【セントライト記念】皐月賞馬ソールオリエンスが最有力 キングズレインなど上がり馬は前走距離がポイント
勝木淳
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関西馬の取捨選択
いよいよ菊花賞へ向けた戦いが本格化する。その火ぶたを切るセントライト記念には皐月賞馬ソールオリエンスが出走予定。皐月賞馬がこのレースに出走するのは、2017年アルアイン以来6年ぶり。ダービー5着だったアルアインは2着に敗れたが、その前年、ディーマジェスティはダービー3着からここに出走し、勝利した。ダービーで勝負圏内にいたソールオリエンスはここをきっちり勝ち、菊花賞へ進みたいところだ。データは2014年新潟を除く、過去9回分を使用する。
1番人気は【2-4-0-3】勝率22.2%、複勝率66.7%と2着が多い。勝ったのは上記ディーマジェスティと19年リオンリオンの2頭。ただし、菊花賞はタイトルホルダー、アスクビクターモアと2年連続でセントライト記念1番人気馬が勝利している。2頭はこのレース13、2着であり、実績馬だからこそ、休み明けの割り切りも頭の隅に入れておこう。
2番人気【1-2-2-4】勝率11.1%、複勝率55.6%、3番人気【2-0-3-4】勝率22.2%、複勝率55.6%など上位人気もそこそこ走る一方で、実績馬の休み明けを割り引くなら、21年9番人気1着アサマノイタズラのような伏兵の一発も考えられる。とはいえ、アサマノイタズラはスプリングS2着と中山のトライアルで好走歴があった。ほかにも15年6番人気1着キタサンブラックも、スプリングS1着、皐月賞3着と春の中山で好走歴がありながら、人気を落としていた。
トライアルは東のセントライト記念の翌週に阪神で神戸新聞杯が組まれている。菊花賞は京都であり、当然、関西馬は関東へ輸送するメリットを春ほど感じない。だが、神戸新聞杯には今年のように主力の実績馬がズラリと顔をそろえる。この相手関係を鑑みて、あえてセントライト記念を選ぶ関西馬を弱いと決めつけるのは早計だ。
所属別成績は美浦【5-7-6-66】勝率6.0%、複勝率21.4%、栗東【4-2-3-34】勝率9.3%、複勝率20.9%。東西で大きな差はなく、むしろ関西馬は勝ち切る傾向がある。だが、ここを勝った関西馬4頭のうち、菊花賞を勝ったのはキタサンブラックただ1頭。好走8頭の菊花賞成績は【1-1-0-6】。本番の切符を獲得するため、あえて関東へ輸送するリスクはまさに賭けといっていい。それだけに関西馬の意気は買いではないか。
ウインオーディン、キングズレインの不安データとは
今年のダービー組はソールオリエンスを筆頭にシャザーン、グリューネグリーンなど。ここに2勝クラスを突破したウィズユアドリーム、キングズレインら上がり馬が挑む。
まずは前走クラス別成績から前走GⅠ【4-5-4-22】勝率11.4%、複勝率37.1%のうち、当然ながらダービーが大半で【4-5-3-19】勝率12.9%、複勝率38.7%。着順の内訳は10着以下【3-3-2-10】勝率16.7%、複勝率44.4%と大敗組が目立つ。グリューネグリーンがこのデータに合致する。
ソールオリエンスのダービー2着は【0-0-0-1】で、意外にも15年サトノラーゼン7着しかいない。神戸新聞杯に有力馬が回るためか、そもそもダービー3着以内の出走は9回で4頭しかいない。3着【1-1-0-1】という数字を考えれば、ソールオリエンスは当然、有力候補で間違いない。むしろ、シャザーンが当てはまる6~9着【0-0-1-6】複勝率14.3%の方が不安材料かもしれない。
シルトホルン、レーベンスティールの前走ラジオNIKKEI賞は【2-1-1-9】勝率15.4%、複勝率30.8%で、ここは1着【1-1-0-1】、2~5着【0-0-0-5】、6着以下【1-0-1-3】。勝つか、福島芝1800mに適性がなかった馬の巻き返しかだ。シルトホルン、レーベンスティールにとっては2、3着したことがむしろ不安材料になってしまう。
最後に上がり馬について。前走1、2勝クラスの距離別成績をみると、1800m【2-0-1-5】勝率25.0%、複勝率37.5%、2000m【1-3-1-29】勝率2.9%、複勝率14.7%、2200m以上は【0-0-0-22】という結果になった。条件戦組は菊花賞を意識して長めの距離を経験してきた馬より、中距離からここに挑む馬に分がある。ウインオーディン、キングズレインにとっては突破しなければならないデータだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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