【阪神牝馬S】重賞勝ちアルジーヌ、ボンドガールらが中心 桜花賞の出走経験もカギに
勝木淳

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上位人気堅実もヒモ荒れ注意
13日の桜花賞前日に、同舞台で行われる阪神牝馬S。ヴィクトリアマイルへ向けた戦いながら、なんとなく3歳時の桜花賞が重なる。たとえば、2年前10番人気2着と激走したサブライムアンセムは前年桜花賞9着。ところが、昨年の1~3着は桜花賞未出走、一昨年勝ったのはチューリップ賞4着で桜花賞を逃したサウンドビバーチェだった。
1年越しの阪神マイルはそれぞれの悔しさを晴らす舞台でもある。桜花賞を経験しても、惜しくもその舞台に立てなくても、馬生は続く。そしてチャンスはいつか巡ってくる。阪神牝馬Sは前哨戦ながら、その好機でもあるのだ。
ここからは、マイル戦になった2016年以降9年分のデータを使用して、今年の阪神牝馬Sを展望する。
1番人気【3-2-1-3】勝率33.3%、複勝率66.7%、2番人気【2-1-1-5】勝率22.2%、複勝率44.4%と外回りの真っ向勝負らしく上位人気は手堅い。
4番人気【2-1-1-5】勝率22.2%、複勝率44.4%、6番人気【1-1-0-7】勝率11.1%、複勝率22.2%のほかは9番人気【1-0-2-6】勝率11.1%、複勝率33.3%、10番人気以下【0-3-1-33】複勝率10.8%とヒモ荒れはありそう。上位人気だけで固めるのは危なそうだ。
年齢は4歳【5-7-4-35】勝率9.8%、複勝率31.4%、5歳【3-2-2-37】勝率6.8%、複勝率15.9%のふた世代が中心。牝馬は6歳となればターフを去ることも多く、出走数自体が少ない。それを考えると6歳【1-0-3-13】勝率5.9%、複勝率23.5%は健闘しているともいえる。
ボンドガールとアルジーヌの違いとは
今年の中心は同じマイルのターコイズSを勝ったアルジーヌあたりか。阪急杯3着ソーダズリング、東京新聞杯2着ボンドガールも昨夏クイーンS以降4着以下がなく、マイル戦に戻っての手ごたえもある。
前走クラス別ではGⅢ【5-5-6-44】勝率8.3%、複勝率26.7%に注目。東京新聞杯は【2-1-1-5】勝率22.2%、複勝率44.4%と相性がよく、ボンドガールの評価は落とせない。東京新聞杯は前後半800m46.1-46.5と牡馬相手の真っ向勝負で2着だから力は明らか。桜花賞は阪神JFに出走できずで予定が狂い、最終的には2/3抽選で除外された。
アルジーヌのターコイズSは【0-0-0-2】(GⅢ時のみ)。年末から4月まで休むというローテはそうなく、これはデータとしては評価しようがない。レースはこちらも前後半46.3-46.9の締まった流れを差し切った。トップハンデタイ55.5kgでの記録であり、高く評価したい。
こちらは桜花賞どころか阪神初出走。少し出世に時間を要したが、昨夏クイーンS以降の充実ぶりは鮮やか。間隔があいた点がどう出るかだろう。
京都金杯は【0-0-1-3】。19年ミエノサクシードが京都金杯3着から好走した。11着ドゥアイズは強調しづらいか。同馬は2年前の桜花賞5着馬だ。
個別だと分母が小さくなってしまうので、前走重賞でみると、1着馬は【3-1-1-2】勝率42.9%、複勝率71.4%であり、2着だと【0-0-0-7】。好走馬を買うなら1着馬であり、2着馬は不振。それならいっそそれ以下の着順でもいい。
このデータだとボンドガールが危うい。ソーダズリング(桜花賞未出走)、スウィープフィート(24年桜花賞4着)、イフェイオン(24年桜花賞11着)あたりに候補が隠れていそうだ。
前走3勝クラス【1-2-2-12】勝率5.9%、複勝率29.4%は距離で判断。同距離【0-1-1-9】複勝率18.2%に対し、短縮は【1-1-1-1】勝率25.0%、複勝率75.0%。前走1600mより長い距離を経験していることが目安。3勝クラス経由は同距離より短縮と覚えておこう。
《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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