【2歳馬ジャッジ】セットアップが札幌2歳SをGⅠ馬級の指数で制す 他の出走馬も重賞で活躍可能

山崎エリカ

9月1週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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9月1週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は札幌2歳Sを勝ったセットアップや小倉2歳Sを制したアスクワンタイムなどが出た、9月2日、3日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

9月2日(土)札幌1R 優勝馬 ピューロマジック 指数-12 評価AA
新馬戦はダートで16着、次走は芝で3着。今回はデビュー3戦目、芝2戦目となった。5番枠から好スタートを切ると、ダッシュよく先手を主張。リードを奪ってからは折り合って脚を溜めながら逃げた。4角では後続馬との差はあまり大きくなかったが、直線を向いて追い出されると大きく突き放して独走。2着馬に10馬身差をつけて圧勝した。

走破タイムの1分9秒8は優秀。この日の札幌は後半にかけて時計が掛かっており、走破タイム自体を鵜のみにはできないが、同日9レースの古馬2勝クラスより速く、翌日の3歳未勝利戦よりも速かった。それなりに価値があるタイムだ。

前走のレーヴジーニアルが勝利した未勝利戦は、かなりのハイペースの一戦だったが、その流れを外枠から勝ちにいく競馬での3着は、着差以上に価値の高いものだったのだろう。実際、レーヴジーニアルの未勝利戦で先行して5着のフォーディアライフは、次走の未勝利戦を勝利している。

今回で本馬が記録した指数は同週に行われた小倉2歳Sを上回るもの。上手くレースを運べたこともあったが、とにかく強かった。デビュー戦を不適なダートでスタートさせ、無理をしなかったことも上昇度を高めたのだろう。今後は成績にデコボコが出そうなタイプだが、うまくレースを運べれば、当然オープンや重賞でも好走が期待できる。

9月2日(土)札幌11R 優勝馬 セットアップ 指数-19 評価AA
1番人気は新馬戦で素晴らしいフットワークを見せ、鞍上の武豊騎手が絶賛したガイアメンテ。2番人気が6月阪神の新馬戦を5馬身差の圧勝で好指数を記録したギャンブルルーム。3番人気が前走の未勝利戦で破格の好指数勝ちを決め、勢いに乗るセットアップ。4番人気が新馬戦のラスト2Fを11秒2-11秒1でまとめて勝利したパワーホール。当コラムで高評価した馬が揃い、札幌2歳S史上でも屈指の好メンバーが集結。まさに来年のクラシックを占う上で見逃せない一戦となった。

レースはセットアップが4馬身差の圧勝、記録した指数は古馬オープン級にあたるレベル。今年の日本ダービーなら勝利できたレベルの指数だった。確かに今年の日本ダービーは皐月賞馬ソールオリエンスが能力を出し切れなかったことでやや凡指数決着ではあったが、セットアップは2歳夏の時点で驚異の高指数勝ちだったといえるだろう。

そうは言っても今後ずっとこの強さを発揮できるわけではないのが競馬の難しさ。おそらく未勝利戦勝ち時に感じたトップナイフと似たようなタイプで、自分の競馬ができれば強く、ダメな時は大敗もあるというタイプになりそうな気配だ。激走のタイミングが来れば当然GⅠを勝てる馬だろう。今回の札幌2歳Sは出走馬の質がとにかく高かった。今回は負けたが、今後の重賞で勝利するような馬が多々いるはずだ。

9月3日(日)札幌1R 優勝馬 ラーンザロープス 指数-6 評価A
前走のラヴスコールが勝利した新馬戦は、ラスト2Fが11秒6-11秒3と加速していく流れ。クビ差負けたが、3着馬には3馬身差を付けて好指数の2着だった。今回はデビュー2戦目、5番枠からやや出遅れたが、ダッシュよく上がっていった。先頭に立つかの勢いで折り合いをつけるのにやや苦労していたが、なんとか3番手をキープ。最後の直線では、2番手外から早めに抜け出したオーサムストロークを最後にとらえて3/4馬身差で勝利した。

このレースでは3着馬に4馬身以上差をつけており、なかなか良い指数で勝利。序盤に折り合いを欠いていたことから、能力を出し切っての勝利ではないだろう。昇級後も活躍が期待できそうだ。

