【東スポ杯2歳S】新馬戦の内容は後のGⅠ馬2頭を上回る 本命はデータ、血統も文句なしのクロワデュノール

貴シンジ

東京スポーツ杯2歳ステークスの重要データとその該当馬,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は11月16日(土)に東京競馬場で行われる東京スポーツ杯2歳ステークスについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった9頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

重要データ:前走1800m組に注目

前走距離別成績,ⒸSPAIA


東スポ杯2歳Sは年末の2歳GⅠに向けて大切な一戦となる。重要視したいデータは前走距離だ。勝ち馬が出ている前走距離は1600mと1800mの2つ。

1600mは【2-1-3-12】で単勝回収率50%、複勝回収率77%。1800mは【8-5-6-40】で単勝回収率125%、複勝回収率70%となっている。よって注目するのは前走1800m組。今回人気が予想されるレッドキングリーはこのデータに該当しないため割引が必要だ。

前走1800m組についてもう少し深掘りする。前走が未勝利戦だった馬からは勝ち馬が出ていない。新馬戦組が【5-2-2-15】で単勝回収率113%、複勝回収率59%。OP・L組は今年、特別登録に該当馬がいないため割愛する。GⅢ組は【1-0-0-6】で単勝回収率548%、複勝回収率108%となっている。

前走新馬戦組については前走で上がり3F2位以内の脚を使っていることが重要。勝ち馬は全てこのデータに該当する。そのため、ジーティーマンはこのデータから外れる。

前走GⅢ組から唯一勝利したのは18年のニシノデイジーで、前走の札幌2歳Sを勝利しての臨戦だった。今年はファイアンクランツが札幌2歳Sから登録しているが、前走3着のためデータからは少し外れる。

【前走1800m新馬戦1着で上がり3F2位以内の登録馬】
・クロワデュノール
・デルアヴァー

前走内容:クロワデュノールの新馬戦

クロワデュノールの前走は1800m・新馬戦1着。2着に0.4秒差つけての圧勝。そのときの2着馬は次走で勝ち上がり、サウジアラビアRC5着のアルレッキーノだった。レースレベルも低いわけではない。

勝ち時計1分46秒7はとてつもなく優秀。2歳時に1800m戦で上がり4F45.4秒以下かつ勝ち時計1分49秒9以下の時計で勝利したのは二冠牝馬チェルヴィニア、皐月賞馬ジオグリフ、アイビーSとプリンシパルS勝ちのダノンエアズロックと本馬の4例のみとなっている。

チェルヴィニアは1分46秒9、ジオグリフとダノンエアズロックは1分48秒2で勝っているので、本馬の1分46秒7という数字は最も優秀な勝ち時計となる。加えて、レースでは抜け出しが早かった分、最後は流して勝利しており、併せてくる馬がいればもっと時計は速かっただろう。これまでの3頭と比べても本馬の実力がOP級以上であることは明白。ここでも大注目の一頭だ。

血統解説:クロワデュノール

クロワデュノールの血統表,ⒸSPAIA


・クロワデュノール
母ライジングクロスが英国産馬のため日本での牝祖は母。5代母Windmill Girlを根幹としてファミリーは広がっている。同馬自身もリブルスデイルS(GⅠ・芝12F)勝ちや英オークス2着がある実績馬。産駒にはBlakeneyとMorstonと2頭の英ダービー馬が出ている。

それ以降の産駒ではカンバーランドロッジS(GⅢ・芝12F)勝ちや愛ダービー3着のIle de Nisky、ロッキンジS(GⅠ・芝8F)2着で重賞4勝のMac Loveなども出ている。

ヨーロッパのクラシック牝系といっても過言ではなく、スタミナと持続力はかなりのもの。母ライジングクロスは現役時代に英オークス2着、愛オークス3着の実績があり、十分GⅠ級といえる逸材。産駒には芝8~10Fで3勝し、マーメイドS3着の実績があるアースライズ(父マンハッタンカフェ)がおり優秀な繁殖と言える。

本馬は父にキタサンブラックを迎えた。元々成長力のあるファミリーだが、アースライズがマンハッタンカフェ産駒であることを考えても、成長力を伸ばして粘り強さを出せるような配合が合っている。キタサンブラックはベストな配合で機動力とスピードに秀でた馬と言えるだろう。

距離適性はもう少し長いところがベスト。直近ではホープフルS、後々は宝塚記念や有馬記念で楽しみな一頭だ。

Cアナライズではクロワデュノールを推奨

今回のCアナライズではクロワデュノールを推奨する。好走データにも該当しており、なにより新馬戦のパフォーマンスがGⅠ級だ。

新馬戦を0.7秒差つけて圧勝したレッドキングリーも上位人気候補だが、時計や前例を考えれば圧倒的に本馬のパフォーマンスの方が優秀だ。

加えて血統的にもクロワデュノールに分があり、ここは通過点にしてもらいたい。本格化はダービー以降になるだろう。順調にいけば数年後、日本競馬界の中心にいる可能性がある一頭だ。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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