【AJCC】今年はバビットのマイペース? 落ち着いたペースならガイアフォース軸

佐藤永記

AJCCのラップ傾向から見る注目馬,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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仕掛けポイントは決まっているものの……

「AJCC」がアメリカジョッキークラブカップの略だ、ということは競馬ファンなら知っていて当然のことだが、筆者が「ウマ娘」で所属しているサークルメンバーは競馬初心者が多く、ほとんどの方が正式名称を知らなかったと聞いた。初心者にもやさしい表記を意識したいな、と思う一方で、アメリカ~と正式名称を書くと記事タイトルとしては長すぎて、サイトによっては途中で切れてしまう。するとなんの記事かわからなくなるので、略称を使いたくなる、という気持ちも編集者目線でわかるのだ。ネット記事はネット記事として紙媒体とは違った苦悩があることを再認識する次第である。

悩みは表記だけでなく今回のレース予想にも存在する。それは、過去を見ても展開次第で傾向が全く違うということだ。昨年のように上がり上位馬が後方から差し切った年もあれば、4角で前に取りついていた馬の上位独占となった2017年のような年もある。その年のメンバーによって優位となる戦い方が変わってしまうのがトリッキーな中山外回り2200mである、というのが如実に現れている。


AJCC 年別レースラップ,ⒸSPAIA


ただ一応、傾向らしきものを見るならば、不良馬場だった2021年を除く2016年~2022年は残り4~5F、つまり3角の下り坂からラップタイムが11秒台に入っている。基本的には3角下り坂からロングスパートを決められる馬を探すことになる。

今年は逃げのバビットがマイペースか

今年は明確な逃げ馬が少ないが、バビットが逃げそうだ。同コースを過去2回走っており、2020年セントライト記念では前半1200mまではずっと12秒台を刻んだ溜め逃げで逃げ切り、2022年オールカマーでは平均ペースで逃げて勝ち馬から0.5秒差4着としている。3度目となる今回、誰も競りかけてこなければこの馬が基準となるだろう。

2022年オールカマーは13頭立て。勝ったのは5番手から競馬したジェラルディーナ。2着ロバートソンキーは1角11番手から9-8-8と徐々に進出し、ロングスパートで上がり3F最速タイの脚を使って追い込んだ。3着は終始3番手だったウインキートス。バビットに対して競りかける馬がいなければ、先行好位の抜け出しと、ロングスパートができる馬が中心と考える。

先行組からは明け4歳馬のガイアフォースだろう。昨年、同コースのセントライト記念を6-6-5-4の通過順位で抜け出し優勝。前走は菊花賞なので度外視していい。古馬となった成長分もあれば本命候補だ。

ロングスパート候補にはエヒトを挙げておく。昨年のAJCCで勝負どころから抜け出せず9着だったのは気になるところだが、3列目の最内で追い上げるコースがなく、遅れて追い込んできていた。その後七夕賞では中団から外目を追い上げて優勝したように、決まれば破壊力がある。

狙いたいのはこの2頭だが、もしバビットに対してシャムロックヒルあたりが逃げ争いしてハイペースになった場合、後方からの強襲を考えねばならなくなる。その場合は復活期待のアリストテレスやレッドガラン、オープン昇級後3戦目のレインカルナティオなど、復調すれば、通用すれば、といった枕詞がついてしまう馬たちが候補となり、事前予想では挙げづらいところ。

なので今回はバビットのマイペース想定で展開決め打ちとして、3連複でガイアフォースを軸に、2列目エヒトとバビットのフォーメーションを考えたい。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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