2年半ぶり再開、京都競馬場ヒストリー 淀のGⅠを愛した名ステイヤー・ライスシャワー

緒方きしん

京都競馬場の年表,ⒸSPAIA

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京都競馬場がついにリニューアルオープン!

2020年10月開催を最後に改修工事に入っていた京都競馬場が、ついにリニューアルを迎える。来週には早速、天皇賞(春)というビッグイベントを迎えることもあり、盛り上がりを見せている。きっと新・京都競馬場でも様々な感動のドラマが我々を待っていることだろう。今回はおよそ2年半ぶりとなる開催に際して、京都競馬場の歴史を振り返っていく。

1925年、現在の土地に創設された京都競馬場。その前身は明治時代に使われていた島原競馬場と、非常に長い歴史を持つ。創設当初は我々がよく知るものとは違うコース形状で、淀の坂が作られたのは1935年のことだと言う。パドックが正円形となったのはさらにそのあとの1938年のことである。

今では平安ステークスやみやこステークスが開催される京都競馬場だが、ダートコースが設置されたのは1971年のこと。1985年にターフビジョンが完成、1987年にウィナーズサークルの設置と、着々と設備を充足化させてきた。

明るいニュース以外では、1995年の阪神・淡路大震災も京都競馬場での開催に影響を与えた。1月21、22日の開催が中止になり、開催予定だった日経新春杯は翌週に持ち越され、サッカーボーイ産駒のゴーゴーゼットが勝利した。また、2016年には京都競馬場の名物として親しまれた白鳥たちから鳥インフルエンザが検出され、殺処分されてしまうということもあった。

2018年には、JRAの競馬場として初となるJBC競走を開催。JBCクラシックをケイティブレイブ、JBCスプリントをグレイスフルリープ、JBCレディスクラシックをアンジュデジールが勝利して、JRA馬がタイトルを総ナメにした。

この地で引退式を迎える馬も多く、古くは1966年シンザンが引退式を開いている。場内にはシンザン像が置かれ、1月には重賞・シンザン記念も開催されているように、京都競馬場と縁深い名馬である。

その後も、1991年のオグリキャップや1993年のメジロマックイーン、1995年のビワハヤヒデや1996年のナリタブライアンと、平成初期を代表するアイドルホースらを第二の馬生へと送り出してきた。近年も2018年キタサンブラックやコパノリッキー、2020年リスグラシューなどがこの地で引退式を執り行っている。


悲運の名馬、ライスシャワーを忘れない

京都競馬場では菊花賞や天皇賞(春)という、二つの長距離GⅠが開催されている。菊花賞は昨年、一昨年を含め過去に3度の阪神開催があるが、三冠馬は出ていない年だった。つまり、休止期間に入る直前のコントレイルを含め、全ての三冠馬は京都競馬場で栄冠を掴んでいることになる。

1975年のエリザベス2世訪日を記念して翌年に改称したエリザベス女王杯(旧・ビクトリアカップ)、1996年に創設された秋華賞と、牝馬三冠の最終戦も京都競馬場で行われる。こちらもメジロラモーヌからデアリングタクトまで、全ての三冠牝馬が京都で最後の一冠を制している。

京都競馬場に記念碑が建立されている馬は、シンザンのほかにも存在する。悲運の名馬・ライスシャワーである。

ライスシャワーは1989年うまれの競走馬で、同期にはミホノブルボンやナリタタイセイらがいる。この年はミホノブルボンが圧倒的な人気を集め、デビュー戦から朝日杯3歳S、皐月賞、ダービーを含む7連勝を飾る。三冠確実かと見られた菊花賞では単勝1.5倍の圧倒的人気を集めたが、ダービーで4馬身差、京都新聞杯で1馬身半差をつけていたはずの2番人気馬に、直線で差し切られて2着に敗れる。三冠を阻止したその馬こそが、ライスシャワーである。

ライスシャワーはその後、有馬記念で2年連続8着、天皇賞(秋)で6着、ジャパンCで14着など、関東のレースで大敗を続けたものの、京都競馬場で開催されるGⅠでは引き続き強さを示し続けた。1993年の天皇賞(春)では単勝1.6倍の圧倒的人気メジロマックイーンを差し切り、1995年の天皇賞(春)では4番人気ライスシャワーが単勝5.8倍という混戦模様のなか、早め先頭に立つ競馬で押し切った。

気がつけば、京都のGⅠでは3戦全勝という圧倒的な戦績。阪神開催の京都記念では5着に敗れたが、逆に京都開催となった宝塚記念ではどうなるだろうか。そう考えたファンがいたかはわからないが、代替開催の1995年宝塚記念で、ファン投票1位に選出されたのだった。しかしレースでライスシャワーは転倒、左第一指関節開放脱臼・粉砕骨折を発症し、予後不良となってしまった。新しい京都競馬場となっても、ライスシャワーを忘れることなく、記念碑の前で思いを馳せていきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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