【菊花賞】馬場不問のステラヴェローチェ中心もヒモで狙ってみたい伏兵とは

勝木淳

菊花賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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関西馬が圧倒的

2歳6月からスタートした長く険しいクラシックロードの最終戦・菊花賞。舞台は阪神芝3000m。今年は淀ではなく仁川の坂越えが最後に待ち構える。阪神で菊花賞が行われたのは79年。重馬場で行われた持久力戦を制したハシハーミットの母の父はシンザン。東京五輪が開催された64年の三冠馬だ。阪神で行われる菊花賞は42年ぶり。ここではコースの違いに注意しつつ、ローテーションを中心に過去10年間のデータを使用して傾向を探る。


過去10年菊花賞人気別成績,ⒸSPAIA


菊花賞は未体験の3000m戦だけにかつては波乱決着が多かったものの、ここ10年は1番人気【6-0-2-2】勝率60%、複勝率80%と堅実。馬券圏外だったのは14年ワンアンドオンリー9着、18年ブラストワンピース4着の2回。今年は皐月賞馬もダービー馬もいない。春のクラシック未勝利馬の1番人気は【3-0-2-1】、勝率50%、複勝率83.3%。クラシックホース不在でも波乱が待っているとは限らない。一方、2番人気は【0-3-0-7】と一気に信頼度が落ちる。また3番人気は【2-0-2-6】。悪くはないが、馬券圏外が6回もあり、人気馬を買うなら1番人気だろう。


過去10年菊花賞所属別成績,ⒸSPAIA


春は関東馬エフフォーリアが皐月賞を勝ち、関西馬シャフリヤールがダービーを勝ったので、東西成績はイーブン。で、菊花賞はどうかというと、圧倒的に関西馬。関東馬【1-0-2-46】勝率2%、複勝率6.1%に対して関西馬は【9-10-8-104】勝率6.9%、複勝率20.6%。

なお、皐月賞は関東馬【5-2-4-52】、関西馬【5-8-6-91】と勝利数でイーブン。日本ダービーは関東馬【2-5-5-52】、関西馬【8-5-5-96】と徐々に東西差が顕著になり、菊花賞で大きく差が開いてしまう。上位人気になるオーソクレース、セントライト記念を勝ったアサマノイタズラ、皐月賞2着タイトルホルダーら関東勢は意地を見せられるか。


トライアル組はステラヴェローチェだけ

ここからはトライアルを中心にローテーションごとに好走パターンを割り出し、データから買える馬を導きたい。


過去10年菊花賞前走レース別成績,ⒸSPAIA


前走レース別成績を見ると、王道のトライアル神戸新聞杯が【8-5-4-49】勝率12.1%、複勝率25.8%。ディープインパクトが無敗の三冠を達成した05年からずっと神戸新聞杯組が3着以内に入っており、ここは絶対に無視してはいけない。


過去10年菊花賞前走神戸新聞杯組着順別成績,ⒸSPAIA


直近10年間の神戸新聞杯での着順別成績をみると、1着【5-0-1-1】、2着【1-4-1-4】、3着【2-1-0-6】、4、5着【0-0-2-13】、6着以下【0-0-0-25】。優先出走権を獲得した3着以内が断然優位。ここはステラヴェローチェ、レッドジェネシス、モンテディオに絞っていい。


過去10年菊花賞前走神戸新聞杯組前走人気別成績,ⒸSPAIA


今年の神戸新聞杯は道悪になり、1番人気シャフリヤールが4着に敗れ、波乱決着。そこで神戸新聞杯での人気別成績を調べてみた。ステラヴェローチェが当てはまる2番人気は【1-2-2-3】勝率12.5%、複勝率62.5%。

なお神戸新聞杯1番人気馬不在、2番人気参戦というケースはこの10年で2回。17年(神戸新聞杯1番人気レイデオロ)は神戸新聞杯2番人気キセキが菊花賞1着、19年(神戸新聞杯1番人気サートゥルナーリア)は神戸新聞杯2番人気ヴェロックスが菊花賞3着だった。ステラヴェローチェは上記2頭と異なり、神戸新聞杯を勝っており、凡走は考えにくい。

対照的にレッドジェネシスの5番人気は【0-0-0-5】、モンテディオの6~9番人気は【1-1-1-19】。神戸新聞杯の時点で上位人気に評価されなかった馬の巻き返しは難しい。


過去10年菊花賞前走セントライト記念組着順別成績,ⒸSPAIA


次は神戸新聞杯とは対照的なセントライト記念【1-3-2-46】について。神戸新聞杯組から1頭しかあげなかった以上、こちらにもチャンスはあると踏む。そこでセントライト記念の着順別成績を出すと、2着が【0-2-2-4】複勝率50%と目立つが、今年はソーヴァリアントが不出走。

アサマノイタズラが該当する1着は【1-0-0-6】。勝ったのは15年キタサンブラック。同馬は皐月賞3着とクラシック実績があった。ほか3着以下は【0-1-0-36】。掲示板にきたオーソクレース、ヴィクティファルス、大敗したタイトルホルダーなども含め、今年もセントライト記念組は厳しそうだ。


前走条件戦組の取り扱い

となるとトライアル以外の条件戦上がりに注目せざるを得ない。過去10年条件戦からの好走は前走2勝クラス【0-1-4-36】に限られる。ちなみに前走3勝クラスは【0-0-0-6】。


過去10年菊花賞前走2勝クラス組前走距離別成績,ⒸSPAIA


前走2勝クラスについて距離別成績をみると、2200m【0-1-2-2】、2600m【0-0-1-3】と不思議と非根幹距離の成績がいい。これは菊花賞が天皇賞(春)とは異なり、非根幹距離の3000m戦であることと関係しているのではないか。かといって2500m(主に9月中山の九十九里特別)は【0-0-0-6】。出走ライン以内だとヴェローチェオロ、エアサージュ、ディヴァインラヴが当てはまる。伏兵はこの3頭ではないか。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 1995-1999 90年代後半戦』(星海社新書)。


菊花賞インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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