【2歳馬ジャッジ】トロヴァトーレが同週の中山芝最速タイの上がり3Fタイムで快勝

山崎エリカ

9月3週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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9月3週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は中山で上がり3F33秒台を使ったトロヴァトーレや、ラスト1F10秒9を記録したショーマンフリートなどが出た、9月16、17、18日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

9月16日(土) 中山4R 優勝馬 ピュアキアン ダート-9 評価A
10番枠からトップスタートを決めハナを主張すると、マイペースで逃げた本馬。逃げながらも道中では脚を溜めていたため、手応えに余裕があり、3~4角から後続を引き離しにかかった。

ところがラオラシオンが食らいついて来たため、リードを奪い切れず、楽な展開とはならなかった。同馬は直線序盤で失速したが、最内からバナマンテソーロが猛追。しかし、本馬は追い出されるとフットワークの回転が上がり、最後まで抜かせず半馬身差で勝利した。

結果、上位2頭で3着馬に10馬身以上の差をつけてゴールイン。ラスト2Fは13秒1-12秒6。逃げて最後まで加速できた内容は優秀だ。また道中で息を入れての逃げができていたことから、逃げ限定タイプではないだろう。昇級後も楽しみな馬になりそうだ。また、2着馬バナマンテソーロも指数は良く、近いうちに未勝利を突破するだろう。

9月16日(土) 中山5R 優勝馬 ミアネーロ 指数-3 評価A
6番枠からやや出遅れた本馬。そこから手綱をしごいて中団まで挽回。ただ鞍上はペースが遅いと判断したのか、1~2角の外からさらに2列目まで押し上げて向正面へ。3~4角の外から前に並びかけていき、4角では先頭列。直線序盤で先頭に立ち、そのまま押し切るかと思われたところで、後続馬が内に入って迫ってきたことを気にして外に急斜行。それでも1馬身半差で勝利した。

ラスト2Fは11秒5-11秒5。道中で一気にポジションを上げて小脚を使い、早め先頭の強気な競馬、直線では斜行。おおよそ今回の競馬は能力を出し切ったものではないだろう。素質は高く、今後も楽しめそうだ。また今回の2着馬マーシャルポイントは、本馬の斜行で致命的な不利。すぐに未勝利クラスは突破しそうだ。

9月17日(日) 中山5R 優勝馬 シュシュトディエス 指数-2 評価AA
11番からスタート後に外にヨレた本馬。しかし、このレースは16頭立てで外がゲートのつなぎ目だったことや、12番枠の馬が出遅れたこともあり、問題なく立て直し、好位の外まで上がって行くことができた。3~4角では前に並びかけ、直線では粘る逃げ馬を目標にしっかり脚を伸ばして、1馬身3/4差で快勝した。本馬はやや他の馬を気にするような素ぶりを見せていたので、好位の外で進める競馬は理想的に感じた。

ペースが遅く、後続馬に差を付けられなかったので指数は高いものとはならなかったが、ラスト2F11秒3-10秒8と急加速。今回の中山開催は最後に加速してゴールした新馬戦がすごく多く、数字を鵜呑みにできないが、余裕を持って勝利したことは確か。本馬も今後の成長が期待できる。

話は変わるが、本馬は関西馬も今回関東の新馬戦を勝利した。このようなパターンが増えたことから、関東圏の新馬戦の指数が関西圏の新馬戦よりも高い傾向が近年強く、今年はさらにその傾向が強くなってきたように感じる。偏りが起こるとそれを馬券戦術として使えるようになることもあるが、さて今後どうなるだろうか。

9月18日(月) 中山4R 優勝馬 サトノオラシオン 指数-4 評価A
前走の札幌の新馬戦では突然、行きっぷりが悪くなって下がったり、追われて叩かれるとまた進んだりと、若さを見せるチグハグなレースぶりで4着止まりだった本馬。今回はデビュー2戦目、チークピーシーズを着用して出走してきた。

すると8番枠から好スタートを決め、行きっぷり良く逃げ馬の外2番手を追走と前走よりも良い位置でレースを進めることができた。しっかり折り合いも付き、4角では早々に先頭に立つ強気な競馬。直線序盤で追い出されると、しっかり脚を伸ばして1馬身半差で快勝した。

