【2歳馬ジャッジ】6月は新馬一発でGⅠ級の馬は出現せず レッドベルアーム、ジオグリフの評価は?

山崎エリカ

2021年6月第4週の2歳馬ジャッジⒸSPAIA

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目指せ「2歳戦で大儲け」

このコラムでは「2歳戦で大儲け」を目指して、古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。

今回は評判馬揃いの新馬戦をレッドベルアームが勝ち、東京ではジオグリフが目立つ脚を見せた6月4週目の2歳戦について、各レースの指数と注目馬の評価を掲載する。

※指数算出に時間がかかるため、評価対象は1週前のレースまで



6月26日(土) 札幌1R 優勝馬 リトス 指数-5 評価B

札幌開催開幕日のカイカノキセキが勝利した新馬戦で2着だったリトスが、1番人気に支持されていたブッシュガーデンに3馬身半差をつけて快勝。新馬戦ではスタート後に外からカイカノキセキに寄られて手綱を引っ張るロスがあったが、今回はすんなり走れたことが良かった。

この時期の2歳馬としてはなかなか優秀な指数を記録。あと0.2秒分くらい高い指数で走れていれば過去、キャリア3戦目に函館2歳Sで馬券に絡んだ馬たち、に肩を並べられたのだが、今回の走りだと函館2歳S好走の当確ランプは付かない。

ただ能力はあるので、勝ったり負けたりしながら馬券的に面白い存在にはなっていきそうだ。



6月26日(土) 札幌5R 優勝馬 キングエルメス 指数-4 評価B

キングエルメスは内の馬を行かせて2番手で折り合い、4角では先頭に並びかけ、そのまま押し切る優等生的な競馬で勝利。この日のメインTVh賞や9レースの1勝クラスとタイム比較すると走破タイム自体はかなり優秀になる。

ただ、この日も札幌は後半に向けて馬場が悪くなっていく状況だったので、指数としてはトーセンサンダーが勝利した新馬戦と同等という評価になった。

レースを見ると直線では目いっぱいという感じはなく、まだ上昇が期待できそうに見える。ただ、この新馬戦で2着だったカルネアサーダは次走の未勝利戦で5着に敗退。

この結果から推測されるのは、この新馬戦は見た目よりもダメージが残りやすい厳しいレースだったのかもしれないということ。キングエルメスの次走への評価は現時点では難解だ。



6月27日(日) 札幌5R 優勝馬 ラブリイユアアイズ 指数-1 評価B

ラブリイユアアイズは逃げ馬の直後の2番手で流れに乗り、4角では先頭に並びかけ、そのまま押し切って勝利。レース運びとしては満点だったが、最後の1Fでは12秒6と大きく失速しており評価が下がる。今年6月札幌開催の芝新馬戦としては一番指数の低い決着となった。評価はBとしたがCに近いBだ。

ただ、6月の時点でデビューできていること、指数やラストの伸びが優秀ではなかったとしても、好位から押し切るレースぶりは数字以上に評価ができる。近年、新馬戦は東京、阪神組が圧倒的に強く、北海道組は平凡という傾向が出ていたが、今年の札幌組は東京、関西組に劣らないレベルだったと言える。



6月26日(土) 阪神1R 優勝馬 スタニングローズ 指数-3 評価B

新馬戦では2着だったスタニングローズ。デビュー2戦目の今回は抑え気味に好位でレースを運び、直線半ばでは早くも先頭に立ち、そのまま押し切る強い内容だった。指数はこの時期の2歳未勝利戦としては悪くないが、特筆するようなレベルでもない。

しかし、新馬戦と今回と2戦続けてメンバー最速の上がり3Fタイムを記録したことは評価できる。2歳戦において上がり最速を連続で記録できる馬は、後にかなり強くなることが多いからだ。このタイプはオープン等でいきなり強敵相手に好走することも多いので、警戒しておきたい。



6月26日(土) 阪神5R 優勝馬 タガノフィナーレ 指数-1 評価A

タガノフィナーレはスタートはそこまで速くなかったが、好発を決めた内枠の馬が抑えてくれたので、マイペースの逃げとなった。そしてそのまま直線に入ると、逃げこみ態勢。

ラスト2Fを11秒4-11秒2とゴールに向けて加速しながら勝利した。スローペースとはいえ、最後が坂の阪神でラスト1F11秒2はかなり優秀。それも自ら作ったラップだけにケチのつけようがない。

