【福島記念】前走GⅢ好走馬は苦戦 データは3歳馬グリューネグリーンとシルトホルンを後押し

勝木淳

2023年福島記念に関するデータ,ⒸSPAIA

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毎年、検討時間が足りないレース

秋のローカルは関東圏の新潟、福島と進む。10月の新潟は雨が多く、今年も道悪での開催が目立ったが、11月の福島はまったく違う。芝が良馬場以外だったのは2016年が最後。秋は17~22年まで6年連続で良馬場が続いている。日が傾く時間は東京競馬場よりわずかに早く、メイン、最終の時間帯はかなり暗くなるため秋の深まりを感じるが、開催中に天候は崩れにくく、紅葉日和が続く。

秋の福島といえば、福島記念だ。クライマックスを迎えるシーズンに行われるローカル重賞らしく、実力伯仲の難問であり、臨戦過程も各馬バラバラで絞りにくい。しっかり時間をかけて検討したいところだが、GⅠ当日の福島記念は例年、時間が足りない。データは過去10年分を使用する。

福島記念の人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【1-3-4-2】勝率10.0%、複勝率80.0%。わずか1勝にとどまるも3着以内に来る確率は高く、軸向きでもある。昨年もアラタが3着に入っており、難解な分、1番人気を軸に据え、手広く流してうまく引っかけたい。

2番人気【4-1-1-4】勝率40.0%、複勝率60.0%、3番人気【1-3-1-5】勝率10.0%、複勝率50.0%まではまずまず。波乱のイメージが強いが、上位人気はそれなりに計算できる。8、9番人気の好走はなく、穴もねらいどころが難しい。

福島記念の年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別ではハンデの恩恵もある3歳が【2-1-1-8】勝率16.7%、複勝率33.3%と一歩リード。4歳【3-3-2-12】勝率15.0%、複勝率40.0%も合わせ、基本は若い組だが、5歳【2-2-2-37】勝率4.7%、複勝率14.0%、6歳【3-3-3-37】勝率6.5%、複勝率19.6%などベテラン勢も一定数走ってくる。

怖いのはGⅢ敗退組

今年の3歳勢は重賞勝ち馬グリューネグリーンと前走オープン好走シルトホルンあたり。前走はどちらもオクトーバーSで、それぞれ4着、2着だった。3歳の好走はすべて前走重賞で、オープンだと【0-0-0-2】。データ上は信頼しにくいプロフィールだ。

福島記念の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績をみると、前走GⅠは頭数こそ少ないが【1-0-1-2】勝率25.0%、複勝率50.0%。好走は天皇賞(秋)、秋華賞と秋の芝2000m路線からの転戦馬に限られる。

福島記念の前走GⅡ、レース別成績,ⒸSPAIA


格上からの転戦という意味で、前走GⅡ【4-6-5-28】勝率9.3%、複勝率34.9%をみる。内訳は京都大賞典【2-1-0-5】勝率25.0%、複勝率37.5%、オールカマー【1-1-2-9】勝率7.7%、複勝率30.8%、毎日王冠【1-0-1-5】勝率14.3%、複勝率28.6%といった感じだ。

毎日王冠からの出走例はすべて6着以下に負けた馬で、差し追い込みに回っていた馬は【1-0-1-2】。ノースザワールドが該当する。バビットはゾーンに入らないが、福島はラジオNIKKEI賞勝ちを含め【2-0-0-0】。久々の得意舞台で前進も考えられる。

オールカマーは5着以内【1-1-2-2】、6着以下【0-0-0-7】、毎日王冠とは対照的だ。8着ロングランなどはデータ的には推せない

福島記念の前走GⅢ、着順別成績,ⒸSPAIA


前走GⅢ【2-1-1-38】勝率4.8%、複勝率9.5%は数字的に強調しにくく、前走レースもバラバラなので、まとめて着順の傾向をチェックする。3着は【0-1-0-1】だが、5着以内でくくると【0-1-0-16】で好走した馬はしんどい。前走GⅢ組から一発狙うなら、6着以下に負けた馬を選ぼう。小倉記念2着テーオーシリウス、クイーンS2着ウインピクシスは上位人気想定だが、データ上は苦しい。また関屋記念14着アナザーリリックは昨年の福島牝馬Sの勝ち馬。ここも盲点になりそうだ。

前走オープン・L【2-3-3-52】勝率3.3%、複勝率13.3%は距離がポイントであり、前走2000m【2-1-3-27】勝率6.1%、複勝率18.2%、それ以外の距離【0-2-0-25】。オクトーバーSに出走した3歳2頭はこのデータから残る。

福島記念に関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

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