【日本ダービー】皐月賞「1番人気」「後方待機」に反撃のサイン ドウデュースが戴冠最有力!

門田光生

日本ダービー出走馬の前走レース(過去15年),ⒸSPAIA

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前走皐月賞組が優勢

2022年5月29日に東京競馬場で行われる第89回日本ダービー。「最も運のいい馬が勝つ」と言われているが、当然ながらここに至るまでの準備と過程が大事で、最後に運が味方してくれれば、といったところか。馬券でも同じことが言えるかもしれませんね。

競馬の祭典ということで、過去15年と近5年の比較、そして皐月賞組に絞ってなど、いろいろなデータを用意してみたので、それを基にさっそく検証に入っていきたい。

ダービー出走馬の所属別,ⒸSPAIA


☆所属
過去15年で美浦所属馬が9連対(3勝)、栗東所属馬は21連対(12勝)。出走頭数の関係で連対率に大きな差はないが、勝率は栗東所属馬が大きく上回っている。これは近5年でも同様で、ダービー馬が出る確率は栗東所属がやや有利となっている。

ダービー出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆キャリア
最少はキャリア3戦(2021年シャフリヤール)、最多は10戦(2008年ディープスカイ)で、キャリア9戦を除いて満遍なく勝ち馬が出ている。これを近5年に絞ると、連対した10頭すべてがキャリア3~5戦だった。余計なレースを使わない現代競馬の特徴が、ダービーでも出ていることが分かる。

キャリアといえば、1996年にフサイチコンコルドがわずか2戦でダービーを制している。しかも、前走のすみれSから中11週と間隔が空いてのもので、例外中の例外といっていい。また前述の通り、シャフリヤールもここ15年で最少のキャリア3戦、さらに勝ち馬が出ていなかった毎日杯組。中8週というのも最長で、これもデータ上では「例外」といえる。

ダービー出走馬の前走着順,ⒸSPAIA
ダービー出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆前走着順と前走人気
前走1着馬が12連対(6勝)でトップ。以下、前走2着、3着と順番通りに続く。近5年でも前走1、2着馬が6連対(3勝)だから、前走着順がいいに越したことはない。前走人気もほぼ同じで、前走1番人気馬が6勝と断然。前走2番人気馬は2着が7回あり、連対率でトップとなっている。前走人気も近5年で傾向は変わっていない。

ダービー出走馬の前走,ⒸSPAIA


☆前走
先週に行われたオークスと同じで、一冠目にあたる皐月賞組の出走頭数が最も多く、また勝利数(10勝)、連対数(21連対)ともに抜けている。次位が京都新聞杯の2勝(3連対)だから、皐月賞組の分析は避けて通れないところだ。

皐月賞組は過去15年で128頭が出走。皐月賞馬は14頭出走(2008年キャプテントゥーレのみ不出走)して【3-3-2-6】。3頭が二冠を達成し、連対率も42.9%と高水準。今年の皐月賞馬ジオグリフを馬券から外すのは得策ではないようだ。

また、皐月賞で1番人気に支持された馬は【3-1-3-6】。2番人気馬は【0-6-0-7】で、なぜか2着が多く出ている。ちなみに、皐月賞で1枠を引いていた馬は【4-3-0-9】。ダービーも1枠が【6-3-1-20】と強く、白帽子がラッキーカラーのようだ。

あと気になったところでは、皐月賞で逃げ、先行だった馬は1勝、2着7回。対する差し、追い込み馬は9勝、2着4回。控える競馬をした馬が結果を出している。また、騎手が乗り替わった39頭中、連対したのは2010年の2着馬ローズキングダムだけ。この時は騎乗停止でやむなくの乗り替わりで、基本的には継続騎乗が大前提となる。

皐月賞以外で勝ち馬が出ているのは、京都新聞杯(2勝)、NHKマイルC、毎日杯、桜花賞(それぞれ1勝)の4レースだけ。トライアルの青葉賞、プリンシパルSからは勝ち馬が出ていない。一時期はトレンドになったNHKマイルC→ダービーの変則二冠だが、2008年のディープスカイを最後に連対馬が出ていない。

ダービーにおけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを取り上げると、まずディープインパクト産駒の7勝が目につくところ。また、近5年だと前走で0.9秒以上負けていた馬から連対馬は出ていない。

ドウデュースの反撃に期待

ダービーのデータをまとめてみよう。まず勝率、もしくは好走確率が上がるのはA「栗東所属馬」B「キャリア4、5戦(近5年)」C「前走1着」D「前走1、2番人気」E「皐月賞組」。

好走確率が下がってしまうのはF「青葉賞組」、連対例がないのはG「NHKマイルC組(近5年)」H「前走0.9秒以上の負け(近5年)」。

シャフリヤールが経由した毎日杯から、今年はコマンドラインとピースオブエイトの2頭が登録している。特にピースオブエイトはシャフリヤールと同じく勝って参戦しており、しかもキャリア3戦。以前に比べるとキャリアの浅い馬が活躍している傾向からも、令和のダービー馬にふさわしいかもしれない。

ただ、上記でも触れたように、シャフリヤールはデータ的には「例外」の存在。例外も何度か続くと「想定内」となるのだが、とりあえず今回は王道の皐月賞組から選択するのが無難だろう。

その皐月賞組だが、2009年ロジユニヴァースが14着からダービー馬になった例があるように、着順はそこまで気にしなくてよさそう。大事なのは人気の方で、勝った10頭中、9頭が前走5番人気以内。これはクリアしておきたい。

今回でいえば、イクイノックス、キラーアビリティ、ジオグリフ、ダノンベルーガ、そしてドウデュース。この5頭の中に今年のダービー馬がいると考えて進める。

このうち、キラーアビリティは近5年で連対馬が出ていないH「前走0.9秒以上の負け」に該当するので除外。残る4頭で比較すると、「皐月賞で後方から運んだ」「皐月賞で1番人気」と、皐月賞組の中でも好データに当てはまるドウデュースに期待したい。弥生賞で連対し、皐月賞を1番人気で負けてからのダービー制覇は、2009年ロジユニヴァース、そして2018年のワグネリアンと同じパターンだ。

皐月賞馬は出走すれば4割以上の確率で連対するということで、ジオグリフも当然外せないところ。ダノンベルーガは皐月賞からの直行組で最多の4勝、7連対を挙げている「前走1枠」が心強いデータ。イクイノックスは2017年レイデオロ、2020年コントレイルと同じ「年明け初戦が皐月賞」という、ダービーを大目標とした新ローテーション。二度あることは三度あるのか、注目したい。

◎ドウデュース
◯ピースオブエイト
▲ジオグリフ
△ダノンベルーガ
×イクイノックス

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
ダービーは記者にとっても特別なレース。これまでにせっせと貯めた500円玉貯金を引き出して、今年もウインズに突撃してきます。

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