【ジャパンC】東大HCの本命はイクイノックス 相手は「勝負付けが済んだ馬」を狙う

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三冠牝馬リバティアイランドvs世界最強・イクイノックス

今週日曜は東京芝2400mを舞台に、GⅠ・ジャパンCが行われる。秋古馬三冠第2戦にして今年の東京開催を締めくくるビッグレース。今年は三冠牝馬リバティアイランドvs世界最強馬・イクイノックスという夢のカードが実現した。果たして「2強」で決着するのか。また2強で決着した場合、残りのひと席はどの馬のものになるのか。競馬ファンなら誰もが夢見た一戦、過去のデータを参考に馬券戦略を考えていく。

両雄並び立たず?

イクイノックスが勝利した国内GⅠの2着馬,ⒸSPAIA


<イクイノックス国内GⅠ・4連勝時の2着馬>
22年天皇賞(秋)/パンサラッサ/7番人気(22.8倍)
22年有馬記念/ボルドグフーシュ/6番人気(14.1倍)
23年宝塚記念/スルーセブンシーズ/10番人気(55.7倍)
23年天皇賞(秋)/ジャスティンパレス/6番人気(35.1倍)

イクイノックスが国内GⅠを4連勝した際の2着馬は7番人気、6番人気、10番人気、6番人気。この4戦の馬連平均配当は2080円だ。いずれもイクイノックス自身が1番人気であることを考えれば、かなりのオッズがついたといっていい。どのレースも大逃げや追込など、自分の競馬に徹した人気薄の馬が2着に激走している。

裏を返せば、イクイノックスを除く5番人気以内の馬は3着が精一杯。有馬記念のタイトルホルダーや前走のドウデュースなど、数々の対抗馬たちが馬券圏外に沈んでいった。「打倒イクイノックス」の立場で好走するのは、それだけ至難の技なのだろう。

イクイノックスを除いた5番人気以内の16頭を見ていくと、馬券圏内は3着4頭だけとなる。イクイノックスがどれほど強く、人気薄がいくら激走したとはいえ、上位人気馬がことごとく馬券圏外となるのも不思議だ。ここで一つの仮説が浮かび上がる。「イクイノックスと初対戦、もしくは勝ったことがある馬は過剰人気しがち」なのではないか。

イクイノックスが勝利した国内GⅠ、イクイノックスとの対戦歴別成績,ⒸSPAIA


<イクイノックスが勝利した国内GⅠ 他の人気馬成績>
イクイノックスと……
初対戦 or 勝利歴あり【0-0-2-5】複勝率22.2%/複勝回収率44%
対戦済みで勝利歴なし【0-0-2-7】複勝率28.6%/複勝回収率55%
※1~5番人気馬

イクイノックスが勝利した国内GⅠで5番人気以内だった16頭を対象に調査すると、複勝率も複勝回収率も、「イクイノックスと対戦済みで勝利歴なし」のグループが上回った。

2022年の天皇賞(秋)では皐月賞とダービーでイクイノックスに敗れたダノンベルーガが3着。一方、古馬の1、2番手だったシャフリヤールとジャックドール、皐月賞でイクイノックスに勝利したジオグリフは馬券外に敗れた。今年の天皇賞(秋)もドウデュースが2番人気に推されたが、1.4秒差の7着に惨敗。「打倒イクイノックス」を期待された初対戦プログノーシスも3着に終わり、既に4度イクイノックスに敗北を喫していたジャスティンパレスがこれを差し切った。

イクイノックスに敗れた馬は評価が下がりやすく、「イクイノックスを負かすのでは」と期待される馬は人気が高くなりやすいようだ。人気した馬も実力があるが故に、相手を意識した競馬になりがちなのではないか。イクイノックスをピッタリマークした結果、直線で伸びきれなかった前走のドウデュースがまさにその典型だろう。

今回、イクイノックスと初対戦で人気しそうなのがリバティアイランドとスターズオンアース。一方、イクイノックスに敗れて評価を落としそうなのが、ドウデュース、タイトルホルダーなど。馬券妙味を考え、後者の評価を上げる方向性で馬券を組んでいく。

天皇賞(秋)はインパクト大きい勝ち方

◎イクイノックス
言わずと知れた世界最強馬。なんといっても前走・天皇賞(秋)の勝ち方が鮮烈だった。前半1000m57.7という超ハイペースを3番手で追走し、直線ではあっという間に後続を突き放して圧勝。2、3着がともに追込馬となった通り前には厳しい展開だったが、これをあっさり勝ち切る異次元の競馬だった。

