【2歳馬ジャッジ】コスモディナーが優秀なラップで新馬勝ち ラスト2F12秒0-11秒6は確かな実力
山崎エリカ
ⒸSPAIA
7月3週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は上がり3Fタイムが優秀なコスモディナーなどが出た、7月15日、16日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
7月15日(土)福島5R 優勝馬 エコロマーズ 指数-1 評価B
大外14番枠から好スタートを切ったが、スピードがあって鞍上も抑えるのに苦労し、折り合いを欠きながら1角へ。そこからはなんとか2番手の外で折り合うも、3~4角で逃げていた馬が失速して早くも先頭に立たされた。そのうえ外からライバルたちが早めに上がってきて、かなり厳しい展開となった。
直線では外の馬のほうが態勢有利だったが、そこから二枚腰を発揮し、振り切って勝利した。走破タイムの1分52秒0は時計の掛かる馬場を考慮すれば悪くない。しかし、ラスト2Fは11秒9-12秒5と失速し、あまり高い評価はできない。ただ、今回は折り合いを欠き、早めに先頭に立たされてしまう厳しい競馬で、能力を出し切っていないだろう。次走は上積みがあるはずなので、そこで能力判定をすべきだ。
7月15日(土)福島6R 優勝馬 アイアムユウシュン 指数-10 評価B
3番枠から好スタートを切って、内から二の脚で2番手まで上がり、3角手前では逃げ馬レーザーショーの外。前を行く3頭と後続が離れていたが、3~4角で前を行く1頭が失速して、4角では前2頭のマッチレースの様相となった。直線ではレーザーショーを目標に抜け出し、結果は3馬身差で快勝した。
走破タイムも1分9秒9と悪くなく、指数は1クラス上でも通用するレベルの優秀なもの。ただ、ラスト2Fは12秒4-13秒1。余裕を感じさせるものではなく、その点は評価が下がる。そうは言っても今回の指数は悪くないだけに、勝ったり負けたりしながらなかなか良い成績を残す馬となりそうだ。また、このレースでも感じたことだが、今年の2歳ダート新馬戦は例年よりも指数の高い決着が多い。
7月16日(日)福島2R 優勝馬 ロジルーラー 指数-2 評価A
新馬戦は10番枠から軽くアオって後手を踏み、中団の外を回るロスの大きい競馬で、最後の直線は伸び切れずの5着だった。今回は11番枠から五分のスタートを切って好位の外を追走。しかし、2角のペースダウンで本馬の内から上がってきたエコロライジンに接触して外に張り、ややスムーズさを欠いた。
終始外を回りながら勝ちを意識した競馬で脚を使わされ、4角では再びエコロライジンに張られて大外。かなり距離ロスのある競馬となったが、最後までしっかり伸びて勝利した。
ラスト2Fは12秒3-12秒7。指数もまずまずのレベル。数字面はそこまで高く評価できないが、かなり長く良い脚を使っており、スタミナを感じさせる。今回はハナ差の辛勝だったが、距離が延びれば花を開きそうだ。
7月16日(日)福島5R 優勝馬 コスモディナー 指数-7 評価AA
3番枠から好スタートを切り、すっと3番手を追走。ライバルたちがバタバタとした動きを見せるなか、インでしっかり脚を溜め、競馬センスの良さを見せた。4角では他馬が馬場の悪い内を避けて外に出して行くなかで、本馬はそのままインを通って直線へ。外から伸びてきたテウメッサの脚色が素晴らしく、外と比較すれば馬場の悪いところを通っている本馬はかなり苦しい状況だったが、なんとかもうひと伸びして勝利した。
ラスト2Fは12秒0-11秒6。時計の掛かる福島芝中距離の新馬戦でこの数字は秀逸。外から伸びてきたテウメッサが止まったのではなく、コスモディナーが最後にもうひと伸びした。上がり3Fタイムの34秒9も素晴らしい。同日の同距離、福島2Rや福島7Rと比較しても飛び抜けている。
3、4着馬には7馬身弱の大きな差をつけており、指数は新馬戦としてはかなり優秀。2着テウメッサも並の新馬戦なら勝利濃厚レベルだったが、本馬が強すぎた。
本馬の母コスモミールは新馬戦でラスト2F12秒0-12秒0と好内容で勝利したあと、マリーゴールド賞、ダリア賞とデビューから3連勝したほどの素質馬。それなのに本馬は今回12番人気と低評価だった。今後もあまり人気にならないかもしれないが、実力は確かで、大きな期待を持てる。
7月15日(土)中京1R 優勝馬 アスクワンタイム 指数-6 評価A
前走の新馬戦はクリノハレルヤのかなり強い逃げ切り勝ちだったが、本馬も外から良い脚で伸びて上がり3F最速タイで2着と、光るものを見せていた。
今回はデビュー2戦目で、6番枠から五分のスタートを切った。二の脚でやや置かれて中団の外を追走していたが、そこから位置を押し上げて3角前では4番手。コーナーで内から押し上げて3番手に上がり、直線では前を目標にスパートをかけた。残り300m付近で先頭に立つと、後続を引き離し、5馬身差で圧勝した。
