【ローズS】オークス最先着ラヴェルを素直に信頼 逆転候補はココナッツブラウン
勝木淳
ⒸSPAIA
上がり馬にもチャンスあり
リバティアイランドは二冠目のオークスで2着ハーパーに1.0差をつけた。それまでのオークスの最大着差はジェンティルドンナの0.8差であり、その記録を超えてきた。未知なる距離を戦うオークスで示したパフォーマンスは、紛れもなく実力の差を意味する。
このリバティアイランドという女王に待ったをかける馬がいるのか。ローズSでその可能性を見出せる馬はあらわれるだろうか。2着ハーパーは直行、3着ドゥーラはクイーンSから本番へ向かう。ローズSは上がり馬にもチャンスがありそうだ。
ひとつ注意が必要なのは、今年から舞台が阪神芝1800mに戻ること。ローズSは2006年まで阪神芝2000mで行われており、ここ3年も中京芝2000m。本番と同じ距離で行われるイメージが強い。
ローズS組の秋華賞制覇は二冠を決めた15年ミッキークイーンが最後。阪神芝外回り1800mで行われた16~19年は【0-1-4-20】(取消2)と噛み合わない。もっとも、本番とのつながりが微妙なのは中京で行われた3年間も同じ。小回り2000mの紫苑Sと立場が逆転してしまった。データは2020~2022年中京も含め、過去10年間を使用し、主にローテーションとクラスについて掘り下げていく。
ローズSの人気別成績は、1番人気【4-1-1-4】勝率40.0%、複勝率60.0%、2番人気【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%まではまずまずだが、3番人気以下は横一線といった感じ。10番人気以下【0-4-3-65】複勝率9.7%まで、秋華賞出走権のかかる3着以内なら人気薄にもチャンスはある。
ラヴェル信頼、逆転候補はココナッツブラウン
今年はオークス4着ラヴェル、8着ソーダズリングがいる一方で、2勝目をあげたばかりの馬も多く、上がり馬の実力比較が難しい。クラス別にどんな傾向があるのかデータでみていこう。
前走GⅠ【7-2-3-47】勝率11.9%、複勝率20.3%に対し、1勝クラスは【3-4-3-39】勝率6.1%、複勝率20.4%、2勝クラス【0-2-4-25】複勝率19.4%なので、基本的には実績馬が優位だ。
前走オークス【7-2-3-37】勝率14.3%、複勝率24.5%について、着順の内訳をみていく。ラヴェルの前走4着【1-0-1-1】など、5着以内【5-1-3-6】、ソーダズリングが当てはまる6着以下【2-1-0-30】なので、ここは素直にラヴェルを上位にとりたい。2歳アルテミスS以降、大きな着順が続いたが、距離が延びたオークスで4着と反転しており、中距離戦は好材料だろう。半姉ナミュールもオークス3着、秋華賞2着と徐々に成績をあげていった。妹も秋の成長を味方に一矢報いたいところだ。
2勝クラスは勝ち馬が出ておらず、1勝クラスと比べるとやや頼りない。前走2勝クラスは1着【0-0-1-7】複勝率12.5%、2着【0-1-0-6】複勝率14.3%。4着以下【0-1-3-10】と負けた馬の成績がいい。不知火特別を勝ったコンクシェルや八ヶ岳特別2着マラキナイアなどには気になるデータだ。
前走1勝クラスの間隔別成績は中4~8週【3-1-1-12】勝率17.6%、複勝率29.4%に好走ゾーンがあり、さらに間があく中9~24週も【0-1-1-6】複勝率25.0%。間隔をとってきた馬がよく、中1週【0-0-0-4】など詰まった馬の成績がよくない。
早めに2勝目をあげ、夏場に一旦休養を入れる。そんなローズSに照準を絞ってきた馬が活躍していることが分かる。これは2勝クラス組の成績があがらないことと共通する。3歳は6月から古馬との戦いに入る。そこからローズSまでの3カ月半、それも夏場の短期間に2勝目、3勝目を目指すとなると、間隔が詰まってしまい、かえって消耗してしまう。まだまだ3歳牝馬は体力がつききっていない。8月上旬までに2勝目をあげることで、ローズSへの道が拓ける。
もっとも理想的なのは、7月終わりに札幌で2勝目をあげたココナッツブラウンだ。中9週以上もブレイディヴェーグやマスクトディーヴァなど多く、ここに該当する馬たちに権利獲得の可能性を感じる。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
《関連記事》
・3連単の最高額は1460万40円 2022年中央競馬の高額配当ランキング
・武豊騎手、JRA重賞350勝までの道のり 節目の重賞勝利を振り返る
・2023年に産駒がデビューする新種牡馬まとめ 日本馬の筆頭・レイデオロは「ディープ牝馬」との配合で期待
おすすめ記事