【共同通信杯】最適は父サンデーサイレンス系×欧州主流の配合 有力馬の血統解説

坂上明大

共同通信杯の傾向と血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

過去10年の出走馬から11頭のGⅠ馬が誕生している出世レース・共同通信杯。昨年もジオグリフが皐月賞、ダノンスコーピオンがNHKマイルCを制しており、今後のGⅠ戦線に向けても非常に重要な一戦です。血統面を中心に、共同通信杯のレース傾向を整理していきましょう。

最初に紹介したいポイントはノーザンファーム生産馬がとにかく強いということ。同週に行われるクイーンCでも目下7連覇中という圧倒的な成績を挙げていますが、共同通信杯においてもノーザンファーム生産馬の勢いは止まりません。毎年、紛れの少ない東京開催のステップレースに照準を当ててくる傾向にあり、ノーザンファームグループの素質馬にはいつも以上に注意が必要です。

ノーザンファーム生産馬(過去10年),ⒸSPAIA


血統面ではサンデーサイレンス系産駒が中心。東京芝1800mという直線勝負になりやすい日本の主流条件のひとつですから、日本の主流血統が中心という血統傾向は当然の結果でしょう。

該当馬も多いため全体での成績は水準よりやや上といった程度ですが、力が足りない可能性が高い単勝オッズ50倍以上を除けば、回収率ベースでも非常に優秀な成績となっています。何より過去10年の3着内馬30頭中21頭がサンデーサイレンス系産駒ですから、曾孫世代に変わりつつある現在においても中心の血統であることは間違いありません。

父サンデーサイレンス系(過去10年、単勝オッズ50倍未満),ⒸSPAIA


ただ、細かく見るとSadler's Wells=Fairy KingNureyevといった欧州の主流血脈の好走も目立つのが本レースの大きな特徴。3頭の種牡馬はいずれもNorthern DancerとSpecial牝系という血統構成で、Sadler's WellsとFairy Kingは全兄弟、Sadler's Wells=Fairy KingとNureyevは3/4同血という間柄です。

日本の主流系統であるサンデーサイレンス系を中心としつつも、Sadler's Wells=Fairy King≒Nureyevなどの欧州の主流血脈で底力を補うような配合形が本レースの最適血統といえるでしょう。

Sadler's Wells=Fairy King≒Nureyev(過去10年),ⒸSPAIA


血統解説

・ダノンザタイガー
母シーズアタイガーは2013年デルマーデビュタントS優勝馬。ノーザンファーム生産のハーツクライ産駒で、同陣営の今年の最有力は本馬でしょう。ただ、血統的にはもうひとつ欧州的底力が欲しいところ。父の産駒らしくトモの非力さも目立つだけに、現状はスローペースの上がり勝負がベターでしょう。

・ファントムシーフ
3代母Arriveは名繁殖牝馬Hasiliの全妹で、母母Promising Leadは名種牡馬Dansiliとほぼ同血という間柄。そして、本馬はDansili系ハービンジャーを父に配し、Dansili=Promising Leadの2×2と表記することができる野心的な配合形です。現状は強い近親交配のデメリットも見られず、雄大なフットワークで走るため東京替わりもプラスでしょう。Sadler's Wellsの血も内包し、ホープフルS以上のパフォーマンスが期待できる一頭です。

・レイベリング
Frankel×Docksiderというマイラー血統ですが、3/4同血のいとこCall The Windは芝4100mの仏GⅠ・カドラン賞を制し、母母BellaridaがLe Fabuleuxの3×3を持つなど、スタミナ豊富な牝系に属します。本馬自身も伸びのある馬体を有し、2000mまでは守備範囲でしょう。3代父にSadler's Wellsを持ち、その母母Specialを3/4同血のPumpで刺激した配合形も◎。実績面だけではなく、血統面からも注目度の高い一頭です。

共同通信杯の傾向と血統


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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