【毎日王冠】最少出走頭数はオグリキャップが制した1989年の8頭 秋のスーパーGⅡの「記録」

緒方きしん

毎日王冠の「記録」,ⒸSPAIA

名勝負の多い毎日王冠

今週は東京競馬場でスーパーGⅡ・毎日王冠が開催される。1998年のサイレンススズカvsグラスワンダーvsエルコンドルパサー、2008年ウオッカを差し切ったスーパーホーネットが、1800m戦のスペシャリスト・リアルスティールが現役最後の勝利をあげた2017年など、競馬ファンにはそれぞれ"思い出の毎日王冠"があるに違いない。

サイレンススズカ、グラスワンダー、エルコンドルパサーが激突した1998年は出走頭数が9頭。その前年のバブルガムフェロー、ジェニュイン、スピードワールドの"三強対決"の年も、出走頭数は9頭だった。グラスワンダーが制した1999年は出走頭数10頭と、その当時の毎日王冠を知るファンにとっては、少頭数GⅡのイメージが強いかもしれない。1986年以降で最も出走頭数が少なかったのは、1986、1989年の8頭。特に1989年は前年覇者のオグリキャップが参戦し、競馬界だけでなく世間が注目する一戦となった。

1989年はオグリキャップのほかに、ダービー2着馬メジロアルダン、天皇賞(春)と宝塚記念を制していたイナリワンが参戦。単勝オッズはオグリキャップが1.4倍、メジロアルダンが2.9倍、イナリワンが9.0倍で、4番人気グランドキャニオンは22.6倍と、イナリワンがやや離されつつも"三強対決"となっていた。

結果はその"三強"が上位を独占。オグリキャップがイナリワンの猛追をハナ差しのいだ。オグリキャップは秋シーズンをオールカマーから始動していたが、毎日王冠後にも天皇賞(秋)、マイルCS、ジャパンC、有馬記念を走り切った。ジャパンCまでは全て2着以内と凄まじい安定感を見せつけつつ、暮れの有馬記念は5着に敗れた。その有馬記念の勝者がイナリワンだったように、秋冬のカギを握る一戦だった。


新旧の実績馬が揃った2005年

一方、最多頭数の出走となったのが2005年の17頭。この年は1番人気ダイワメジャーが単勝4.6倍、6番人気テレグノシスが9.6倍と、大混戦のメンバー構成だった。この時は、前年覇者テレグノシス、2年前の覇者バランスオブゲームが参戦していた。この時5着だったダイワメジャーは翌年に当レースを制覇してリベンジを達成。7着カンパニーも2009年に同レースを制し、17頭中5頭が"毎日王冠の勝ち馬"となった。他にものちにシンガポールのGⅠを制するコスモバルクや、GⅠ・3勝馬スイープトウショウ、のちにマイルGⅠを2勝したハットトリックなど、豪華な顔ぶれが揃っていた。

そのハイレベルな一戦を制したのがサンライズペガサス。4歳シーズンは天皇賞(春)5着、天皇賞(秋)3着など善戦を続けていたが、GⅠタイトルには手が届かないでいる一頭だった。7歳シーズンも年明けから京都記念、中京記念、大阪杯、天皇賞(春)、宝塚記念と走り抜き、大阪杯(当時GⅡ)では勝利をあげ、宝塚記念でも5着に入るタフさを見せた。秋初戦のここでは、鞍上の後藤浩輝騎手の導きで早めに抜け出すと、テレグノシスの猛追を振り切った。その後は天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念を走り切るなど、老いてなおタフさを見せ続けた。

サンライズペガサスは父サンデーサイレンス、母父ブライアンズタイムという血統で、この父と母父の組み合わせでは最も賞金を稼いだ馬でもある。母父ブライアンズタイムの馬としても全体の5位で、JBCクラシックを制したミューチャリー、皐月賞馬ディーマジェスティ、天皇賞馬ビートブラックなどを上回る賞金を獲得している。そしてサンライズペガサスを生産したヤナガワ牧場は、後にコパノリッキーやテーオーケインズ、キタサンブラックを輩出。"サンライズ"でも、サンライズバッカスやサンライズノヴァ、サンライズホープらを送り出している。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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