【日本ダービー】ソールオリエンスと歴代の無敗皐月賞馬を比較 遜色ない戦歴で無敗二冠なるか
高橋楓
ⒸSPAIA
過去に無敗の皐月賞馬は9頭
今でも忘れることが出来ない「音速の末脚」。そう、フサイチコンコルドだ。年明けデビューの2戦2勝で挑んだ1996年のことだった。武豊騎手がまだ手にしていなかった日本ダービー制覇の悲願を打ち砕く、3戦目での日本ダービー優勝。これは1943年のクリフジ以来で、戦後初の快挙だった。
今年は無敗の二冠制覇に挑むソールオリエンスに注目が集まる。皐月賞は戦後初のキャリア2戦での優勝。何よりレースぶりが凄まじかった。驚きの4角17番手からの大逆転劇、上がり3ハロンのタイムは35.5秒で、2位のファントムシーフら3頭より0.9秒速い。
今回はそんなソールオリエンスが、「史上8頭目の無敗の二冠達成なるか」に迫ってみたい。
さっそくグレード制導入後、無敗の皐月賞馬に輝いた9頭が日本ダービーでどのような結果になったか振り返ってみよう。
1984年 シンボリルドルフ 1着
1985年 ミホシンザン 不出走
1991年 トウカイテイオー 1着
1992年 ミホノブルボン 1着
2001年 アグネスタキオン 不出走
2005年 ディープインパクト 1着
2019年 サートゥルナーリア 4着
2020年 コントレイル 1着
2021年 エフフォーリア 2着
※グレード制導入前ではトキノミノル、コダマが無敗二冠を達成
ミホシンザン、アグネスタキオンは怪我で出走が叶わなかったが、7頭が挑み【5-1-0-1】の成績で5頭が無敗の二冠馬に輝いている。サートゥルナーリアは日本ダービー本番でD.レーン騎手が初騎乗の乗り替わりで敗れているが、他の馬は継続騎乗で結果を残している。エフフォーリアも敗れたとはいえ10cm差の2着。父エピファネイア、父父シンボリクリスエス、母父ハーツクライも日本ダービー2着だっただけに悔しい結果だった。
ソールオリエンスに目を向けてみると、前走で1馬身以上離す強い内容で勝ち上がっていて、冒頭にもあげたように、次元の違う末脚を披露している。コントレイルが皐月賞を制した時は、上がり3ハロンで次位の馬に0.5秒、無敗ではないがドゥラメンテが0.6秒差。歴代の名馬達と比べても遜色は全くないどころか、一歩抜きんでている。
無敗の皐月賞馬たちの日本ダービーまでの戦績
次にグレード制導入後、無敗で皐月賞を制した7頭が日本ダービーまでに何戦走ったかと、それまでに皐月賞以外でどのような成績をあげていたのかを振り返ってみたい。
1984年 シンボリルドルフ 5戦(GⅢ弥生賞)
1991年 トウカイテイオー 5戦(オープンクラス3勝)
1992年 ミホノブルボン 5戦(GⅠ朝日杯3歳S、GⅡスプリングS)
2005年 ディープインパクト 4戦(GⅡ弥生賞)
2019年 サートゥルナーリア 4戦(GⅠホープフルS)
2020年 コントレイル 4戦(GⅠホープフルS、GⅢ東スポ杯2歳S)
2021年 エフフォーリア 4戦(GⅢ共同通信杯)
皐月賞が重賞初挑戦となったトウカイテイオー以外の全馬が、重賞馬の肩書を当然のように持っていた。この点は京成杯を制しているソールオリエンスもクリアしている。
ここで唯一、気になるデータがある。無敗のダービー馬になった5頭は、1番人気以外になったことが多くて1回。これまでソールオリエンスは3戦中1番人気が1回、2番人気が2回(うち1回は1番人気と同じ単勝オッズ)ある。
人気の話になると「なんだ、そんなことか」と感じるファンも多いかもしれないが、大事なお金を出しているファン自身が1番人気に支持していないということは、他に有力馬がいたか、不安要素があったか、それとも他に魅力がある馬がいたからそういう結果になっているわけだ。さすがに日本ダービー当日は1番人気に支持されるだろうが、少し気になるデータといえる。
実際、2021年の皐月賞を圧勝し日本ダービー制覇は確実と思われていたエフフォーリアは、デビュー戦こそ単勝1.4倍の1番人気だったが、その他のレースでは2番人気が2回、共同通信杯では4番人気だった。
キタサンブラック産駒と横山武史騎手の東京競馬場実績
父キタサンブラックはまだ種牡馬デビューして間もないが、いきなり年度代表馬イクイノックスを輩出した。産駒の東京競馬場芝コースの実績は通算【21-14-6-70】で勝率18.9%、連対率31.5%、複勝率36.9%。ディープインパクト産駒の通算成績、勝率13.9%、連対率25.0%、複勝率35.4%を上回っている。
キタサンブラック自身、東京のGⅠを2勝しているが、日本ダービー14着のイメージもあっただけに、印象以上に好成績だ。産駒は1番人気に支持された時には【11-4-1-3】、勝率57.9%、連対率78.9%、複勝率84.2%とハイアベレージを記録している。
最後に芝2400m成績をみる。通算は【2-1-2-11】となっているが、勝ち星はともに1番人気であげたもの。2着は日本ダービーで2番人気だったイクイノックス。現状、2400m戦では人気と結果が比例しやすい。こう書いているとソールオリエンスで盤石に思えるが、同じキタサンブラック産駒で、青葉賞をはじめ東京コースで4戦3勝のスキルヴィングが強敵となりそうだ。
次に主戦の横山武史騎手の成績を見てみよう。デビュー以降の東京コース成績は【45-44-46-333】勝率9.6%、連対率19.0%、複勝率28.8%。1番人気では【13-9-6-18】勝率28.3%、連対率47.8%、複勝率60.9%、東京芝コース全体の1番人気成績と比べると率が落ちる。
皐月賞で史上初の記録を多く打ち立てたソールオリエンス。思い返せばナリタブライアン、コントレイルの2頭も皐月賞を1枠1番で制している。先輩たちの後を追い、無敗の二冠馬誕生はなるだろうか。
《ライタープロフィール》
高橋楓
秋田県出身。競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。
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