今回のレースで2着惜敗となったオーサムストロークはラヴスコールの新馬戦で離され3着だった馬。やはりラヴスコールの新馬戦はなかなかハイレベルだったと見て良いようだ。

9月2日(土)新潟5R 優勝馬 キャントウェイト 指数-2 評価B
1番枠から好スタートを切って、そこから抑えたまま好位の最内を追走した。1角で少し頭を上げる場面もあったが、そのあとはスムーズ。3~4角では最短距離を通って、4角出口でひとつ外に出されると楽に2番手に上がり、そこからスパート。ジワジワとだが最後までしっかり脚を伸ばして勝利した。

ラスト2Fは11秒8-11秒4。ラスト1Fの数字がトップ級にいくにはやや足りないが、最後まで加速できての勝利は価値がある。順調に使われながら上を目指していく馬になりそうだ。

9月3日(日)新潟1R 優勝馬 ルージュスエルテ 指数-8 評価A
今回は15頭立ての未勝利戦。前走の東京新馬戦は1番人気の支持を受け7着に敗れたが、ここでも単勝オッズ1.5倍の圧倒的な支持を受けた。確かに前走成績があまり良くない馬が揃ってはいたが、ここまでの支持を受けるからには、相当な素質馬と思われているのだろう。

レースは大外15番枠から好スタートを切ってハナを奪い、緩みないペースの逃げ。新潟芝1400mは最初のコーナーまでの距離がとても長く、オーバーペースになりやすい舞台。ゆえにどうかと見ていたが、最後の直線でも後続馬が苦しむ中、どんどん後続を引き離し、5馬身差で圧勝した。

指数は1クラス上でも好走可能レベルの優秀なものを記録。ラスト2Fは12秒0-11秒8。緩みないペースでしっかりとした走破タイムで走りながら、最後まで加速できたのは価値が高い。今回は大外枠、逃げで能力を出したように、気性面に脆さがありそう。安定した成績を残す馬ではなさそうだが、自分の競馬ができればかなり上で活躍が期待できそうだ。

9月2日(土)小倉1R 優勝馬 ルシフェル 指数-5 評価A
前走の新馬戦は、後にコスモス賞を高指数で勝利したエコロヴァルツの2着だった。今回は前走成績の悪い馬が揃った未勝利戦だったこともあり、単勝オッズ1.1倍の支持を受けた。ただ前走はエコロヴァルツが3~4角で早めに上がっていき、見た目以上に前が苦しい競馬。外から差して2着の実績は、額面通りに受け取れないところもあると考えていた。

レースは前走同様に2番枠からやや出遅れ、後方2番手を追走。しかし今回は相手が弱かったこともあり、向正面で上がっていく。3~4角では外から早々と先頭に立ち、直線では堂々と押し切って4馬身差の圧勝だった。

早めに上がっていく競馬をしながら、ラスト2Fは12秒3-12秒0。これはまだ余裕があった証拠。今後クラスが上がっても活躍が十分に期待できる。また、このレースで離された2着争いを制したのはチョメチョメ。同馬は前走東京のボルケーノが勝利した新馬戦で2秒も離された8着だった。やはりボルケーノはかなり強いのだろうと再認識させられた。

9月3日(日)小倉11R 優勝馬 アスクワンタイム 指数-11 評価A
1番人気ビッグドリーム、2番人気ミルテンベルク、3番人気パッシングシャワーはいずれも新馬戦を好指数勝ちした。当連載で高評価した馬たちが上位人気に支持されたが、今年の小倉2歳Sを優勝したのは前走未勝利戦勝ちの内容が素晴らしく、高評価したアスクワンタイムだった。

外差し馬場の大外10番枠も良かったし、なんと言ってもこの時期の2歳馬はキャリアを積んだ馬のほうが有利だ。ある意味、必然の勝利だったと言える。

今回はアスクワンタイムが優勝したが、上位人気に支持されていた馬たちはみな強い。次にレースをすれば着順は入れ替わるだろう。来年以降も芝スプリント路線を盛り上げてくれるはずだ。


2023年9月1週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)セットアップの指数「-19」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.9秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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