【レパードS】メンバー集まりハイレベル化 戦ってきた相手からミッキーファイト、ジーサイクロンらを高評価

勝木淳

レパードステークスのアイキャッチ,ⒸSPAIA

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今年から三冠最終戦トライアルに

灼熱の越後名物3歳ダート重賞は、今年からその存在感が段違いに高まった。ダート三冠整備によって、10月の最終戦ジャパンダートクラシックが誕生し、レパードSは優先出走権がかかるトライアルレースになったからだ。ケンタッキーダービー3着フォーエバーヤング、東京ダービー馬ラムジェットが出走予定の本番へ向け、挑戦権を叩きつけるのはどの馬なのか。

がぜん注目度は高く、出走馬もハイレベル。前哨戦の条件も大きく変わり、以前のデータが通用しない可能性を薄々感じつつも、レース傾向を過去10年間のデータでつかんでいく。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【3-3-1-3】勝率30.0%、複勝率70.0%と堅い。ただ、2番人気以下では5番人気【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%、7番人気【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%、10番人気【2-3-2-51】勝率3.4%、複勝率12.1%など荒れっぽい。抜けた1番人気とそれ以下といった図式だが、ここもトライアルになり、上下差は縮まり、混戦に変化しそうだ。そうそう伏兵が激走するスキも少なくなっていくだろう。

馬体重別成績,ⒸSPAIA


ダートは大型馬が定番だが、まだ3歳ということもあり、460~478kgが【5-0-2-26】勝率15.2%、複勝率21.2%と500kg以上とそん色ない。成長途上という理由もあるが、新潟ダート1800mというコースの影響もあるのではないか。新潟は芝外回りと直線コースを軸に設計された競馬場であり、ダートコースは内回りコースの内側にしかつくれない。それでも他場より広く、中京と同じく1800mコースがある。

ただ、コース形状をみればわかるが、円に近い形をしており、曲線部分が占める割合が大きい。それでいて出口の角度がきつく、いわゆる小脚を使ってペースアップできる器用さが求められる。長いコーナーでの立ち回りを苦にするのは大型馬に多く、460~478kgの5勝に結びついているともいえる。

古馬2勝クラス突破のジーサイクロン

人気どころではミッキーファイト、ミッキークレスト、サンライズソレイユは500kg以上の大型馬。京都や東京など広いコースでの好走が多く、新潟は未経験。なんなく立ち回りそうな予感もしつつ、こればかりはやってみないとわからない。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走GⅢ【4-0-0-17】勝率、複勝率19.0%はすべてユニコーンSだが、同レースは今年から東京ダービートライアルとして4月京都ダート1900mに生まれ変わった。当然、データとしてはノーカウント。しかし、前走重賞経験という大枠に変化はない。むしろ、東京ダービー馬ラムジェットと一緒に戦っており、評価は落とせない。

ミッキーファイトは0秒7差3着と少し着差はついたが、2着サトノエピックも東京ダービー2着であり、最上位クラスと戦った事実は評価しよう。

前走条件戦・間隔別成績,ⒸSPAIA


東京ダービー5着ハビレ、UAEダービー帰りのバロンドール、サトノフェニックスなど今年のレパードSは明らかに層が厚くなった。例年、健闘する前走条件戦【3-6-4-72】がどこまで通用するか未知数ではあるが、3歳同士であれば、そこまで実力差が開いていない可能性も否定できない。前走条件戦は大きく中9週以上【0-2-0-6】と中8週以内【3-4-4-66】に分けて考えよう。

というのも中9週以上の条件戦とは3歳限定戦を指し、中8週以内は古馬条件戦だからだ。3歳限定の条件戦からここに向かう馬も2着が2頭いるので消しではないが、勝ち負けとなると古馬条件戦経由を上にとりたい。

前走3歳以上条件戦・クラス別成績,ⒸSPAIA


前走が3歳以上の古馬条件戦だった馬のうち、1勝クラスは【0-2-1-24】複勝率11.1%で、2勝クラスだと【2-2-2-41】勝率4.3%、複勝率12.8%、さらに3勝クラス【1-0-1-1】勝率33.3%、複勝率66.7%。3歳馬は5月末までに2勝すればオープンクラス。1勝馬と2勝馬の価値は古馬の基準より重い。まして今年は出走馬のメンバーレベルが高く、最低でも2勝クラス以上の経験はほしいところだ。

前走2勝クラス1着は【2-1-1-19】勝率8.7%、複勝率17.4%。6月の京都で3勝目をあげたジーサイクロンは同じく6月京都で1勝クラスを突破したミッキークレストより上位にとりたい。前走1勝クラスは過去の傾向でも苦戦しており、今年からはさらに厳しくなるだろう。古馬重賞プロキオンSに挑み、揉まれたブルーサンは雲取賞を勝ち、羽田盃2番人気の実績馬。距離延長でマイペースを貫けるようなら平然と巻き返す可能性はあるだろう。

レパードSのデータ,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

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