【マイルCS】1番人気は過去10年で2勝のみ エルトンバローズは好データ該当で今年こそ買いだ
勝木淳
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欧州チャンピオンマイラーが参戦
ジャパンオータムインターナショナルというシリーズに位置づけられたマイルCS。最後に外国馬が出走したのは2011年のこと。3年連続出走のサプレザが3着、イモータルヴァースが7着。どちらもマイルGⅠを勝った強豪だった。
そして今年、13年ぶりに外国馬が登録した。イギリスからやってくるチャリンは今年、急上昇し、クイーンアンS、ジャックルマロワ賞を連勝、ムーランドロンシャン賞2着、クイーンエリザベス2世S1着と絶好調のまま来日する。
父ダークエンジェルは今年、高松宮記念を制したマッドクールのほか、シュバルツカイザー、ダークペイジなどJRA通算28勝(11月3日時点)。芝1200m戦で18勝、うち函館勝率23.1%、福島33.3%、中山22.2%と小回りで少し時計を要するスプリント戦を主戦場としている。
これをそのままチャリンに当てはめるのはナンセンスだが、できれば少し時計がかかってほしい。ともあれ、翌週のジャパンCも含め、海外の強豪が目の前を走るのは貴重な空間であり、できれば現地で目撃者になってほしい。
以降は過去10年分のデータを使用して分析する。なお、2020~22年は阪神開催なので、注意しよう。
1番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%のうち、2勝は連覇を決めたグランアレグリア。2番人気【0-4-1-5】複勝率50.0%と、人気馬が絶対というムードはない。とはいえ、3番人気【2-4-0-4】勝率20.0%、複勝率60.0%など6番人気以内が9勝。実力差がない拮抗戦が多く、その分、好走範囲も広い。残り1勝は8番人気があげ、上位8頭まではチャンスがある。そんな傾向だ。ただし、10番人気以下は【0-0-0-82】。直近10年で極端な人気薄の激走はない。
3歳【3-1-2-30】勝率8.3%、複勝率16.7%、4歳【4-4-4-28】勝率10.0%、複勝率30.0%と若い馬が中心。スピードの総合力を問うマイル王決定戦らしい。ただし、3歳で唯一登録があったシックスペンスが回避となり、今年は3歳馬不在。ここ10年では初のこととなる。
今年こそ買いたいエルトンバローズ
4歳はチャリンのほかにエルトンバローズ、ブレイディヴェーグなど。ナミュール、セリフォス、ソウルラッシュの壁を破ることができるか、注目だ。
前走クラス別成績を見ていく。まずは前走GⅠ組【4-2-2-21】勝率13.8%、複勝率27.6%から。スプリンターズSは【2-0-0-5】勝率28.6%だが、前走着順は1、2着馬が【2-0-0-1】で、好走が条件となる。
対して中距離の天皇賞(秋)は【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%。こちらも2~4着【1-1-2-0】で、6着以下は【0-0-0-6】。マテンロウスカイの5着は出走がなく、好走ゾーンかどうか迷うところ。ただ、中山記念1着、エプソムC3着の1800m巧者で、マイルもリゲルS1着など悪くはない。前走ドウデュースと0秒3差ならば、侮れない一頭だ。
ナミュールの前走安田記念は【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%。3着以内だと【1-1-0-1】で、2着のナミュールも当然好走圏内だ。昨年は富士S経由で勝っており、間隔を詰めても走れるが、本来は休み明けで強い競馬をするタイプ。連覇も十分に期待できる。
前走GⅠ以外だと富士S組が【4-3-1-42】勝率8.0%、複勝率16.0%。前哨戦だけあって、頭数自体が多い。今年も7頭が登録した。
着順別内訳をみると、1着が【2-1-0-3】勝率33.3%、複勝率50.0%と抜けており、ジュンブロッサムが第一候補。2~4着が【0-1-1-19】と勝ち馬除く好走組が冴えず、5~9着【2-1-0-15】にもう一つゾーンがある。2着ソウルラッシュ、4着セリフォスを買うなら、5、6着(2頭同着)だったバルサムノート、コムストックロード、アルナシームの3頭に妙味を感じる。
今年の富士Sは前後半800m46.1-46.0のイーブンペースで、まさに持続力勝負の一戦だった。逃げたバルサムノート、好位にいたコムストックロード、アルナシームは京都コースで少し序盤が緩むなら、チャンスが巡ってもいい。
前走毎日王冠【2-2-3-21】勝率7.1%、複勝率25.0%は7着以内【2-2-3-13】なら合格ライン。今年はエルトンバローズが3着から臨戦となる。前走毎日王冠3着は【1-1-0-1】で、4歳に限ると【1-1-0-0】。同1着は【0-1-0-5】複勝率16.7%なので1着から挑んだ昨年より、むしろ今年こそ狙いごろだ。昨年エルトンバローズに◎を打ち、“それ4”を食らった人こそ、今年は買った方がいい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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