【2歳馬ジャッジ】一見地味だが光った内容 指数・評価ともにコマンドラインを超えてトップの馬は?
山崎エリカ
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目指せ「2歳戦で大儲け」
このコラムでは「2歳戦で大儲け」を目指して、古馬のレースと比較しながら新馬戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。初回となる今回は、コマンドラインが話題を集めた新馬戦開幕週を始め、2週分の新馬戦について各レースの指数と注目馬の評価を掲載する。
※指数算出に時間がかかるため、評価対象は1週前のレースまで
6月5日(土) 東京5R 優勝馬 コマンドライン 指数-3 評価A
ノーザンファームの期待馬ということで、単勝オッズ1.1倍の圧倒的な支持を集めたコマンドライン。好位の中目で折り合い、直線では馬場の良い外に出すとジワジワと伸びて快勝。結果、開幕週の東西新馬戦の中では一番良い指数で勝利した。
ただ、近年の東京開幕週の新馬戦はかなり高い指数で勝ち上がる馬が出現し続けており、それらと比較した場合には明確に劣る。また同週の古馬との比較をした場合も、走破タイムはやや平凡、上がり3Fタイムもそこまで秀逸とは言えなかった。
しかし、国枝厩舎の馬は後に成長させるために新馬戦から目一杯に仕上げてこないことが多々。やや期待はずれな新馬戦ではあったが、それなりの内容で勝利したことを評価したい。
6月6日(日) 東京5R 優勝馬 クレイドル 指数-1 評価B
上位3着までをノーザンファームの馬が占める結果になった牝馬限定戦。走破タイム自体は前日の芝マイル戦と同じだが、こちらの方が道中速いラップで流れており、指数面の評価はこちらの方が劣ることになる。ラスト1Fの数字も落ち込んでおり、そこまで余裕があったという評価はできない。
今回のレース内容だけで評価するならば、結果2着となったレディナビゲーターは、出遅れから上がり3F最速タイムをマークしており、次走の内容次第では面白い存在になるかもしれない。
6月6日(日) 東京6R 優勝馬 ビーオンザマーチ 指数-2 評価B
特に強烈なインパクトを受ける新馬戦ではなかったが、タイム面の比較をしていくと同日の8レース(古馬1勝クラス)と1.6秒差で決着。前半2Fのラップは6レース新馬戦の方が遅かったことを考えると、指数面は悪くないという評価になる。早い時期にデビュー出来たというアドバンテージも含め、注目しておきたい。
6月5日(土) 中京5R 優勝馬 クラウンドマジック 指数-2 評価B
クラウンドマジックはスタートで大きく出遅れて後方待機。そのまま脚をタメて直線では外に出す形。前が残りそうな流れだったが、なかなか大きなフットワークで最後まで伸びて差し切った。上がり3Fタイムは出走メンバー中では断トツ。同日古馬との比較でも上がり3Fタイムは悪くないのでなかなか強い。
ただ、こういったレース内容で勝利した馬は、底知れぬ魅力を持つ半面、勝ちに行く競馬をすると意外に脆さを見せることが多々ある。次走のレース内容次第で大物かどうかが測れそうだ。
6月6日(日) 中京5R 勝ち馬 ブレスレスリー 指数-1 評価B
スタートはやや遅かったが、そこからダッシュ鋭くハナを奪い、逃げる競馬。しっかり折り合って、直線では馬場の良い外に出し、そのまま押し切って勝利した。小さい体で回転の速いフットワークをする馬だ。
ラップ的には最後に急失速した形になっているが、4着以下は大きく引き離しており、古馬との比較でも走破タイムは悪くない。逃げて勝つということは、厳しい流れを自ら作って勝利するということ。評価は低くなりがちだが、容易いことではない。逃げて勝利した馬は次走で上積みを見せることが多いだけに注目したい。
2週目の新馬戦評価
6月12日(土) 東京5R 優勝馬 ハイアムズビーチ 指数-2 評価B
大注目となった白毛ちゃんの新馬戦。ハイアムズビーチは先団外目でスムーズに折り合い、4角ではさらに馬場の良い外に出しながら前を捕らえに行き、そのままジワジワと伸びて快勝した。走破タイム1分22秒2は悪くない。前週のビーオンザマーチが勝利した東京芝1400mの新馬戦と比較した場合、タイム自体はこちらの方が良い。ただ、こちらの方が道中のラップタイムが速く、指数上の評価としてはビーオンザマーチと同等になる。
この馬の場合は白毛ということで前年のソダシと比較されてしまうが、ソダシは道中2番手に付けてゴールに向けてのラスト1Fでさらに加速するという、新馬戦としては最高の内容で勝利した馬。ソダシと比較すると劣る内容だったことは否めない。しかし、2歳の6月の時点でデビューできる時点で、その後のクラシック戦線までは何度も使いながら、成長を期待できるだけに有利。白毛遺伝子の底知れぬパワーに期待したい。
