【オールカマー】3連勝中の牝馬が中心 エリザベス女王杯制覇まで見据えて本命マリアエレーナ
門田光生
ⒸSPAIA
前走GⅠ、GⅢ組が優勢
2023年9月24日に中山競馬場で行われる第69回オールカマー。過去にジュサブローやジョージモナークなど地方馬が勝利を挙げた例もあるが、近年は出走要件が変わったこともあり、地方馬の名前を見ることすらほぼなくなった。しかし、今年は兵庫競馬所属のチェスナットコートが参戦予定。久しぶりに本来の語源である「All Comer」となりそうだ。
現在のオールカマーは地方馬が芝に挑戦する場というより、天皇賞(秋)の重要なステップレースのひとつとして機能している。伝統の一戦に向け目が離せないこのレースには、いったいどんな傾向があるのか。今回も過去10年の成績を参考にして検証していきたい。
☆所属
美浦6勝(11連対)、栗東4勝(9連対)。美浦所属馬の方が出走頭数が多いこともあり、勝率はほぼ同じ。連対率では栗東所属馬が少し上回っているが、ほぼ差はないと考えていいだろう。
☆性別
牡馬・セン馬、牝馬とも5勝ずつ。2着は牡馬・セン馬が6回、3着は9回と数字の上では牝馬を上回っている。ただ、出走頭数は牡馬・セン馬の116頭に対して、牝馬は22頭と少数精鋭。よって、勝率、連対率ともに後者が大きく上回っている。近年で見ても牝馬が3連勝中、さらにここ3年は連対した6頭中5頭が牝馬だ。
☆年齢
最も勝利しているのは5歳馬の5勝(8連対)。連対数では4歳馬の9連対(4勝)が最多。4歳馬は5、6歳に比べると出走頭数が少なく、勝率、連対率でほかの世代を大きくリードしている。ちなみに3歳馬の出走はゼロ。一週間前に同舞台でセントライト記念が組まれていることが要因だろう。
☆前走クラス
勝ち馬が出ているのは、前走GⅠ、GⅢ、海外組。前走OP以下で連対したのは、2022年の2着ロバートソンキー(前走3勝クラス)だけだ。
☆前走レース
最も連対馬を出している前走レースは宝塚記念で、その数は4頭。同じくGⅠの天皇賞(春)、ヴィクトリアマイルも2頭の連対馬を出している。GⅢでは七夕賞、小倉記念が2頭の連対馬を輩出している。
☆前走着順、前走人気
前走1着だった馬は19頭いるが、この中から勝ち馬が出ていない(2着は3回)。結果が出ているのは前走3着馬で、3頭の勝ち馬を出している(今回は該当馬なし)。
前走人気では1番人気に支持されていた馬が3勝。勝率25.0%なら優秀だろう。
☆前走距離
前走で2000mを走っていた馬が4勝、2着4回。続いて2200m組が2勝、2着4回。勝率、連対率だと2200mの方が上。連対馬が出ていないのは、前走1400m以下、1800m、2400m、2500m、2600mを走っていた馬だ。
牝馬の争いが濃厚
オールカマーのデータをまとめていこう。
【好走データ】
A「牝馬」
B「4歳馬」
C「前走が宝塚記念」
D「前走1番人気」
【勝ち馬なし】
E「前走OP以下、もしくはGⅡ」
F「前走1着馬」
【連対馬なし】
G「前走が1400m以下、1800m、2400m、2500m、2600mのいずれか」
今回の強データはなんといっても連対率40.0%を超えるA「牝馬」。今年はウインマリリン、ジェラルディーナ、マリアエレーナの3頭が登録。このうち、ウインマリリンは勝ち馬が出ていないE「前走OP以下、もしくはGⅡ」で、同馬が走った札幌記念組の成績は【0-1-0-8】。ただ、唯一連対したのが牝馬のウインキートス(2021年)。ウインマリリン自身が2021年の勝ち馬でもあり、牝馬ということ、そして自身の相性からノーマークにはできない。
残る2頭だが、ジェラルディーナはC「前走が宝塚記念」、マリアエレーナはD「前走1番人気」のプラスデータも持っている。ここは昨年の勝ち馬でもあるジェラルディーナを推したいところだが、マリアエレーナの鳴尾記念→小倉記念で1番人気は、実は昨年のジェラルディーナと全く同じパターン。同馬も当時はGⅢで勝負になるぐらいのレベルで、ここを勝ちエリザベス女王杯制覇につなげた。人気的な妙味と、今年も同じパターンが待っていると考えて、◎マリアエレーナ、◯ジェラルディーナとしたい。
押さえ候補は、連対率37.5%のB「4歳馬」から。まず4番手はマイナスデータを1つも持たないガイアフォース。5番手はローシャムパーク。同馬は勝ち馬が出ていないF「前走1着馬」だが、プラスデータのD「前走1番人気」にも当てはまる。今回の出走馬でプラスデータを2つ持つ馬は貴重なので、印を入れておいて損はないだろう。
◎マリアエレーナ
◯ジェラルディーナ
▲ウインマリリン
△ガイアフォース
×ローシャムパーク
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
上記で書いたオールカマーに出走する地方馬のチェスナットコート。管理する田中一巧師は、日ごろからよくしていただいている調教師さん。頑張って爪痕を残してほしいものです。
《関連記事》
・【神戸新聞杯】阪神芝2400mに強い騎手や種牡馬を大分析 本命は巻き返しを狙うファントムシーフ
・【神戸新聞杯】ハーツコンチェルトらダービー組が優勢 上がり馬は距離延長組のロードデルレイとサスツルギに注目
・【神戸新聞杯】過去10年のレース結果一覧
おすすめ記事