、直線しばらくは平坦な道を進んだ後、向正面半ばまでだらだらと下っていく。向正面の上り坂こそあるものの、上りきると3コーナー途中まで再び下り坂。ここでスピードアップした各馬を待ち受けるのは525.9mの直線と高低差約2mの上り坂。長丁場かつ最後までタフさを問われる、フェアなチャンピオンコースにふさわしい形態だ。

人気馬×1枠は信頼できる

東京芝2400m・過去10年の枠別成績,ⒸSPAIA


<東京芝2400m・過去10年の枠別成績>
1枠【32-33-27-275】勝率8.7%/連対率17.7%/複勝率25.1%
2枠【45-22-39-280】勝率11.7%/連対率17.4%/複勝率27.5%
3枠【30-30-29-316】勝率7.4%/連対率14.8%/複勝率22.0%
4枠【32-29-30-329】勝率7.6%/連対率14.5%/複勝率21.7%
5枠【35-37-35-342】勝率7.8%/連対率16.0%/複勝率23.8%
6枠【32-43-32-373】勝率6.7%/連対率15.6%/複勝率22.3%
7枠【36-43-43-428】勝率6.5%/連対率14.4%/複勝率22.2%
8枠【39-42-47-450】勝率6.7%/連対率14.0%/複勝率22.1%

枠別成績はよく知られている通り内枠有利だが、勝率、複勝率、単勝回収率が最も高いのは1枠ではなく2枠。2枠で前走逃げ・先行に限ると【17-10-15-60】複勝率37.5%、単勝回収率185%、複勝回収率128%を記録している。下級条件を中心に好走馬を多く出しており、平場などで頼りにしたいデータだ。

GⅠでは1枠が【8-8-4-37】複勝率35.1%。先週のオークスでもスタニングローズが2着に入り、昨年の日本ダービー(エフフォーリア)から目下3戦連続で連対馬を輩出している。6番人気以内に限ると【7-7-4-8】と7割近い複勝率で、単複回収率はともに黒字域。人気馬が白帽を引けば信頼度大幅アップといえる。

東京芝2400m・過去10年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<東京芝2400m・過去10年の脚質別成績>
逃げ【30-27-22-209】勝率10.4%/連対率19.8%/複勝率27.4%
先行【101-99-95-661】勝率10.6%/連対率20.9%/複勝率30.9%
差し【107-105-103-1005】勝率8.1%/連対率16.1%/複勝率23.9%
追込【40-43-55-883】勝率3.9%/連対率8.1%/複勝率13.5%

脚質別成績ではチャンピオンコースらしく、逃げ馬よりも先行馬が結果を残している。後方待機勢も悪くない数字で、力量がストレートに問われる舞台と考えていい。

GⅠでは逃げ【1-2-2-25】複勝率16.7%、先行【10-9-5-82】複勝率22.6%、差し【15-15-20-193】複勝率20.6%、追込【3-3-3-129】複勝率6.5%。物理的に届かないポジションでなければどこからでも勝負になる。

ただし3歳戦のオークス、ダービーでは逃げが【0-1-1-18】で割引が必要。比較的安定しているのは前走上がり2位以内だった馬で、2018年ダービー以外の19レースで馬券に絡んでいる。さらに継続騎乗かつ前走重賞組は【9-5-9-32】で複勝率が4割を超える。今年の該当馬はアスクワイルドモア、ドウデュース、プラダリア、マテンロウオリオンの4頭。

皐月で差し遅れたハーツクライが熱い

東京芝2400m・過去10年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<東京芝2400m・過去10年の種牡馬別成績>
ディープインパクト【66-43-46-292】勝率14.8%/連対率24.4%/複勝率34.7%
ハーツクライ【26-21-19-192】勝率10.1%/連対率18.2%/複勝率25.6%
ダイワメジャー【3-1-3-34】勝率7.3%/連対率9.8%/複勝率17.1%

ダービーに産駒が出走する種牡馬ではやはりディープインパクトが抜けている。「ダービー馬はダービー馬から」の格言を地で行く4連覇中で、鋭い末脚は大舞台で最大の武器になる。今年の該当馬はアスクビクターモア、キラーアビリティ、ジャスティンパレス、プラダリア、ロードレゼルの5頭。ここ10年で産駒が5頭以上出走したダービーは全てディープインパクト産駒が勝利しており、この中に勝ち馬がいてもおかしくない。

自身はダービー2着だったハーツクライも悪くなく、1勝クラスでは【10-9-3-26】複勝率45.8%を叩き出している。このうち3番人気以内では【8-5-3-5】複勝率76.2%で、見かけたら無条件で軸に据えるべきだろう。ダービーでも皐月賞で差し遅れた産駒が巻き返す傾向にあり、皐月賞で上がり5位以内を記録していれば【1-2-0-1】連対率75%。ドウデュースやマテンロウレオがきっちり着順を上げてきそうだ。

サンデーサイレンス系で厳しいのはダイワメジャー。マテンロウオリオンがNHKマイルCで見せた末脚は強烈だったが、ダービーで同様の豪脚を披露する可能性は高くない。その他ジオグリフの父ドレフォンは【1-0-0-1】、イクイノックスの父キタサンブラックは【0-0-0-2】。

東京芝2400m・過去10年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<東京芝2400m・過去10年の騎手別成績>
ルメール【37-24-13-47】勝率30.6%/連対率50.4%/複勝率61.2%
川田将雅【7-11-5-29】勝率13.5%/連対率34.6%/複勝率44.2%
福永祐一【9-5-10-57】勝率11.1%/連対率17.3%/複勝率29.6%
武豊【4-3-3-43】勝率7.5%/連対率13.2%/複勝率18.9%

騎手別成績ではルメール騎手が素晴らしい。ここ2年は複勝率7割以上をキープしており、単勝回収率は2021年:108%、2022年:158%とケチのつけようがない。イクイノックスは確実に買い目に入れておきたい。

4強で次に好走率が高いのは川田将雅騎手。妙味の面では期待できないものの、1番人気【5-4-1-2】など実力上位の馬を堅実に走らせている。ただしGⅠで前走4着以下だった馬に騎乗した際は【0-0-2-9】と連対がなく、連系馬券で嫌う選択肢は十分ありうる。

二冠を狙うジオグリフとタッグを組む福永祐一騎手は史上初のダービー3連覇がかかる。GⅠでは【4-3-1-16】複勝率33.3%。このうち継続騎乗では【3-3-1-9】となる。武豊騎手は全体の率こそ芳しくないものの、3番人気以内かつ前走上がり最速なら【3-0-1-2】。2013年のダービーを勝ったキズナも含まれる。同様のデータに合致するドウデュースで前人未到のダービー6勝目を狙う。

東京芝2400mのコースデータ,ⒸSPAIA



《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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