【2歳馬ジャッジ】ガイアメンテが余裕を感じさせる美しい走りで好指数勝ち 大きな飛躍が期待できる逸材

山崎エリカ

8月1週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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8月1週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は余裕を感じさせる走りで勝利したガイアメンテ、ダリア賞を好指数勝ちしたコラソンビートなどが出た、8月5日、6日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

8月5日(土) 新潟5R 優勝馬 ファーヴェント 指数-2 評価B
13頭立ての新馬戦、そこで単勝オッズ1.3倍の高い支持を集めた本馬。名門・藤原英昭厩舎の所属馬ではあるが、ここまでの支持を集めるからには、相当な馬なのかと注目した。

レースは5番枠からトップスタートを決め、そこからすっと下げて好位馬群の中目5番手で折り合うセンスの良さを見せた。ペースは落ち着き、そのままの隊列で直線まで進み、決め手勝負の様相となった。直線序盤は前が壁だったが、ラスト2F手前で進路を確保すると、そこからじわじわ抜け出し、2馬身差で快勝した。

ラスト2Fは10秒9-11秒4とまずまず。上がり3Fタイム33秒4も同日3R・3歳未勝利戦がある程度ペースが流れた上で、33秒3だったことを考えると、そこまで優秀なものではなく、今回はそこまで良いとは言えない評価になった。ただ消耗の低い競馬だったので、今後の伸びしろは期待できる。本格化を待ちたい。

8月6日(日) 新潟5R 優勝馬 クリーンエア 指数±0 評価B
2番枠からスタート後、外の馬と接触する形となったが、全く影響を受けなかったかのように、枠なりで好位の最内を追走。3~4角の内々で包まれる形となり、直線序盤で前が壁。最内に入り込むスペースがあり、外国のトップ騎手なら迷わずそこを突くという状況だったが、外へ行こうとする。すると進路がなくなってしまい大ピンチとなった。ラスト1Fでやっと大外に出して進路を確保すると、そこからグイグイ伸びて差しきり勝ち。なかなかインパクトのある最後の脚だった。

ラスト2Fは10秒9-11秒7。上がり3Fタイムは33秒8。ともにあまり評価できるものではない。よって指数は低いものとなった。しかし不利がありながら勝利した走りは、数字以上の価値がある。このタイプは次走で大きな上積みを見せることもあるだけに、ノーマークにはしない方が良いだろう。

8月6日(日) 新潟6R 優勝馬 ライジンマル 指数-9(ダート) 評価AA
4番枠から好スタートを切り様子を窺っていたが、スピードの違いで自然と先頭に立った。そこから折り合いながらマイペースの逃げだったが、他の馬にとっては厳しいペースだったようで、ムチが飛ぶ馬がチラホラ。4角手前で能力の足りない馬は置かれて馬群がバラけ始めた。直線に入ると他の先行各馬の脚色一杯となるなかで、本馬だけは一定の脚の回転を続け、結果は8馬身差の独走だった。

ラスト2Fは12秒6-12秒6とかなり優秀。あの一定の脚の回転を続けた走りが数字にも良く出ている。今年の2歳ダート新馬戦は好指数決着が多く、その中で指数が飛び抜けているわけではないが、最上の評価をして良いだろう。現段階ではキレがやや足りない感もあるが、かなり心臓が強そう。距離が延びる舞台で大活躍が期待できる。

8月6日(日) 新潟8R 優勝馬 コラソンビート 指数-12 評価A
新馬戦では後続に着差を付けられず、好指数勝ちとはならなかったが、ラスト2F11秒4-11秒1の走りは秀逸だったアトロルーベンス。ボンドガールが勝利した新馬戦では敗れたが、デビュー2戦目の未勝利戦を好指数勝ちして勢いに乗ったコラソンビート。同じくボンドガールが勝利した新馬戦では敗れたが、次走の未勝利戦をなかなか良い指数で勝利したマスクオールウィン。