6月13日(日) 東京5R 優勝馬 ヴァーンフリート 指数-1 評価B
ヴァーンフリートはスタートがあまり良くなかったが、少しずつ位置を上げて4角では好位の外でレースを運び、仕掛けて直線では早めに先頭に立つ。外から来た2着馬グランシエロの脚色が良く、負けそうな展開だったが、並ばれると本気を出し、差し返しの勝利を決めた。
数字面での評価をするとラスト3F34秒2はマズマズ。ラスト2Fのレースラップは11秒0-11秒9と落ち込んだ形で、芝1800mの並レベルの新馬戦としてありがちなレースラッフだった。よって、評価もマズマズというところに落ち着く。ただ、まだ2歳の6月。この手のレースラップの新馬戦は、夏の新潟開催で嫌になるほど見ることになるが、6月と8月で同等なものならば、やはり6月にマークした数字の方が価値はある。この馬も2歳重賞で渋い活躍をしていくかもしれない。
6月12日(土) 中京5R 優勝馬 セリフォス 指数-4 評価AA
セリフォスはスタートがひと息だったがすぐに二の脚がついて、2列目の中目。3角で2番手に上がり、直線では早め先頭に立ち、そのまま押し切る競馬。一見、地味に見えるが、実際はこういう競馬内容が一番強い。走破タイム1分35秒0もそれなりに速いし、その上で上がり3F34秒4は、同週の古馬との比較上も悪くない。最後の2Fも11秒3-11秒5と、レースが流れたわりには失速しておらず、なかなか優秀と言える。
今年の新馬戦が始まって2週目だが、新馬戦の内容としては一番価値が高い。今後が期待できるだろう。レースの上がり最速はスタートで少し出遅れて中団外からの競馬になった2着ベルクレスタが記録した。この馬もなかなか強そうだ。このタイプが次走の未勝利戦で化けた場合は、かなり強くなることが多い。
6月13日(日) 中京5R 優勝馬 メリトクラシー 指数‐1 評価B
逃げてそのまま押し切って勝利したメリトクラシー。走破タイムは1分10秒7と平凡であったことから、そこまで高い評価はされにくいだろうが、雨が降り、良馬場発表でも馬場が悪くなり始めたタイミングだったことを考えれば、そんなに悪くない。ラスト2Fは11秒5-11秒7。1200mの新馬戦でレベルが低いレースならば、もっとラスト1Fで落ち込むものだが、大きく減速せずにまとめたあたりからも、なかなか強い勝ち方だったと言える。短距離のオープンなどで渋い活躍をしていく馬になりそうだ。
6月12日(土) 札幌5R 優勝馬 カイカノキセキ 指数-2 評価A
スタートがそこまで速かったわけではないが、二の脚の速さでハナを奪い、そこからいったん抑えて、折り合いながら逃げる競馬。直線を向いて追い出されると、ラスト2Fを11秒2-11秒3とほぼ減速することなく逃げ切った。レコード勝ちということ自体に価値はないが、レース内容は優秀だったと言える。1000mの新馬戦ではあるが、途中でタメが効いており、マイル戦のような内容。一介の短距離馬と言った感じではない。今後かなり面白い馬になりそうだ。
6月13日(日) 札幌5R 優勝馬 トーセンサンダー 指数-4 評価B
トーセンサンダーは二の脚が速く、抑え切れない手応えで2番手まで上がって行き、直線入口で先頭の並びかけると、そのまま押し切ってレコードタイムで勝利。3着馬に3馬身半差を付けて勝利した。走破タイムは同日の古馬重賞、函館スプリントSと1.3秒差、9レースの古馬1勝クラスと0.4秒差だから、走破タイム自体はかなり優秀。
ただ、他の芝のレースのタイム推移を見れば判ることなのだが、この日の札幌は後半のレースに向けて馬場が悪くなっていった日。よって、5レースの時点でのタイムは、額面ほど優秀というわけではない。またレースラップを見るとラスト2Fの数字は11秒3-12秒0とかなり大きく落ち込んでいる。これはあまり余裕がなかった証拠になってしまう。
そしてこういった目一杯のレースは疲れを残しやすく、次走反動が出ることも多い。レコード勝ちということでトーセンサンダーは次走でも高い評価を受けそうだが、評価はこの新馬戦でクビ差の2着だったグラスミヤラビが次走、未勝利戦でどんな成績になるかで判断した方が良さそうだ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)コマンドラインの指数「-3」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.3秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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