【フローラS】ポイントは中距離へのシフトチェンジ 狙いは君子蘭賞勝ち馬キミノナハマリア
勝木淳
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5番人気以内か10番人気以下か
リバティアイランドの衝撃から2週間が経ち、早くも舞台は次の出走権をかけたオークストライアルへ進む。牝馬路線も早くからマイルではなく、中距離へ照準を絞る傾向があり、オークスは桜花賞組断然とは言えなくなりつつある。相対的にフローラSの位置づけが上がり、昨年こそ好走馬は出なかったが、20、21年は本番好走馬を送り出した。桜の女王リバティアイランド含めハイレベルな桜花賞組に距離適性で迫れるのはどの馬か。注目の一戦だ。データは過去10年分を使用する。
まずは人気別成績から。1番人気は【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%でやや信頼度が劣る。18年サトノワルキューレが勝利してから4年、馬券圏内すらない。桜花賞とはまったく異なる顔ぶれになるここは、メンバーの能力比較が難しい一戦でもある。5番人気以内が9勝2着6回3着5回なので、基本は上位5頭の取捨がポイントだ。穴を狙うなら半端にいかず、10番人気以下【1-3-2-76】勝率1.2%、複勝率7.3%まで思い切って振りにいきたい。
新馬戦が早めに終わり、未勝利戦のレベルが徐々に下がりつつある春、未勝利戦で初陣を迎え、勝利を飾るシーンが目立つようになってきた。だが、そこから一気に重賞へという馬は注意が必要だ。キャリア1戦は新馬【0-0-0-4】、未勝利【0-0-0-4】とさすがに重賞は厳しい。ただでさえ難しいといわれる2戦目で重賞挑戦はハードルが高い。イトカワサクラなどは慎重に考えよう。キャリアでみると、3戦【4-3-3-28】勝率10.8%、複勝率26.3%から5戦【0-4-3-22】複勝率24.1%がひとつの目安になる。一方で7、8戦にもホットスポットがある点も注意だ。
イングランドアイズはクイーンC好走がポイント
狙いは5番人気以内か10番人気以下と極端、キャリアは3~5戦、該当馬がいれば7、8戦といった基本的な好走ゾーンをつかんだ。ここからさらに戦歴データも確認し、注目馬をピックアップしていく。
キャリア2戦以上に限定した前走クラス別成績では、中1週の桜花賞経由は昨年、パーソナルハイ2着があるので、出走してくればチェックしたい。重賞組では前走GⅢが【2-5-5-34】勝率4.3%、複勝率26.1%。まずフラワーC【1-3-4-15】勝率4.3%、複勝率34.8%に注目。単勝は狙いにくいが、2、3着には組み込むべきだろう。着順別では5着以内【1-3-3-7】、6着以下【0-0-1-8】。今年は4着ゴールデンハインドが当てはまる。
ラフィアンで父ゴールドシップの牝馬といえばユーバーレーベンを思い出す。ゴールデンハインドは不良のフラワーCで最後にスタミナが尽き、4着に敗れたが、1、2着が追い込み型だった状況で0秒4差なら善戦したといえる。東京は昨秋アイビーS4着。逃げ、2番手が1、2着というスローペースのなか、4番手から上がり2位33.8を記録し、3着オープンファイアに半馬身差と食い下がった。適性がないとはいえない。
ほかでは同じ東京のクイーンCが【0-2-1-8】複勝率27.3%。ここは4着イングランドアイズが出走予定。オークス母子制覇のためにもここは突破したいところだが、フラワーCとは異なり、クイーンCは4着以内【0-0-1-7】、6着以下【0-2-0-1】で凡走馬が優勢だ。マイル戦が合わず、負けてすっぱりと路線変更がパターンだとすると、0.1差4着とマイル戦にそこそこ対応できたイングランドアイズはどうだろうか。ただ新馬戦は阪神芝2000mで1着なので、中距離型であることは確か。前走マイル戦での経験をリセットできるだろうか。
前走1勝クラス【6-3-3-59】勝率8.5%、複勝率16.9%は単勝を狙う上ではポイントになる。その距離別成績はやはりマイルは【0-0-0-8】と厳しく、1800m【3-2-2-22】勝率10.3%、複勝率24.1%、2000m【2-1-1-23】勝率7.4%、複勝率14.8%と中距離からの転戦組を狙う。君子蘭賞を勝ったキミノナハマリアなどが候補に残る。
君子蘭賞は1000m通過1:00.5と前半はそこまでスローではなかったが、後半800m11.8-11.0-11.4-12.3でロングスパート型のいわゆる4ハロン競馬になった。キミノナハマリアはこの流れを好位3番手から上がり最速タイを記録し、2着に3馬身差をつけた。開幕週の東京芝2000m向きで注目だ。
キャリア1戦の前走未勝利は厳しいが、2戦以上の未勝利は【1-1-2-23】勝率3.7%、複勝率14.8%で無視できない。こちらの距離傾向もマイルだと【0-0-0-5】、1800m【0-0-2-11】複勝率15.4%、2000m【1-1-0-6】勝率12.5%、複勝率25.0%で中距離より。2戦目で阪神芝2000mを勝ったレシプロシティも候補に残る。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。
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