このレースでは前記の3頭が直線で抜け出し、後続を引き離しての迫力十分な叩き合いとなり、最後は積んだキャリアの強みでコラソンビートが抜け出した。

今回の指数は先に行われた函館2歳Sと同等なもので、なかなか優秀だ。今後も今回の上位3頭はなかなか楽しめそう。特にキャリア2戦目で2着だったアトロルーベンスは楽しみだと見ていたが、亀裂骨折を発症との報道。復帰後の活躍を期待したい。また今回の1、3着はボンドガールが勝利した新馬戦組。相対的に同馬の評価はさらに上がる。

8月5日(土) 札幌1R 優勝馬 バルミーウェザー 指数-7(ダート) 評価A
7月1日函館ダ1000m新馬戦は、ラスト2F11秒6-10秒9が記録された驚きの一戦。そこで2着だったのが本馬だ。今回はデビュー2戦目、ダ1700mへの一気の距離延長が嫌われたか、2番人気だった。

11番枠から今回も出脚が悪く、スタート直後に接触。新馬戦でも出脚が悪く、距離延長で改善されるように思えたが、やや改善された程度だった。このため道中は中団やや後方の外を追走。3角を過ぎても前とはかなりの差で、大敗もあるかと思う瞬間もあった。

ところが4角手前で一気に前との差を詰め好位の直後、そこから外に出されて2列目に並びかけると、直線では良い脚を持続し、結果5馬身差の圧勝だった。ラスト2Fは13秒1-13秒0。まだ余裕がありそうだ。スタートが悪く、当てにならない面もあるが能力自体はかなり高い。今後も楽しめそうだ。

8月6日(日) 札幌1R 優勝馬 レーヴジーニアル 指数-4 評価A
レースは未勝利馬ながら函館2歳Sに出走し、5着と健闘したカレンナオトメが1番人気の支持を受けた。しかし、今回は札幌芝1500mで不利な外枠、また前走はタフな馬場のハイペースで展開が向いたこと、さらに激走の疲れも懸念される状態で、かなり厳しいと見ていた。

しかし、結果は外から長く良い脚で追い込み2着。確かに今回は前走比で指数はダウンとなったが強さを見せた。近いうちに未勝利クラスは突破できそうだ。また3角から勢いを付けて進出し、4角で大外から押し上げるなど、距離ロスの大きい競馬ぶりから、未勝利突破後も面白い存在になりそうだ。

さて、このレースを勝利したレーヴジーニアルは、2013年の阪神JFを優勝したレッドリヴェールの仔で、前走の新馬戦では1番人気に支持されていた。前走は道中2番手から9着に大敗、ペース自体はスローだったが、捲る馬が出現し、見た目以上に厳しい流れになったもの。その厳しい競馬を経験していたことが今回に繋がった。

今回は重馬場のタフな馬場で、実質かなりのハイペースを逃げ切って勝利している。潜在的に瞬発力を秘めていれば、厳しい2戦の経験は今後に繋がる可能性がある。穴馬として警戒しておきたい。

8月6日(日) 札幌5R 優勝馬 ガイアメンテ 指数-7 評価AA
7頭立ての新馬戦、単勝オッズ1.4倍の断然の支持を受けたガイアメンテ。4番枠から五分のスタートだったが、そのあとの数完歩の走りが美しく、この時点でおそらく勝つのはこの馬だろうと感じさせるほどだった。

1~2角では中団の外でレースを進めたが、今回のメンバーでは潜在スピードが上だったようで、向正面でかなり行きたがっていた。2番手の外まで進出したが、そこで何とか折り合い、そのままの隊列で直線へ。好位の外から2角でハナを主張して逃げた2番人気コルレオニスもなかなか強く、並の新馬戦なら勝利できる指数をマークしたが、ガイアメンテは何だか楽しそうに走って、最後に抜け出して勝利した。

ラスト2Fは12秒0-12秒3。最後は減速しており、実際はそこまで余裕があったわけではないだろう。しかし、映像からは何かまだまだ余裕を感じさせながらの好指数勝ち。今後の飛躍が大きく期待できる。

2023年8月1週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ガイアメンテの指数「-7」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.7秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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