【マイルCS】昨年覇者ナミュール、一昨年Vのセリフォスは消し ハイブリッド式消去法
八木遊
ⒸSPAIA
5つのデータから絞れた馬は?
先週のエリザベス女王杯は、単騎逃げが見込まれるコンクシェルの粘り込みに期待して単勝一点で勝負した。五分のスタートを決めた同馬は理想的なラップを刻んだかに見えたが、最後の直線で失速。ブービーの16着に敗れた。
今週は日曜京都メインのマイルCSを予想する。2020~22年は阪神が舞台だったが、その3年間も含めた過去10年のレースを対象に、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップ。当てはまった馬を消していく。今年はフルゲート18頭に対し、18頭の登録があるが、すでにシックスペンスの回避が発表されているため、ほかの17頭を対象とする。
『前走から距離延長』×『非サンデーサイレンス(SS)系』★0.0%★
まずは距離変動のデータから。前走が1600m未満だった延長距離組は【2-2-2-36】(複勝率14.3%)。複勝率は同距離組と距離短縮組より低かった。馬券に絡んだ6頭はすべて父がSS系。逆に非SS系だと【0-0-0-18】(同0.0%)で、1頭も馬券に絡んでいない。
今年この条件に当てはまったのは以下の3頭。ウインマーベルは重賞4勝の実績が光るが、全て1400m以下でのもの。そもそも1600mのレースに出走したことがなく、一流マイラーに交じって上位進出する可能性は低い。
【今年の該当馬】
・ウインマーベル
・オオバンブルマイ
・レイベリング
『栗東所属』×『前走5番人気以下』★1.7%★
続いては所属別成績から栗東所属の関西馬を取り上げる。着度数は【6-8-8-106】(複勝率17.2%)で、複勝率は18.2%の関東馬(美浦所属)に劣っていた。なかでも前走レースで5番人気以下だった馬は【0-0-1-59】(同1.7%)とサッパリ。唯一馬券に絡んだのは、18年に4番人気で3着に入ったアルアインだった。
今年この条件に当てはまったのは、最初に消去したオオバンブルマイを含めた5頭。昨年の4着馬エルトンバローズや、前走の天皇賞(秋)5着馬のマテンロウスカイは気になる存在ではあるが、消しとする。
【今年の該当馬】
・アルナシーム
・エルトンバローズ
・(オオバンブルマイ)
・バルサムノート
・マテンロウスカイ
『前走時馬体重480kg未満』×『キャリアが15戦以上』★3.1%★
3つ目の条件では馬格に注目した。前走時馬体重が480kg未満だった馬は【5-1-3-54】(複勝率14.3%)。同480kg以上の【5-9-7-88】(同19.3%)と比べるといまひとつだ。前走480kg未満かつこれまで「15戦以上走っていた馬」は、【1-0-0-31】(同3.1%)で、32頭のうち31頭は馬券圏外だった。
今年は以下の7頭がこの条件に当てはまった。消去済みの3頭に加えて、連覇を狙うナミュール、前走の富士Sで重賞初勝利を挙げたジュンブロッサムなどを消去リスト行きとする。
【今年の該当馬】
・(アルナシーム)
・(ウインマーベル)
・コムストックロード
・ジュンブロッサム
・ナミュール
・フィアスプライド
・(マテンロウスカイ)
『前走上がり3位以下』×『前走3角10番手以下』★3.6%★
続いては前走時の上がり3ハロン順位を取り上げる。直線の長い外回りコースで行われる当レースは瞬発力勝負になることも多い。実際に前走レースの上がり順位が3位以下の馬は【6-7-8-112】(複勝率15.8%)とやや苦戦している。
特に前走で3角通過順が10番手以下の馬は【0-0-1-27】(同3.6%)と低調だった。唯一馬券に絡んだ15年のイスラボニータも1番人気を裏切っての3着だ。
今年は以下の3頭がこの条件に当てはまった。消去済みのジュンブロッサムに加えて、GⅠ馬のセリフォス、マイル重賞勝ち馬タイムトゥヘヴンの2頭を新たに消去する。
【今年の該当馬】
・(ジュンブロッサム)
・セリフォス
・タイムトゥヘヴン
『非社台系生産』×『今回5番人気以下』★1.5%★
4つの消去条件を終えて、対象17頭中13頭が消えた。残り4頭は生産牧場と当日の人気の組み合わせで取捨選択する。
近年のほとんどのGⅠレースに共通するのが、社台系牧場の勝負強さ。マイルCSでも過去10年で【8-7-10-69】(複勝率26.6%)と圧倒的だ。対する非社台系生産馬は【2-3-0-73】(同6.4%)と厳しい。
これだけでも消去対象の複勝率10%未満だが、ハイブリッド式では別のデータを掛け合わせる。今回は当日5番人気以下という条件だ。これで複勝率は【1-0-0-66】(同1.5%)まで下がる。
残っている4頭のうち、非社台系生産馬は外国馬のチャリンを含めて3頭。ソウルラッシュとチャリンは3、4番人気辺りになりそうだが、オッズの動向を最後まで確認して買いか消しかを判断する。
【今年の該当候補】
・ソウルラッシュ
・チャリン
・ニホンピロキーフ
全ての条件を終えて確実に残るのはブレイディヴェーグのみとなった。素質の高さはメンバー随一で、おそらく1番人気に推されるだろう。ただ初マイルを嫌って一本被りにはならないとみる。その分、馬券的には狙い目となる可能性がある。
買い目は本命馬の単勝を厚めに、残った馬への馬連を押さえておく。ニホンピロキーフは5番人気以下が濃厚なので、馬連は1、2点でおさまる想定だ。
【ライタープロフィール】
八木 遊
野球兼競馬ライター。スポーツデータ会社やテレビ局の校閲職などを経てフリーに。2023年8月から長期休養に入っていたが、24年6月に再開。今年はワイドを中心にコツコツ的中を狙う。
《関連記事》
・【マイルCS】1番人気は過去10年で2勝のみ エルトンバローズは好データ該当で今年こそ買いだ
・【マイルCS】史上初の「当日乗り替わりで中央GⅠ制覇」したナミュール 秋のマイル王決定戦を「記録」で振り返る
・【マイルCS】過去10年のレースデータ
おすすめ記事