ラスト2Fは11秒2-12秒6ではあるが、これでデビューから2戦連続上がり3Fタイム最速と底を見せていない。次走は脚を溜める競馬でどれだけ弾けるか楽しみだ。また、本馬の新馬戦で発走後に外に膨れるロスがありながら、押し切って勝利したクリノハレルヤは、かなり強そうだと再認識した。
7月15日(土)中京5R 優勝馬 ステラスプレンダー 指数-3 評価A
8番枠から好スタートを切ったが、その後に物見してブレーキを掛けるロスがあった。立て直すと行きっぷりが良く、スピード感ある走りで好位に上がっていった。4角では外を回りながら抜群の手応え。直線では早め先頭に立ち、独走するかと思われたが、大きくは伸びきれず。それでも後続に4馬身差をつけた。
ラスト2Fは11秒6-12秒4。最後に伸びきれなかったのが数字にも出ている。しかし、直線で早め先頭に立って押し切ったのは価値が高い。今回は厳しい流れを押し切った競馬で、この経験が次走に繋がってくるようなら面白い存在になりそうだ。
7月15日(土)中京6R 優勝馬 キャンシーエンゼル 指数-4 評価B
4番枠から好スタートを切って一旦は先頭に立ったが、外からニシノミニョンヌが押してハナを主張したので、控えて速い流れの2番手を追走。直線では同馬が飛ばしていたが、ラスト1Fでそれをかわすと、そのまま押し切り2着に2馬身半差をつけて勝利した。
走破タイムは同日1Rの2歳未勝利戦よりもかなり速いが、これは馬場回復が影響したのだろう。それでも新馬戦としては良い指数だった。ラスト2Fは11秒5-12秒0で、そこまで余裕はなかったか。今回の走りはおおよそ能力を出し切ったものと推測できるが、指数自体は良い。成績にデコボコが出そうなタイプで、使われつつになるだろうが、穴馬として期待したい。
7月16日(日)中京5R 優勝馬 エンヤラヴフェイス 指数-4 評価B
6番枠から五分のスタートだったが、テンで気合を付けるとダッシュ良く2番手に上がって流れに乗った。3~4角から軽く促され、4角の加速でやや置かれたが、直線に入ると逃げ馬をラスト1F手前でかわして堂々先頭に。そこからジワジワと後続を引き離し、結果は5馬身差の圧勝だった。
ラスト2Fは11秒1-12秒0。上がり3Fタイムは34秒3。馬場状態を考えるとそこまで上がり3Fタイムが速かったとは言えず、ラスト1Fも急失速している。5馬身差の圧勝ではあったが、2着以下がやや弱かったとも言える。それでも新馬戦としては指数は良く、叩かれながら上を目指す馬となりそうだ。
7月15日(土)函館11R 優勝馬 ゼルトザーム 指数-12 評価A
今年の函館2歳Sは例年より出走メンバーの質が高い印象があった。ダート組が妙に活躍しており、新馬戦でのラスト1Fの秀逸さから、初芝で重賞挑戦のナスティウェザーを本命視した。しかし結果は惨敗。勝利したのは驚き、もう一頭のダート組ゼルトザームだった。
馬場の良い外目を通ったことは確かだが、見事な末脚。初芝で重賞を勝利したことは価値が高く、今後も活躍が楽しみだ。2着はキャリア3戦目のナナオ。未勝利戦の内容が優秀で、馬場がタフになったことでキャリアの豊富さが生きた。
2歳の早い時期の重賞は、キャリアを積んだ馬が穴狙いのセオリーだが、ナスティウェザーの新馬戦のラスト1Fに惚れ込み過ぎて冷静さを失っていた気がする。3着は逃げたスカイキャンバス。馬場状態を考えれば実質オーバーペースで立派な内容だった。今後も大いに活躍を期待できる。
7月16日(日)函館5R 優勝馬 マーゴットソラーレ 指数-5 評価A
3番枠から好スタートを切り、枠なりに先頭に立ってマイペースの逃げ。しかし、3~4角で外からスパークリシャールらが上がってきて、見た目以上に厳しい展開だった。それでも先頭を譲ることなく直線へ。外から並びかけてきた同馬との叩き合いになったが、最後までしっかり伸びて逃げ切った。
ラスト2Fは12秒2-12秒1。自らレースを作って最後までしっかりと伸びた優秀な内容だった。最後まで加速できたことから、まだ余裕があったのだろう。上を目指すなら最後にあとひと伸びほしかったところではあるが、今後が楽しみだ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)コスモディナーの指数「-7」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.7秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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