【CBC賞】マッドクールはあらゆる不振データを破れるか? 一発ならヨシノイースター

勝木淳

CBC賞に関するデータ,ⒸSPAIA

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中京8回は上位人気が中心

CBC賞は直近2年、小倉芝1200mで行われ、特に昨年は48キロのテイエムスパーダと今村聖奈騎手が1:05.8という衝撃の時計を叩き出し、ルーキーの重賞初制覇とともに夏競馬の話題をさらっていった。

今年は従来の中京に舞台が移る。前半が速くなる平坦小倉と、前半のぼり区間で高速化しにくい中京とでは適性に差がある。実際にデータも中京と小倉では微妙に違いがみられるので、ここでは中京で行われた2012年~2019年までの8回分のデータを使用する。

CBC賞の人気別成績,ⒸSPAIA


ハンデ戦の電撃戦であり、阪神で行われた20年13、11、3番人気決着の印象も手伝い、波乱の雰囲気を察知しがちだが、中京施行8回の勝ち馬は4番人気以内と手堅い。1番人気【2-1-1-4】勝率25.0%、複勝率50.0%、2番人気【3-1-2-2】勝率37.5%、複勝率75.0%、3番人気【1-1-2-4】勝率12.5%、複勝率50.0%とむしろ上位人気を信頼したいレースだ。

反面、5、6番人気は馬券圏内ゼロで7、8番人気が複穴で絡むかどうかといったところ。中京芝1200mは前半がオーバーペースになりにくく、高松宮記念のように道悪馬場になれば波乱の目もあるが、馬場状態さえよければ案外力通りに決まる舞台でもある。

CBC賞の年齢別成績,ⒸSPAIA


次に年齢の傾向。軽いレースになる小倉で行われた直近2年は3歳馬が連対したが、中京だと3歳は【0-0-0-13】。トリッキーな中京で好走するには経験が必要になる。

また4歳も【0-1-1-9】複勝率18.2%と不振。これは2019年までのデータのため、降級の影響も考えた。かつて4歳は6月で収得賞金が半分になり、大半はクラスが下がってしまい、4歳は重賞ウイナーでないとオープンに残れなかった。これが4歳不振の要因とも思えたが、降級制度が廃止された19年以降もこのレースで4歳は【0-0-0-9】といいところなし。前年覇者テイエムスパーダやマッドクール、エイシンスポッターは人気に応えられるだろうか。

だったら、5歳【6-4-4-23】勝率16.2%、複勝率37.8%、6歳【2-2-3-36】勝率4.7%、複勝率16.3%を中心にとろう。ヨシノイースターやスマートクラージュなど鞍馬Sでエイシンスポッターに敗れた馬たちも侮れない。

馬場によって異なる好走候補

上位人気が信頼できる一方で、上位人気が予想される4歳勢が不振という矛盾した傾向をどう考えればいいのか。ここからは前走成績を中心にこの点を探っていく。

CBC賞の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走GⅡ【2-2-0-5】勝率22.2%、複勝率44.4%はトゥラヴェスーラの京王杯SCが【0-1-0-3】複勝率25.0%。15年ダンスディレクターが京王杯SC12着から巻き返した。トゥラヴェスーラも同じ12着。8歳といえども、2走前は高松宮記念3着でこのコースは得意。待望の重賞制覇のチャンスでもある。

次に出走馬が多く当てはまるオープン・L【4-1-3-58】勝率6.1%、複勝率12.1%について。まずはサンライズオネストの安土城S【2-1-1-13】は前走1着【2-0-0-1】、3着【0-0-1-1】と好走馬が中心。安土城S8着サンライズオネストも中京はセントウルS3着があり、巻き返しを狙う。

エイシンスポッター、スマートクラージュ、ヨシノイースターらの鞍馬Sは【1-0-2-12】。ここは3着以内【0-0-0-3】、4、5着【1-0-1-0】、6~9着【0-0-1-6】と負けた組の好走が目立つ点に気をつけよう。

今年の鞍馬Sは不良馬場で行われ、前後半600m34.7-35.2と後半やや時計を要する競馬だった。コンディションの悪い馬場で上がり34.2を繰り出し、後方から直線一気を決めたエイシンスポッターはスケールを感じる一方、激戦の反動も気になる。データ的には同じように後ろから差を詰めた4着ヨシノイースターが合致する。1分8秒台の決着で結果を残しており、極端な高速馬場でなければチャンスはある。

最後にマッドクールの春雷S【0-0-0-5】はひっかかる。高松宮記念直後のオープン特別とあって全体的に低調な組み合わせになる点も要因だろう。

ただ、マッドクールはシルクロードSで連勝が止まったとはいえ、3着と重賞で結果を残した。オープン特別を渡り歩くベテラン勢とは少し意味合いが違う。春雷S勝利からCBC賞にターゲットを絞り、ここからサマースプリントシリーズで実績を積み上げ、GⅠ戦線へという意気込みが感じられ、過去のデータとはニュアンスが違うことは頭に入れておこう。シルクロードS3着1:07.4は同じ中京での記録。中京芝1200mは3戦連続1分7秒台で走破しており、開幕週で良馬場なら通用の根拠はある。

2023年CBC賞に関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『ゴールドシップ伝説 愛さずにいられない反逆児』(星海社新書)に寄稿。

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