【ローズS】重賞3着ブライトジュエリーは消し オークス4着ラヴェルを素直に世代上位と評価
藤川祐輔
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5つのデータから絞れた馬は?
先週のセントウルSでは、唯一「凡走データ」に該当しなかったアグリを推奨して2着と好走。しかし単勝万馬券の波乱を起こしたテイエムスパーダは真っ先に消去しており、悔しい結果となった。
今週は9月17日に阪神競馬場で行われるローズS(GⅡ)を予想する。今回は中京で開催された2020~2022年を除く過去10回(10~19年)のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、抽選対象(*)3頭を含めた19頭から、条件に当てはまった馬を消去していく。
『前走1800m以下』×『前走上がり3F3位以下』 ★7.0%★
最初に注目するのは前走の距離である。当レースに距離短縮で挑んだ馬の成績は【9-7-4-54】(複勝率27.0%)となっており、レベルの高い前走オークス組を除いても【1-3-1-18】(同21.7%)と優秀だ。
一方、前走と同距離、もしくは距離延長だった馬の成績は【1-3-6-64】(同13.5%)と見劣りする。この組で馬券圏内に入った10頭の内7頭は前走で上がり3Fを2位以内のタイムで走破しており、上がりが3位以下だった馬は【0-1-2-40】(同7.0%)と好走率がさらに低かった。
阪神芝1800mは激しいアップダウンを乗り切るタフネスと、長い直線を駆け抜ける末脚の両方が求められるコース。前走で短めの距離を使っていて、なおかつ瞬発力に欠ける馬の好走は難しいだろう。
【今年の該当馬】
・セーヌドゥレーヴ
・マラキナイア
・ユリーシャ
・リサリサ
・ルクスドヌーヴ
『前走右回り』×『前走5番人気以下』 ★3.4%★
続いては前走のコースに注目する。前走が左回りのコースだった馬の成績は【9-6-6-60】(複勝率25.9%)で、前走オークス組を除いても【1-2-3-24】(同20.0%)であるのに対し、右回りコース組は【1-4-4-58】(同13.4%)と苦戦傾向。さらに前走右回りかつ前走5番人気以下だった馬に限ると、【0-1-0-28】(同3.4%)と大半が凡走していた。
この組から唯一馬券に絡んだワイルドラズベリー(10年2着)は当レース以前に、紅梅Sと白百合Sでオープン2勝と実績があった。今年は3頭がこのデータに該当するが、どの馬もワイルドラズベリーほどの実績はないため消去リストに加える。
【今年の該当馬】
・トリオンファルマン*
・フォーチュンコード
・ベレザニーニャ*
『前走1着』×『前走芝の良馬場以外』 ★7.7%★
当レースには前走の条件戦で勝利を挙げた馬が、勢いそのままに秋華賞の権利を狙って出走してくる。また、春のクラシックを制した馬が秋華賞への叩き台として当レースを選択するケースも多い。こうした性質から前走1着の馬が非常に多く、その成績も【5-5-3-40】(複勝率24.5%)と良好だ。
だがこれを前走の馬場ごとに注目すると、前走が芝の良馬場だった馬が【5-4-3-28】(同30.0%)と好走例の大半を占めている。反対に前走で渋った馬場やダートを走った馬は【0-1-0-12】(同7.7%)と結果を残せていない。
唯一の好走例は前走で芝の不良馬場を走っていたシャトーブランシュ(13年2着)で、この年のローズSは重馬場で実施されていた。週末に降雨の予報はなく、馬場の悪化は考えにくい。前走を勝利した馬でも、時計の掛かる条件であった場合は軽視する。
【今年の該当馬】
・(セーヌドゥレーヴ)
・マスクトディーヴァ
『父が非ディープインパクト系』×『非社台グループ生産馬』 ★9.5%★
次に紹介するのは血統に関するデータだ。三冠レースの前哨戦らしく、ディープインパクト系の産駒が【6-4-3-26】(複勝率33.3%)と抜群の相性をみせている。一方でディープインパクト系以外の馬は【4-6-7-92】(同15.6%)とやや劣る。
これを生産者別に見ると社台グループ(社台ファーム、ノーザンファーム、白老ファーム、追分ファーム)の馬が【2-4-5-35】(同23.9%)と好成績を収めており、反対に非社台系の生産馬は【2-2-2-57】(同9.5%)と好走率が低い。
このデータには新たに2頭が該当。ブライトジュエリーはフローラSで3着の実績があるが、今年、このレースからオークスに向かった4頭はいずれも惨敗を喫していた。レースレベルが疑わしいこともあり、消去リストに加える。
【今年の該当馬】
・ココナッツブラウン
・(セーヌドゥレーヴ)
・ブライトジュエリー
・(ベレザニーニャ*)
・(リサリサ)
・(ルクスドヌーヴ)
『前走GⅠ』×『前走11番人気以下』 ★7.7%★
最後に、前走GⅠ組の取捨について考える。オークスを筆頭に前走でGⅠに出走していた馬は当然ながらレベルが高く、当レースでの成績は【8-4-3-46】(複勝率24.6%)と高水準だ。だがこの組を前走の人気別に見ると、1~10番人気だった馬が【7-4-3-33】(同29.8%)であるのに対して、11番人気以下だった馬は【1-0-0-12】(同7.7%)と一気に成績が落ち込む。
今年はレミージュがこのデータに該当。当馬はチューリップ賞、オークスと2戦続けて2桁着順の大敗を喫しており、重賞の舞台は荷が重いように思える。前走オークス組ではあるが、消去リスト行きとする。
【今年の該当馬】
・レミージュ
全ての条件を終えて、消去を免れたのは以下の7頭だ。
・アンリーロード
・コンクシェル
・ソーダズリング
・ブレイディヴェーグ
・ラファドゥラ
・ラヴェル
・アリスヴェリテ*
中でも推奨したいのはラヴェルだ。前走オークス組はデータ面でも優勢なうえ、当馬は4着善戦と世代トップクラスの実力を示している。アルテミスSでは怪物リバティアイランドを抑えて勝利しており、右回りに替わるがワンターンかつ長い直線と共通項のある阪神芝1800mは、オークス以上に向くはずだ。条件戦で派手な勝ち方をしたコンクシェルやブレイディヴェーグと人気を分け合うようなら、思い切って頭固定で勝負をしたい。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
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