上手な付き合い方のコツは?ルメール騎手の「買える、買えない条件」

東大ホースメンクラブ

2020年ルメール騎手の成績 インフォグラフィック

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GⅠ×1番人気で9割超えの連対率

クロノジェネシスが制した有馬記念デーで2020年の中央競馬が幕を閉じた。新型コロナウイルスが猛威を振るい、様々な制限の中での開催を余儀なくされたが、史上初の牡馬・牝馬ともに無敗での三冠達成や芝GⅠ9勝馬の誕生など歴史に残る大偉業がいくつも達成されるなど記憶にも記録にも残る特別な一年だった。

そんな日本競馬の中心にいたのはやはりルメール騎手。数々のビッグレースを制して抜群の成績を残し続ける彼の騎乗馬はほぼ確実に人気を背負うことが多く、馬券での付き合い方は非常に重要度が高い。今回のコラムではルメール騎手の成績を細かく振り返り、同騎手を「買える条件・買えない条件」について精査。2021年の年始開催からさっそく使えるデータをご紹介する。

ルメール騎手2020年の成績


2020年は204勝を積み重ね、キャリアハイの2018年(215勝)以来となる年間200勝を達成した。中でも目立つのがGⅠ8勝という金字塔。世代限定戦では福永騎手・松山騎手にそれぞれ牡牝三冠をさらわれて未勝利も、3・4歳以上戦では【8-1-1-2】複勝率83.3%と他を圧倒する結果を残した。

GⅠに騎乗した22レースのうち11レースで1番人気に支持されたが、この条件でも【8-2-0-1】とほぼ完璧な数字。唯一の着外は宝塚記念サートゥルナーリア4着で、掲示板を外す凡走が一度もなかったことは特筆に値する。単勝回収率153%・複勝回収率119%と馬券的にも優秀で、GⅠで人気を背負ったルメール騎手は無条件で軸に据える必要がありそうだ。

長距離はルメールの単勝を買え

ルメール騎手を「買える条件」(過去5年)


続いて、より条件を細かく設定して「買える条件」をピックアップした結果、最初に注目したいのは重賞で前走と乗り替わりとなる馬に騎乗する場合。過去5年での単勝回収率は142%に達し、直近4年連続で単勝回収率100%超えを達成している。この条件で単勝を買い続ければほぼ確実に収支プラスが見込める力強いデータだ。

さらに簡単に使えるのが2500m以上の長距離戦。「長距離は騎手で買え」という格言を地で行く単勝回収率142%がその証だ。こちらも2017年以降の単勝回収率が178%→191%→118%→148%と高水準で推移しており、平場のレースにも応用して着実に的中を積み重ねながら収支を改善できそうだ。

馬主別ではサンデーレーシング・シルクレーシング所有馬の芝レースを狙いたい。中でもキレ味自慢に騎乗した際の安定感は天下一品で、前走上がり2位以内に限定すると【71-31-23-59】複勝率67.9%と並の1番人気馬をしのぐ好走率を誇っており、単勝回収率も115%をマーク。同条件では過去5年で4度単勝回収率100%を超えている。

短距離はルメールを消せ

ルメール騎手を「買えない条件」(過去5年)


最後に前段と対照的に、ルメール騎手の「買えない条件」についても触れておく。複勝率45.6%とやや苦手にしているのが1200m以下の短距離戦。グランアレグリアでのスプリンターズS制覇が記憶に新しいだけに意外な印象があるかもしれないが、全体成績では単勝回収率57%と厳しい数字となっており、過去5年で単勝回収率70%を上回った年が一度もない。特に2番人気以下に限ると【22-45-20-177】と3回に1回しか馬券になっておらず、原則的に消しで勝負したほうが回収率の期待値が高い。

人気を集めやすい継続騎乗も、単勝回収率で見ると66%という低調な数字。特に4歳以上戦に限定すると45%まで低下しており、依然5割を超える複勝率を保つものの、勝率は15.5%にまで低下する。

全体的にまずまずの割合で好走しているものの、「あのルメールが選んだ馬」という心理的要素から過剰な馬券の売れ方をしている影響がありそう。2・3着づけの馬券を買うのが賢い選択だと言える。

また脚質別では、前走逃げ馬の馬券収支が微妙。芝では単勝回収率57%・複勝回収率73%とさらに強調しにくく、疑問視から入るべきだろう。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

ルメール騎手成績


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