【2歳馬ジャッジ】また芝短距離に破格の指数を記録した怪物ウィリンが出現 フィデルの評価は?
山崎エリカ
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目指せ「2歳戦で大儲け」
このコラムでは「2歳戦で大儲け」を目指して、古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は福島でウィリンが7馬身差の圧勝劇、小倉ではフィデルが1.1倍の断然人気に応えた7月1週目の2歳戦について、各レースの指数と注目馬の評価を掲載する。
※指数算出に時間がかかるため、評価対象は1週前のレースまで
7月3日(土) 函館1R 優勝馬 ナムラリコリス 指数-3 評価B
新馬戦ではポメランチェの圧倒的なスピードの前に追走に苦しみ、やっと2着に流れ込んだという内容だったナムラリコリス。2着とは言っても相手次第で、勝ち馬になっていてもおかしくない指数は記録していた。ただ、この手の余裕のない内容の2着馬は次走で凡退することもあり、メンバーが軽くなったとはいえ、危険要素もある1番人気と見ていた。
ところがナムラリコリスは良い意味で期待を裏切った。スピード感たっぷりに好位を追走し、メンバー最速の上がり3Fタイムを記録して快勝。レース内容は新馬戦時から大幅に良化し、潜在能力の高さを感じさせた。ナムラリコリスは函館2歳Sに出走してくるようだが、指数上位の人気馬たちに破綻があった場合には、キャリアの豊富さを生かして穴での好走の可能性を感じる馬だ。
また、この未勝利戦で2着したのは、カイカノキセキの新馬戦で6着だったプラソン。このことからカイカノキセキが勝利した新馬戦は、かなりメンバーの質が高かったことも読み取れる。
7月4日(日) 函館5R 優勝馬 アルナシーム 指数-3 評価A
スタートはゆっくり出たアルナシーム。そのまま後方を追走し、3角過ぎから進出開始。外を回りながら好位に上がっていく時のスピード感が良く、直線では外から抜け出し、2馬身差で勝利した。
ラスト2Fは11秒8-12秒0と減速した形。これが最後まで加速できていたならばクラシック級ということになるが、道中でかなり外を回っただけに、最後にバテたのは仕方がない。粗削りなレースぶりは今後の成績にムラが出やすいタイプと感じさせるが、いかにも走りそうな馬体とバネには将来性を感じる。
7月3日(土) 小倉1R 優勝馬 インプロバイザー 指数-3 評価B
新馬戦では出遅れて後方からのレースで2着だったインプロバイザー。今回はスタートを決めて2番手でレースを進め、最後までジワジワと伸びて押し切った。小倉開幕日で馬場は超々絶高速だったのでタイム(1分07秒9)が速いのは当然だが、指数もこの時期の未勝利戦としては水準レベルにある。レース内容は新馬戦からかなり良化したので、今後のさらなる成長に期待したい。
また、このレースの上位馬はほとんどメリトクラシーが勝利した新馬戦組に占められた。メリトクラシーの新馬戦は走破タイムが平凡だったために、余力を残せた馬が多かったということを再認識した。
7月4日(日) 小倉5R 優勝馬 フィデル 指数-1 評価B
フィデルは行きたい馬に行かせて4番手でレースを進め、4角手前では早くも先頭に並びかけ、そのまま抜け出して勝利した。新馬戦のレース運びとしては優秀。
4着以下は大きく離れており、これも評価できる点。ただ、ラスト2Fのラップは11秒0-11秒5と減速していた。日本レコードが連発した小倉の超々絶高速馬場を考えると、もっと最後にグンと伸びて欲しかったところがある。こちらも今後の成長に期待。
7月4日(日) 小倉6R 優勝馬 ショウナンマッハ 指数-3 評価B
数字上は速いラップを刻んでいたが、先述のような馬場状態を考えるとそこまで厳しいペースではない逃げだったショウナンマッハ。直線に入っても余裕を感じさせる走りで3馬身差の快勝。
なかなかインパクトのある勝ち方だったが、ラスト2Fは11秒5-11秒9と減速。見た目よりは余裕がなかったのかもしれない。ただ、逃げて新馬戦を勝利する馬は次走で化けることも多々。注目していきたい。
7月3日(土) 福島5R 優勝馬 ウィリン 指数-8 評価AA
スタートはあまり良くなかったが、そこから回転の速いフットワークで加速すると一気にハナを奪ったウィリン。4角手前から後続を引き離し、直線では完全に独走。7馬身差をつける衝撃の圧勝だった。時計の掛かる福島ということを考えるとタイムは優秀。指数は6月札幌のポメランチェと並ぶ、2歳新馬としては破格のものだった。
ただ、レースのラスト2Fは11秒2-11秒9。映像から余裕の独走に見えても、やはり最後は一杯になっていたことがわかる。今回のウィリンの走りは異様に強かった。高い潜在能力を秘めていることは明らかだが、疲労はかなり残るはず。タフな馬場の全力疾走となった今回の内容は、時計の速い札幌のポメランチェ以上にダメージは残りやすいはずだ。
あの名馬ロードカナロアでさえ、新馬戦を高指数で独走した後は疲れが残ってしまい、その後は2戦連続で敗退している。ロードカナロアが本当に能力を出せるようになったのは、古馬になってからだった。ウィリンも今後を楽観視できない面はあるが、潜在スピードは抜群。その能力が発揮できるコンディションになれば、短距離でかなり大きいところを目指せるだろう。
7月3日(土) 福島6R 優勝馬 イチネンエーグミ 指数-5(ダート) 評価B
イチネンエーグミは2歳の現時点で馬体重538キロの非常に大きな馬。小学校の運動会に中学生が混じっていると形容したくなるほど、他の馬と大きさが違う。迫力満点の逃げ。そしてそのまま逃げ切った。タイムも悪くない。
高く評価すべきは、逃げながらもメンバー最速の上がり3Fタイムを記録して勝利したことだろう。フットワークも大きく、なかなか面白い存在になりそうだ。
7月4日(日) 福島1R 優勝馬 グランドライン 指数-4 評価B
新馬戦では出遅れて能力を出し切れなかったグランドラインだが、今回はスタートを決めて逃げる競馬。直線では外から迫る差し馬のほうが脚色優勢だったが、最後までバテず、結果、逃げてメンバー最速の上がり3Fタイムで完勝。かなりのスタミナを秘めていそうな内容だっただけに、条件が揃った時に面白そうだ。
7月4日(日) 福島5R 優勝馬 ウインピクシス 指数-2 評価A
ウインピクシスはスタートを決めると、軽快なスピードでハナを奪ってしまいそうな勢い。そこからしっかり折り合って2番手の好位で流れに乗る。4角手前では先頭に並びかけ、そのまま直線では独走、後続に3馬身半差をつけて圧勝だった。
同日の他レースと上がり3Fタイムの比較などをしていくと、そこまで高い指数にはならなかったのだが、レースセンスは抜群だし、何か数字以上の強さを感じさせられる馬。今後が楽しみだ。
【パワーポイント指数(PP指数)とは?】
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ウィリンの指数「-8」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.8秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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