ラスト2Fは11秒4-11秒3。自らレースを作って最後まで減速しなかった内容は、着差以上に評価できる。昇級後もなかなか楽しめる存在になりそうだ。

9月18日(月) 中山 5R 優勝馬 ショーマンフリート 指数-7 評価AA
このレースは大外13番枠のヒルンドルスティカのスタート&二の脚が速く、新馬戦としてはそれなりにペースが流れた。本馬は11番枠から好スタートを切って3番手を追走。3~4角で一気に差を詰め、前を射程圏に捕らえた。3~4角で外を回りながら上がって行く姿は馬体重がそこまで重いわけではないのに、他馬よりひと回り大きく見せ、直線でスパートした時のフットワークは豪快。最後は2馬身半差をつけて勝利した。

ラスト2Fは11秒6-10秒9。それなりにペースが流れた上で、最後の加速ぶりは素晴らしい。かつてのグラスワンダーを思い出すようなフットワークだった。重賞で活躍が期待できるだろう。

9月18日(月) 中山6R 優勝馬 トロヴァトーレ 指数-6 評価AA
2番枠から少しアオり気味のスタートでやや出遅れ、前からやや離された4番手を追走した本馬。3角を過ぎても前とは差があったが、3~4角では前との差を詰めに行った3番手のエリカサファイアを追い駆けるように位置を押し上げ、4角で先頭を狙う同馬の外から一気に進出。ラスト1Fで先頭の同馬を楽々と捉え、2馬身半差で完勝した。

ラスト2Fは11秒4-11秒2。3角過ぎから長く良い脚を使い、最後までしっかりと加速した内容は、かなりのスタミナを感じさせる。上がり3Fタイム33秒8はこの週の中山芝では古馬を含めて最速タイ。この数字を芝2000mの新馬戦で計測したことはとても価値がある。

このような数字を記録した馬は、後の重賞級の活躍馬に多い。鞍上ルメールが本馬の父でもある「レイデオロに似ている」と評するだけのものはある。今後重賞で活躍する馬になっていくだろう。

9月18日(月) 阪神2R 優勝馬 フルレゾン 指数-5 評価A
前走の新潟芝1600mの新馬戦では出遅れて後方を追走、4角で大外を回り、直線では脚を伸ばしたが3着止まりだった本馬。デビュー2戦目の今回は2番枠から好スタートを切り、好位でレースを進めるのかと思ったが、前に入られて位置が下がり、そのあと抑えるのに苦労し、結局、最後方まで下がってしまった。

そのまま最後方から3~4角で外に出されて進出開始したが、4角で外に逃げてかなり大外を回る距離ロスの大きい競馬。この手のロスの大きい競馬をした馬は、直線で伸びかけて止まるのが常だが、本馬は最後までジワジワと脚を伸ばし、残り100mで逃げ粘るエマロアを捉えて1馬身差で完勝した。

本馬が今回で記録した指数は、未勝利クラスとしては悪くない。ここまでチグハグでロスの大きい競馬だと、全能力を出し切ったとは言えないだけに、昇級後も楽しみだ。

9月18日(月) 阪神5R 優勝馬 ベネメレンティ 指数-5 評価A
1番枠からまずまずのスタートだったが、二の脚と枠の利を生かしてハナを主張した本馬。逃げて緩みないペースを刻んだが、鞍上は抑えるのに苦労しており、スピードがあるようだ。先頭のまま最後の直線を迎えてゴーサインを出されると、ライバルたちを引き離していく。結果は2着に1馬身3/4差、3着馬にはそこから3馬身差をつける快勝だった。

芝1200mの走破タイム1分9秒2は前日の同距離古馬1勝クラスとの対比からもなかなか優秀。今回のレースぶりが余裕を残せたものかは何とも言えないが、潜在的なスピードはなかなかのものがありそう。レースを使われながら、上昇していく馬となりそうだ。

2023年9月3週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)トロヴァトーレの指数「-6」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.6秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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