【神戸新聞杯】阪神芝2400mに強い騎手や種牡馬を大分析 本命は巻き返しを狙うファントムシーフ

高橋楓

神戸新聞杯 主な出走馬の種牡馬別成績(阪神芝2400m),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

前走成績はダービー組が圧倒的、条件戦組は勝ちが必須

驚異の末脚というのは何年たっても脳裏から離れないものだ。神戸新聞杯と聞くと1997年のマチカネフクキタルを思い出す。4コーナーで先頭を走るサイレンススズカとは対照的に、マチカネフクキタルは画面にも映らず10馬身以上離れた最後方。

しかし直線を向くと、南井克己騎手の仕掛けに応え信じられない鬼脚を披露。直線だけで全馬を交わし1馬身以上の差をつけた。日本ダービー2着馬シルクジャスティス、素質馬で快速馬サイレンススズカも寄せ付けないその強さは衝撃的だった。

今週は2019年以来、久しぶりに阪神競馬場で神戸新聞杯が行われる。春の実績馬、夏に賞金を積みこの舞台に挑む馬など菊花賞へ向けて目が離せない一戦だ。今年も日本ダービー3着のハーツコンチェルトや、同レースで人気の一角だったファントムシーフが出走予定で楽しみなメンバーが揃った。まずは過去10年の前走クラス別成績見ていく。

神戸新聞杯の前走クラス別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<神戸新聞杯 前走クラス別成績(過去10年)>
GⅠ【9-6-2-33】
GⅡ【0-0-0-5】
GⅢ【0-0-1-6】
OP・L【0-0-2-9】
3勝クラス【1-0-0-3】
2勝クラス【0-4-3-30】
1勝クラス【0-0-2-20】
未勝利【0-0-0-3】
※地方【0-0-0-2】

圧倒的にいいのは前走GⅠ組。日本ダービーに出走していた馬が秋の初戦で本レースを選択し、結果を残している。

続くのが2勝クラスから転戦してきた馬たち。勝ち馬こそ出ていないが、13年マジェスティハーツ、16年ミッキーロケット、17年キセキが前走1着から勢いに乗り、このレースでも2着に好走した。中京開催だった昨年はヤマニンゼストが前走6着から12番人気で2着に激走。今年は舞台が阪神に戻るだけに、前走2勝クラス組は勝って参戦してきているかが重要になる。

3勝クラスから1勝しているのは2015年のリアファル。本馬はデビューしてから6戦がダートで、前走マレーシアCが初の芝挑戦で1着だった。前走3勝クラス組も勝って挑んでくることが条件になりそうだ。

阪神芝2400mで好成績の騎手とは

続いて、阪神芝2400mの騎手成績を出してみた。今回騎乗予定のある騎手成績を中心に見ていく。期間は2013年9月1日から2023年9月15日までの165レースを対象としている。

阪神・芝2400m 主な騎乗予定騎手の成績,ⒸSPAIA


<阪神・芝2400m 主な騎乗予定騎手の成績>
川田将雅【14-12-11-36】
松山弘平【11-7-4-53】
M.デムーロ【9-12-1-20】
和田竜二【7-12-13-67】
武豊【6-4-9-27】
※集計期間:2013年9月1日~2023年9月15日 165レース

サトノグランツに騎乗予定の川田将雅騎手が14勝をあげ、複勝率50.7%とさすがの安定感。また単回収率も100%を超えている。日本ダービー3着のハーツコンチェルトに騎乗予定の松山弘平騎手は11勝をあげており、おさえておきたい一人だ。

M.デムーロ騎手は2着が多く、連対率50.0%、複勝率52.4%と、川田将雅騎手を上回る数値を記録している。今回騎乗予定の騎手の中では特に信頼できる。

上記5名以外で特筆すべきが北村宏司騎手だ。阪神での騎乗機会は少ないが、当コースでは3戦全勝。うち2勝は今回騎乗予定のサスツルギを管理する木村哲也厩舎であげたもの。サンプルは少ないが軽視できないデータだ。

阪神芝2400mはキズナとドゥラメンテ産駒が好成績

次に騎手と同じ条件、期間で種牡馬についても調べてみた。こちらも今回出走予定の馬たちを中心に見ていく。

阪神・芝2400m 主な出走予定馬の種牡馬成績,ⒸSPAIA


<阪神・芝2400m 主な騎乗予定騎手の成績>
ハーツクライ【12-20-13-103】
キズナ【6-2-2-13】
ハービンジャー【5-8-9-63】
ロードカナロア【1-3-2-11】
ゴールドシップ【1-2-4-14】
※集計期間:2013年9月1日~2023年9月15日 165レース

ハーツクライ産駒が最多の12勝をあげ、複勝率30.4%を記録。今回はハーツコンチェルトとサスツルギが出走予定だ。

キズナ産駒は6勝も勝率26.1%、連対率34.8%、複勝率43.5%のハイアベレージ。これは勝ち数がトップのディープインパクト産駒の勝率12.4%、連対率26.4%、複勝率36.8%を大きく上回っている。今回はサヴォーナが出走予定で、押さえておきたい一頭だろう。

他の出走予定馬の種牡馬成績は以下の通りとなる。

サトノダイヤモンド【1-0-0-7】
ドゥラメンテ【0-5-2-10】
シルバーステート【0-1-1-6】
ミッキーアイル【0-0-0-1】
グレーターロンドン【0-0-0-0】
ビーチパトロール【0-0-0-0】

この中では勝ち星こそないがドゥラメンテ産駒が複勝率41.2%で好成績。1番人気の出走が1頭もいない中でこの成績は素晴らしい。複勝回収率も124%あり、産駒のシーズンリッチは紐に入れておきたい。

本命は総合点でファントムシーフ

データ上は一長一短があり悩んだが本命はファントムシーフとする。日本ダービーでは8着に負けたが、皐月賞3着以内馬は当レースで【5-2-0-3】と好成績を残しており、巻き返しは可能とみる。また騎乗予定の武豊騎手は過去10年の当該コースで複勝率41.3%を記録しており、名手の手腕にも期待したい。

対抗は2勝クラスを制して参戦してくるサスツルギ。このローテーションからは勝ち馬は出ていないが、北村宏司騎手は過去10年の当該コースで3戦3勝。この相性の良さに賭けてみたい。

3番手は日本ダービー3着のハーツコンチェルト。同馬は舞台巧者のハーツクライ産駒で、当該コースとも相性の良い松山弘平騎手が騎乗予定で魅力十分だ。

以下はドゥラメンテ産駒のシーズンリッチ、キズナ産駒のサヴォーナまで押さえておきたい。

◎ファントムシーフ
〇サスツルギ
▲ハーツコンチェルト
△シーズンリッチ
×サヴォーナ

《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。

《関連記事》
【オールカマー】タイトルホルダーら5歳GⅠ馬に死角あり 4歳ガイアフォースたちに逆転のチャンス十分
【神戸新聞杯】ハーツコンチェルトらダービー組が優勢 上がり馬は距離延長組のロードデルレイとサスツルギに注目
【競馬】東大HCが阪神巧者を徹底検証 国分恭介騎手は「逃げ」で回収率1000%超え

おすすめ記事