【競馬】東大HCが札幌巧者を徹底検証 芝の下級条件でキズナ、ダ1000mで松岡正海騎手は買い

東大ホースメンクラブ

種牡馬別 芝・ダートの「札幌巧者」一覧,ⒸSPAIA

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札幌開催がスタート

今週から札幌開催がスタート。スーパーGⅡとして名高い札幌記念をはじめとして、今後は5重賞の開催が予定されている。昨年、一昨年と2年連続で札幌リーディングを獲得している横山武史騎手を筆頭に、真夏の北の大地で輝く「札幌巧者」たちは数多く存在する。

そこで今回は、種牡馬や騎手の札幌適性をデータで徹底検証。ここでは札幌での勝率から全場での勝率を引いたものを「札幌巧者率」と定義し、この数値に基づいて各種牡馬や騎手の得意/不得意を議論してゆく(データは2013年7月21日~2023年7月16日のものを使用)。


芝のキズナ、ダートで活躍する芝種牡馬たち

種牡馬別芝コース「札幌巧者率」一覧,ⒸSPAIA


まずは、種牡馬別に芝コースの札幌巧者率について分析する。今回は過去10年での出走数が100を超えた種牡馬たちが対象だ。

飛び抜けて高い「札幌巧者率」を記録したのはキズナ。14.8%-9.9%=4.9%(出走数122)と高い適性を示している。特に未勝利戦や1勝クラスといった下級条件での活躍が目立ち、未勝利戦では単勝回収率156%、1勝クラスでは同245%と妙味も十分。見かけたらぜひ買い目に入れておきたい。重賞では【1-1-1-4】とサンプル数は少ないが、複勝率42.9%を記録。21年には、札幌で開催された函館スプリントSをビアンフェが制している。

また、芝2600mも狙い目。【3-2-1-7】で勝率23.1%、単回収率290%を叩き出している。消耗戦を得意とする産駒の多いキズナにとっては、絶好の舞台なのだろう。

その他、目立った値を記録したのが、10.0%-8.1%=1.9%(同150)でオルフェーヴル。こちらは芝2000mが狙い目で、【8-5-2-26】勝率19.5%、単回収率161%とプラス域だ。同コースで行われた札幌記念ではラッキーライラックが3着に入っている。また、昇級組が【4-2-0-8】勝率28.6%と十分通用しており、単回収率130%。昇級馬の勢いは無視できない。

エピファネイア産駒は10.9%-9.3%=1.6%(同110)。稍重では【4-4-2-10】勝率20.0%とパフォーマンスを上げており、良馬場の倍以上の勝率9.1%を記録している。また、ルーラーシップ産駒は10.3%-8.8%=1.5%(出走数184)。新馬戦での成績が【4-2-4-7】と優秀であり、勝率23.5%、単回収率282%を記録している。

一方、札幌巧者率がマイナスとなった種牡馬については該当馬が非常に少ない。有名どころではダイワメジャーが該当したが、8.0%-8.6%=-0.6%(同301)とわずかなマイナスであった。福島や函館ではマイナスを叩いたディープインパクトやキングカメハメハもそれぞれ13.0%-12.7%=0.3%(同578)、11.5%-10.0%=1.5%(同330)とプラス値を記録。他のローカル競馬場と比べれば、札幌コースの癖は弱いといえるだろう。

種牡馬別ダートコース「札幌巧者率」一覧,ⒸSPAIA


次にダートコースにおける種牡馬別の札幌巧者率を見ていこう。

最も高い値を記録したのはハーツクライ。巧者率は13.9%-8.5%=5.4%(同137)だ。20年には産駒のタイムフライヤーがエルムSを制している。妙味が出てくるのは前走からの距離延長。【3-6-3-15】複勝率44.4%、複回収率119%で、4番人気以下が7頭も馬券に絡んでいる。また、ダート2400mを最も得意としており【3-1-1-4】勝率33.3%、単回収率134%となっている。

意外なことにディープインパクトもダートで高い適性を示している。巧者率は13.4%-8.1%=5.3%(同134)。特に1000mでは【3-1-0-15】勝率15.8%、単回収率358%にのぼる。また、芝からダート替わりを狙うのも一つの手であり、成績は【6-1-3-40】で勝率12.0%。前走ダート組の勝率より2.5%低い程度であり、単回収率201%と、妙味は大きく上回る。

この2頭に13.2%-8.3%=4.9%(同190)でサウスヴィグラス産駒が続く。父はJBCスプリントを制しているように短距離馬だが、勝率が最も高いのは意外にもダート1700m。【7-4-9-31】で複勝率39.2%、複回収率148%と妙味十分。また、距離短縮組も【11-3-2-32】と優秀であり、勝率22.9%、単回収率135%を記録している。

一方、クロフネ産駒の巧者率はマイナスが最も大きく、4.7%-8.0%=-3.3%(同172)。芝ではプラスだったキングカメハメハも、ダートでは8.2%-10.1%=-1.9%(同208)とマイナス値を記録。その他、ダートの大種牡馬ゴールドアリュールも7.2%-8.8%=-1.6%(同236)となっている。

種牡馬別「札幌巧者率」一覧,ⒸSPAIA


松岡正海騎手、亀田温心騎手に注目

 騎手別「札幌巧者率」一覧,ⒸSPAIA


最後に騎手別の札幌巧者率を見ていく。騎乗数が100以上の騎手を調査対象とする。

高い巧者率を記録したのは松岡正海騎手で、8.5%-4.9%=3.6%(騎乗数318)。逃げ馬での成績が良く、前走逃げた馬では【3-2-1-18】で勝率12.5%、単回収率155%。ベタ買いするだけでプラスになる。また、最も得意なのはダート1000mで、【5-3-2-19】勝率17.2%、単回収率231%。見かけたらぜひ買い目に入れておきたい。

それに続くのは、7.7%-4.8%=2.9%で亀田温心騎手(同183)。芝が狙い目であり、【11-5-11-76】で勝率10.7%、単回収率148%と黒字域だ。また、牝馬との相性も良く、全14勝のうち12勝が牝馬によるもの。成績は【12-5-6-75】で勝率12.2%、単回収率169%だ。21年にはレイハリアでキーンランドCを制覇している。

三浦皇成騎手は11.9%-9.2%=2.7%(同294)を記録。芝よりもダートの勝率が高く、妙味度もダートの方が高い。最も得意としているのはダート1000m。【6-5-5-14】複勝率53.3%、複回収率111%と好成績だ。

2年連続で札幌リーディングを獲得している横山武史騎手は13.5%-11.0%=2.5%(同578)。人気することも多くプラスになる条件は他の騎手に比べて少ない。ただ、芝1800mでの成績は【16-7-0-38】勝率26.2%、単回収率129%と抜群に良いことは覚えておきたい。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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