【菊花賞】G1馬不在と阪神開催で74年ぶりに牝馬にチャンスのディヴァインラヴ

佐藤永記

74年ぶり菊花賞牝馬のチャンス,ⒸSPAIA

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今年の菊花賞は異常事態

阪神開催となった菊花賞、馬券を組み立てるうえで果たして例年の菊花賞との違いはあるのだろうかと気になる部分だろう。今回のコース条件である阪神3000mといえば阪神大賞典しか行われない。時期と古馬戦である違いはあるが、レースの性質などは読み取れるかもしれない。菊花賞の過去傾向を思い切って捨て、阪神大賞典の過去傾向から今年の菊花賞馬を探してみようと思う。

阪神大賞典直近5年の結果を見ると目につくのが5年のうち4年で1着馬が上がり最速だったこと。今年3月の阪神大賞典では2,3着馬が上がり1位だったが、3位のディープボンドが圧勝しているので、上がりを出せるのは絶対条件に見える。

ただしこれは罠だ。長距離戦であることを忘れてはいけない。これは上がり最速が出せそうな馬を探すというより残り600mで余力がしっかりある馬が上位を占めたというほかにないからだ。上がりが出せなかった馬たちは、加速する余裕がないか、バテてしまったということである。上がり上位は「生き残った」証明でしかない。

それは前走成績が全くアテにならないことにも関連している。直近5年の阪神大賞典3連対のうち、前走馬券圏外だった馬は15頭中9頭と半数以上を占めている。前走上がり順位でも4位以下だった馬が15頭中8頭という結果となっている。

これは前走が大体2000m台までの馬が多かったことに影響する。あまりにも阪神3000mという条件はオンリーワンであるため、他のコースやメンバーで勝っていたり、上がりを出していても阪神3000mで同じように走れることを期待する要素にはならないということだ。

そんなレア条件が3歳のクラシックで登場する。せめて京都であれば、過去血統傾向などで期待できそうな馬を出すこともできようが……ともかく、今年は予想が大変である。

皐月賞馬・ダービー馬がいないのならば牝馬はアリ

そこに加えて今年の菊花賞に皐月賞馬、ダービー1,2着馬の出走がない。3歳戦でここまで一番長い距離のG1を走って結果を出してきた牡馬たちがいない。むしろ除外対象ではあるがオークス3着馬ハギノピリナが登録してきていることのほうが注目だろう。出走できたら狙いたいが、果たしてどうなるか。

同じ牝馬はもう1頭登録している。ディヴァインラヴだ。父は菊花賞馬エピネフィアで、母父にディープインパクトが入り、少なくとも血統上で消す理由もなく、3歳1月からのデビューで春の牝馬クラシックから遅れた馬が夏にタイランドC(2600m)、木曽川特別(2200m)と2000mを超える距離のレースで連勝し、秋華賞ではなく菊花賞に出てくるという時点で期待しかない。

鞍上も福永祐一騎手が変わらず騎乗する予定だ。皐月賞馬も、ダービー馬もいないのであれば、74年ぶりの菊花賞牝馬が生まれてもおかしくない年として、当欄ではディヴァインラヴの単複でいってみたいと思う。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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