この馬の母タガノミューチャンも芝1400mの新馬戦をスローペースで逃げ切り勝ち。走破タイムが平凡だったので評価は上がらなかったが、次走500万下を人気薄で勝利し、阪神ジュベナイルFにまで駒を進めた。

新馬戦の内容は娘タガノフィナーレの方が上。この馬も母同様に評価は上がらないだろうが、穴馬として覚えておきたい。



6月27日(日) 阪神5R 優勝馬 レッドベルアーム 指数-3 評価A

例年、6月の阪神最終週、芝1800mの新馬戦は好素質馬が集い、これまでも後に大活躍する馬たちが多数出走してきた経緯から、今年も「すごい馬が出現するのでは?」と注目されていた。

レースは新馬戦としては緩みなく流れ、最後は前を行く馬がバテたところをレッドベルアームが差し切ったという内容。ラスト1Fはレースの見た目どおり、減速して決着している。

同日の同距離、城崎特別と比較してもタイムはそこまで目立ったものではない。当然、ラップも考慮して指数を算出したが、新馬戦としては良い部類ではあっても、皆が語るほど特に優れた指数にはならなかった。

もちろん、上位入線馬たちは素質の高い馬たちであろうし、今後の成長はあるのだろうが、例年のこの阪神芝1800m新馬戦で活躍した先輩馬たちと比較すると、今年は明らかに落ちると評価せざるを得ない。



6月26日(土) 東京5R 優勝馬 ジオグリフ 指数-4 評価AA

ジオグリフは好位の内で折り合い、直線では前を行くライバル達を目標にしっかりと脚を伸ばして勝利した。上がり3Fタイム33秒3は同日の同距離、江の島Sに出走した古馬たちと比較しても悪くない。

また走破タイム、ラップタイムを考慮して指数を算出してもなかなか良いという結論になった。今年6月の東京開催の新馬戦の中では一番優秀な新馬戦と言えそうだ。

ラスト2Fは11秒0-11秒3と減速する決着。これがラスト1Fで11秒0よりも速かったならば、ダービー候補、G1当確という評価になるが、そこまではいかなかった。このレースは4着以下が離された決着になっている。上位3頭はみな強い可能性がある。



6月27日(日) 東京5R 優勝馬 アバンチュリエ 指数-1 評価B

アバンチュリエはスタートダッシュがあまり良くなく、後方からのレースとなったが、直線を向いてラスト400m手前あたりからのグンとした伸びは光るものがあった。前を交わしてから最後にさらに伸びれば凄いという評価になったが、そこから脚色が一緒になってしまっている。

それはラスト2F11秒3秒-11秒6という数字にも出ている。メンバー最速の上がり3Fタイムを記録した点は高く評価できるが、勝ちに行った場合にはどうなるか。評価は次走以降どれだけ変わってくるかということになりそうだ。

結局、今年の6月東京開催の新馬戦では新馬一発で超大物と評価できるクラスの馬は出現しなかった。関西圏の新馬戦も例年よりはやや低調だった。夏、秋以降に超大物新馬が出現するのか、それとも使いながら未勝利戦で高指数を記録したような馬が主役になる年なのか。



6月27日(日) 東京6R 優勝馬 コンバスチョン 指数-6(ダート) 評価A

コンバスチョンは好位の直後の外を追走。直線に入るとしっかり伸び続け、前を行く馬たちが必死に走る中、最後までほぼまっすぐに走りきって4馬身差の完勝だった。ラスト2Fは12秒5-12秒3と最後まで加速し続けている。

また、最後までほぼまっすぐに走れたのは余裕があるからだし、体幹の強さを証明していることが多い。今年のJRAダート2歳新馬戦の中では指数が一番優秀。今後がとても楽しみだ。



2021年6月第4週2歳戦の指数と評価ⒸSPAIA



※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示 例)コンバスチョンの指数「-6」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.6秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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