【エリザベス女王杯】4歳の「東京重賞勝ち馬」が複回収率224%! データで導く穴馬候補3頭
鈴木ユウヤ
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データで見る「穴候補3頭」
今週日曜の京都メインはエリザベス女王杯。下半期の牝馬限定GⅠだ。今年は古馬の有力どころに回避や故障が相次ぎ、3歳勢も牝馬三冠組の出走がない。やや小粒なメンバー構成で、ホープフルS勝ち馬レガレイラの「1強」ムードすら漂っている。
それは裏を返せば、2頭目、3頭目には何が飛び込んできてもおかしくない、ということでもある。様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。
本題に入る前に軽くデータ的な前提を紹介する。このレースは年齢による成績の格差が大きく、過去10年で5歳以上の馬が【1-4-1-72】単回収率4%、複回収率24%と大不振だ。
しかも好走6頭のうち4頭は、前年3着以内のいわゆる「リピーター」だった。旬が短い牝馬の戦いとあって、5歳秋で急上昇してくる馬は多くない。若い馬にヤマを張っていこう。
府中牝馬S組は「2000m以上で勝ち鞍がある馬」を狙え! モリアーナ
まず1頭目はモリアーナ。昨年の紫苑Sは4角14番手からの痛快な追い込みを決め、その後秋華賞5着、AJCC4着と善戦してきた。今回は府中牝馬S8着からここへ臨む。
過去10年の当レースにおいて前走府中牝馬S組は【4-6-2-38】。その10着以下はさすがに振るわないが、9着以内であれば【4-6-2-28】複勝率30.0%、単回収率202%、複回収率139%と、単純に全て買っても黒字域に入る。前哨戦としてよく機能している。
もう一歩踏み込んで好走馬を観察すると、前走府中牝馬S9着以内で「芝2000m以上で勝ったことがある馬」が【1-5-2-12】複勝率40.0%、単回収率324%、複回収率236%という素晴らしい成績だった。冒頭で出てきた年齢の話を組み合わせ、4歳馬に限れば【1-3-2-6】複勝率50.0%、単回収率540%、複回収率318%。驚異的な数字だ。
要するに、1800mまでしか勝利実績がない馬の府中牝馬S→エリザベス女王杯ローテではなく、本来中距離向きの馬が「やや距離不足の」府中牝馬Sを経由して本番に進むパターンこそ狙い目というわけだ。
ここにピッタリ当てはまるのがモリアーナ。3歳以降のベストパフォーマンスは前記の紫苑S、あるいはボッケリーニやクロミナンスら牡馬のGⅡ上位常連組に迫ったAJCCであり、距離が延びるのはポジティブな材料だ。
クイーンSは外を回され過ぎで、府中牝馬Sは自身も上がり33.3秒を使ってキレ負けと、それぞれ敗因も明確にある。手頃な相手関係も含め、今回がGⅠを獲る千載一遇のチャンスだ。
「東京重賞勝ち馬」の4歳馬が複回収率224% ラヴェル
2頭目はラヴェルを取り上げる。2歳時にアルテミスSでリバティアイランドを破った後は勝ち星から遠ざかっているが、近4走も着差は0.6秒以内にまとめている。
エリザベス女王杯では「東京重賞の勝ち馬」が好成績を残す傾向もある。過去10年で【5-8-7-29】複勝率40.8%、複回収率123%。なお、これも4歳に限ると【3-3-4-5】複勝率66.7%、複回収率224%という高い数字だ。
前記した府中牝馬S組の好調も一因だが、それだけでなくオークスやフローラS、アルテミスSといった世代限定の東京重賞を勝った馬も活躍している。直線が長い府中、いわば「王道」で結果を残してきた馬は侮れない。
該当馬はハーパーとラヴェルだが、近況を踏まえてラヴェルの方をピックアップした。4走前には今回と同じ舞台の京都記念に出走して5着にきている。
当時の勝ち馬プラダリアは宝塚記念4着、2着馬ベラジオオペラは大阪杯V、4着シュヴァリエローズも京都大賞典勝ちと、そこそこ強敵がそろっていた。2200m以上を使ったのはこの時とオークス4着の2回だけ。距離を延ばしての前進に期待が持てる。
京都芝2200mはキズナ産駒が大活躍 コンクシェル
ラストはコンクシェルを選ぶ。こちらもモリアーナの章で述べた「府中牝馬Sの9着以内馬」「4歳」というデータに合致する。それだけでも買い材料は十分なのだが、さらに血統的な後押しもある。
京都芝2200mでとにかく強いのがキズナ産駒。通算成績は【6-6-2-15】複勝率48.3%で、4角9番手以内に限れば【6-6-2-10】複勝率58.3%、単回収率184%、複回収率152%となっている。キズナの仔がある程度前目の位置を取れば、好走率、馬券妙味ともに非の打ち所がない。
キズナ産駒の芝中距離馬といえば、ディープボンドに代表されるように持続力勝負でしぶとく脚を伸ばし続けられる馬が多い。それが京都外回りの下り坂から始まる4ハロンスパート戦にマッチするのではないだろうか。
コンクシェル自身、重賞を勝った中山牝馬Sは残り1000mから11秒台のラップを4度刻み、レース上がり36.2秒の我慢比べに持ち込んでの逃げ切りだった。
ヴィクトリアマイルは前半3F33.8秒のハイペースでさすがに撃沈。府中牝馬Sは上位勢が軒並み32秒台~33秒台前半の上がりを使う競馬で、この馬の得意分野とはかけ離れていた。京都に替わり、今回は単騎逃げ濃厚なメンバー構成でもある。一発あって不思議ない。
<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
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