今回が前走と同様、タイトルホルダーやパンサラッサによってハイペースの消耗戦になりそうなのは好材料。絶好の1枠に入ったため、道中はおそらくタイトルホルダーの後ろで先行して競馬を進められるだろう。早めに前を捉えて後続をグングンと突き放し、天皇賞(秋)の再現となるはずだ。サラブレッドはどこまで強く、そして速くなれるのか。週末の府中で行われるその答え合わせが、もう楽しみで仕方ない。レコードの反動やキャリア初の中3週が不安視されるが、それらを吹き飛ばすほどの絶対的な能力をイクイノックスは持っている。

◯タイトルホルダー
昨年の宝塚記念ではパンサラッサが作った1000m57.6の超ハイペースを番手で追走。直線の入り口で先頭に立つと、そこからは後続を全く寄せ付けなかった。2着に2馬身差をつけ、レコードを0.4更新する完璧な競馬。今回でこのベストパフォーマンスが発揮できれば2強に割って入ることは十分可能だと考える。

前走のオールカマーは2着に敗れているが、これは本番を見据えた仕上げでの結果。昨年の春は日経賞辛勝で人気を落とす→GⅠ・2連勝という臨戦過程を踏んでおり、この時と同様に今回もパフォーマンスを上げてくる可能性は高い。2018年の2着キセキのようにスピードの持続力を生かした激走に期待する。自分の競馬に徹し、4コーナーで後続を突き放す走りで見る人をゾクゾクさせてほしい。

▲リバティアイランド
今年の3歳牝馬はハイレベルであり、エリザベス女王杯でも2頭が馬券に絡んだ。そんなハイレベルな世代の中、他馬を寄せ付けずに牝馬三冠を達成した怪物、それがリバティアイランドだ。この馬のベストパフォーマンスは今回と同舞台のオークス。前半1000mが60.0という決して緩くないペースを先行し、ラスト400mを11.6-11.5の加速ラップでまとめて後続を6馬身離した。今回、古馬の牡馬とは4kgの斤量差があり、イクイノックスをマークしながら競馬ができる1枠1番をゲット。買い材料に溢れており、素直に考えれば2番手評価が妥当だ。

ただ、怪物であるが故に「イクイノックスを負かしにいく」という競馬をファンを含め周囲は期待する。隣の馬番を引いたこともあり、川田騎手はイクイノックスを徹底マークすると見た。こうなると前例の通り、自分の競馬に徹した後方待機組や逃げ馬に足をすくわれるリスクが出てくる。

また、イクイノックスとタイトルホルダーは超ハイペースを先行して圧勝した実績があるが、リバティアイランドの適性は未知数。勝ち切るための早仕掛けで最後が甘くなる可能性も否定できない。天皇賞(秋)で、川田騎手(プログノーシス)が早めに仕掛けて、ジャスティンパレスにゴール前で差されたシーンがよぎる。よって馬券は、リバティアイランドがイクイノックスを逆転する可能性よりも、3着になる可能性に賭けたい。

△ドウデュース
イクイノックスと同世代のダービー馬。前走は約8ヶ月ぶりの実戦、武豊騎手から戸崎騎手への当日乗り替わりなどマイナス要素が重なり、情状酌量の余地がある。友道調教師も「使った上積みは大きい」と話しており、確実に前走よりも状態は良くなっている。今回消耗戦になって、ダービーで見せた後方待機策がハマれば一発があってもおかしくない。東京芝2400mでのベストパフォーマンスは、人気するであろうスターズオンアースを上回っており、前走の大敗で人気を落とすようなら今回も狙ってみたい。

その他、タフな展開が味方しそうな×ディープボンドまで印を回す。

馬券は◎→◯△×→▲の三連単、◎→◯△×の馬単で勝負する。

馬券抜きで考えるなら、一人の競馬ファンとしてはイクイノックスとリバティアイランドのマッチレースが見たい。リバティアイランドが前例を打ち破り、イクイノックスとのワンツーを決めたのなら……その時は喜んで結果を受け入れ、馬券代は名勝負の観戦料であったと割り切ることにする。

▽ジャパンC予想▽
◎イクイノックス
◯タイトルホルダー
▲リバティアイランド
△ドウデュース
×ディープボンド

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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