【ホープフルS】クロワデュノールとマジックサンズは消し ハイブリッド式消去法

八木遊

2024年ホープフルステークスの消去法データ,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週の有馬記念は本命ダノンデサイルがマイペースで逃げて3着、2着に入った対抗シャフリヤールとのワイドが的中した。大幅プラス収支というわけにはいかなかったが、これで気分良くクリスマスを迎えることができそうだ。

ただ競馬界の一年はまだ終わっていない。今週土曜日には、中山競馬場で2歳の中距離王者を決めるホープフルSが行われる。いつも通り、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、当てはまった馬を消していく。GⅡ時代を含めた過去10年のデータを基に、除外対象のアリオーンスマイルも含めた19頭を対象とする。

『キャリア3~5戦』×『前走から中3週以下』★0.0%★

まずは馬のキャリアから。まだデビューから半年も経たない馬がほとんどなだけに、使われたレース数は少ない。注目したのは今回、キャリア3~5戦で臨む馬。過去10年で【3-2-4-62】(複勝率12.7%)と成績はいまひとつだ。

特に、前走から中3週以下という短い間隔で出走してきた馬に限ると【0-0-0-26】(同0.0%)で、3着以内は1頭もいなかった。

今年このデータに当てはまったのは、除外対象(*)のアリオーンスマイルと4戦目となる前走で未勝利を勝ち上がったばかりのニシノエージェント。後者は、前走の勝ちっぷりは悪くなかったが、メンバーレベルが一気に上がる今回はさすがに厳しいだろう。

【今年の該当馬】
・アリオーンスマイル*
・ニシノエージェント

『前走2000m』×『前走0.1秒差以上で負け』★0.0%★

次に前走距離に注目した。前走1800mを中心とした距離延長組が【6-5-5-51】(複勝率23.9%)で、対する前走2000mの同距離組が【4-5-5-69】(同16.9%)と劣勢。特に「同距離組」の馬は前走で0.1秒差以上で負けていると【0-0-0-22】(同0.0%)だった。

つまり同距離組がホープフルSで馬券に絡むには、前走を勝つか、タイム差なしの接戦だったことが条件となる。

今年は以下の4頭が「凡走データ」に当てはまった。ヤマニンブークリエには、JRA・GⅠ完全制覇を狙う武豊騎手が騎乗予定だが、その夢は来年以降に持ち越しとなりそうだ。

【今年の該当馬】
・クラウディアイ
・ジョバンニ
・ヤマニンブークリエ
・レーヴドロペラ

『非社台系生産』×『ミスタープロスペクター系』★0.0%★

3つ目は生産牧場別データから、社台系(ノーザンファーム/社台ファーム/追分ファーム/社台コーポレーション白老ファーム)以外の牧場で生産された馬に注目した。

過去10年の成績は【1-6-2-74】(複勝率10.8%)と低調で【9-4-8-46】(同31.3%)の社台系牧場生産馬に圧倒されている。特にミスタープロスペクター系の馬に限ると、16頭すべてが4着以下に負けていた。

この条件には消去済みのクラウディアイに加えて、アスクシュタインとショウナンマクベスの計3頭が該当した。

ショウナンマクベスは出世レースの百日草特別を快勝したが、勝ち時計は17年以降の同レースで最も遅かった。加えて、2走前に右回りの札幌で8着に敗れていることから、同じく右回りの中山に替わるのはマイナスだろう。

【今年の該当馬】
・アスクシュタイン
・(クラウディアイ)
・ショウナンマクベス

『秋開催(セントウルS開催週~)デビュー』×『デビュー戦で単勝オッズが5.0倍以上』★2.8%★

続いては各馬のデビュー時期を取り上げる。かつては翌春のクラシックを目指す馬は秋の京都や東京でデビューするのが王道だった。ところがここ10年ほどで、有力馬は6月の東京など早期にデビューするケースが増えている。

そこで注目したのは、秋競馬(セントウルS開催週~)が初戦だった馬だ。過去10年の成績は【4-3-4-45】(複勝率19.6%)で、秋競馬より早期にデビューした組の【6-7-6-72】(同20.9%)にやや劣る。

特にデビュー戦で単勝オッズが5.0倍以上だった馬は【0-0-1-35】(同2.8%)。唯一馬券に絡んだのは、17年に8番人気で3着に入ったステイフーリッシュだけだった。

今年このデータに当てはまったのはジュタとファウストラーゼンの2頭。特に前者は底を見せていない点で魅力があるが今回は消去する。

【今年の該当馬】
・ジュタ
・ファウストラーゼン

『キャリア2戦以下』×『前走4角2番手以内』★9.5%★

最後はもう一度、馬のキャリアを取り上げる。今度はキャリア1~2戦の馬で、前走時の4角通過順が2番手以内というデータを掛け合わせた。過去10年の成績は【1-1-0-19】(複勝率9.5%)で、消去条件の「複勝率10%未満」だ。

今年この条件に当てはまったのは以下の5頭。クロワデュノールやマジックサンズなどいずれも上位人気が予想される有力馬ばかりだった。

どの馬もレース経験が浅く、中山コースも未経験。馬群で揉まれる競馬もほとんどしたことがない。小回りコースで馬群に入った時に経験不足が露呈する可能性は少なくないだろう。

【今年の該当馬】
・アマキヒ
・クロワデュノール
・ピコチャンブラック
・マジックサンズ
・(ヤマニンブークリエ)

全ての条件を終えて残ったのは、ジェットマグナム、ジュンアサヒソラ、デルアヴァー、マスカレードボール、リアライズオーラムの5頭。この中から本命にジェットマグナムを指名する。

今回のメンバーで唯一、中山芝2000mを勝利したアドバンテージがあるのは大きな強み。加えて、福島での新馬戦も内容は秀逸で、この舞台なら上位人気勢をまとめて負かしても不思議ではない。

馬券は同馬の単複と他4頭へのワイド。保険としてマスカレードボールとデルアヴァーのワイドも押さえておく。

【ライタープロフィール】
八木 遊
野球兼競馬ライター。スポーツデータ会社やテレビ局の校閲職などを経てフリーに。2023年8月から長期休養に入っていたが、24年6月に再開。今年はワイドを中心にコツコツ的中を狙う。

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