【天皇賞(春)】大幅な距離延長に強い産駒、騎手、調教師を調査 友道康夫厩舎は関西主場で安定

東大ホースメンクラブ

距離延長に強い調教師,ⒸSPAIA

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距離延長に対応できるかはポイント

今週末はGⅠ・天皇賞(春)が京都競馬場の芝3200mで開催される。春古馬三冠の第二冠目となる伝統の一戦。昨年の菊花賞馬ドゥレッツァやGⅡ・阪神大賞典を5馬身差で完勝したテーオーロイヤル、鞍上に再びJ.モレイラ騎手を迎え巻き返しを図るタスティエーラなどが出走予定。昨年の王者が不在とあって難解な一戦になりそうだ。

今回の予想のポイントの一つに、急激な距離延長に対応可能かというものがある。日本のGⅠで最長となる3200mで行われる天皇賞(春)。阪神大賞典からなら200mで済むが、日経賞からは700m、大阪杯からは1200mもの大幅延長に対応しなければならない。

そこで今回は「大幅な距離延長で好成績の産駒、騎手、調教師」をテーマにデータ検証を行う。条件は「JRAの平地競走」で「前走芝2000m以上かつ今回500m以上の距離延長」だ(参照するデータは2014年4月26日~24年4月21日の過去10年分)。


長距離重賞ではオルフェーヴル産駒を狙うべし

500m以上の距離延長で好成績の産駒,ⒸSPAIA


<500m以上の距離延長で好成績の産駒>
オルフェーヴル【7-6-5-40】勝率12.1%/連対率22.4%/複勝率31.0%
エピファネイア【5-4-3-21】勝率15.2%/連対率27.3%/複勝率36.4%
ドゥラメンテ【5-2-2-15】勝率20.8%/連対率29.2%/複勝率37.5%

まずは産駒について。複勝率が30%を超えている産駒を取り上げる。

オルフェーヴル産駒は単勝回収率111%、複勝回収率91%と回収率の面でも高い数字を出している。さらに中山コースでは【2-1-2-5】で単勝回収率330%、複勝回収率137%と非常に優秀。ステイヤーズSで積極的に狙っていきたい。ちなみに母数は少ないが、ダイヤモンドSでも【0-2-1-1】で複勝回収率372%。大幅な距離延長でも超長距離重賞で頼りになる。ただ、京都コースでは【0-0-0-6】と馬券に絡めていない点には注意だ。

次に取り上げるのはエピファネイア産駒。こちらも菊花賞馬の産駒だ。複勝回収率は123%とプラス域。中山コースを得意としており【3-0-0-1】で勝率75.0%、単勝回収率は192%となっている。代表産駒のエフフォーリアやデアリングタクトも、天皇賞(秋)→有馬記念や桜花賞→オークスの距離延長を乗り越えており、大幅な距離延長は問題ないと見て良いだろう。また菊花賞は【0-2-1-3】で複勝率50.0%、複勝回収率173%。勝ち馬こそいないが今年のクラシックでも信頼できそうだ。

ドゥラメンテ産駒はリバティアイランド、タイトルホルダー、ドゥレッツァなど、距離延長にきっちり対応してくるGⅠ級の馬が多い。狙い目は札幌【2-0-1-1】で単勝回収率182%と妙味十分。いずれも下級条件での記録で、該当馬がいた場合は要チェックだ。ちなみに京都芝で500m以上の距離延長を乗り越え馬券に絡んだのは、今のところドゥレッツァのみだ。

今年の天皇賞(春)では、オルフェーヴル産駒はシルヴァーソニック、エピファネイア産駒はブローザホーン、ドゥラメンテ産駒はドゥレッツァが該当する。


岩田康誠騎手は平場で妙味アップ

500m以上の距離延長で好成績の騎手,ⒸSPAIA


<500m以上の距離延長で好成績の騎手>
岩田康誠【6-4-3-27】勝率15.0%/連対率25.0%/複勝率32.5%
武豊【5-4-5-26】勝率12.5%/連対率22.5%/複勝率35.0%
横山和生【4-2-3-14】勝率17.4%/連対率26.1%/複勝率39.1%

次は距離延長で好成績をあげている騎手について。

まずは岩田康誠騎手。阪神大賞典での信頼度が抜群に高く【3-0-1-1】で単勝回収率262%を記録している。一方、京都コースでは【0-1-0-11】で複勝回収率24%と振るわない点には注意したい。妙味の面では特別戦よりは平場が狙い目。平場のみに絞ると【1-2-1-6】で単勝回収率313%、複勝回収率110%とプラス域だ。

平成の盾男・武豊騎手も複勝率30%オーバーを記録。京都コースでは【4-0-2-9】で単勝回収率135%、複勝回収率115%と単複ともにプラス域だ。この条件で挙げた5勝のうち4勝が淀の3000m以上で、まさに「京都の鬼」である。天皇賞(春)や菊花賞では今後もマークが必要だ。

タイトルホルダーとのコンビが印象深い横山和生騎手は、単勝回収率458%、複勝回収率238%と妙味たっぷり。中山コースではサンプル数が少ないながら【2-0-1-0】で複勝率100%、単勝回収率3220%、複勝回収率813%を叩き出している。距離延長が疑われているときほど狙い目といえる。該当馬がいれば必ずヒモには入れておきたい。

今年の天皇賞(春)では武豊騎手がサリエラに騎乗予定。また、チャックネイトに騎乗予定の鮫島克駿騎手は【2-3-3-22】で単勝回収率235%、複勝回収率112%と妙味がある。その他、ドゥレッツァに騎乗予定の戸崎圭太騎手は【3-4-5-23】複勝率34.3%、タスティエーラに騎乗予定のJ.モレイラ騎手は【2-2-0-3】同57.1%、ブローザホーンに騎乗予定の菅原明良騎手は【2-0-1-11】同21.4%となっている。

また現在、負傷離脱中のC.ルメール騎手は【10-5-9-16】勝率25.0%、連対率37.5%、複勝率60.0%と抜群の成績を残している。人気馬に乗ることが多いが、単複回収率も75、95%を記録しており、復帰して該当馬に騎乗するときは要注意だ。


堀宣行厩舎がトップ

500m以上の距離延長で好成績の調教師,ⒸSPAIA


<500m以上の距離延長で好成績の調教師>
堀宣行【7-3-1-20】勝率22.6%/連対率32.3%/複勝率35.5%
池江泰寿【5-5-4-40】勝率9.3%/連対率18.5%/複勝率25.9%
友道康夫【4-5-6-37】勝率7.7%/連対率17.3%/複勝率28.8%

最後に距離延長で好成績の調教師について。

トップは堀宣行調教師。勝率は20%超え、単勝回収率も200%オーバーと非常に優秀な成績を残している。美浦所属の騎手を起用した場合は【0-1-0-9】と狙いづらいが、栗東所属の騎手を起用した場合は【3-1-1-10】で勝率20.0%、単勝回収率474%と素晴らしい。また、短期免許の外国人騎手の場合も【4-1-0-1】とパーフェクトに近い成績を残している。ちなみに4勝はすべてアルバートとR.ムーア騎手のコンビによるものだ。

2位は5勝で池江泰寿調教師。サトノダイヤモンドの菊花賞が今回の条件に該当している。ローカルの長距離戦に出走してきた時が狙い目で【2-3-1-6】複勝率50.0%。複勝回収率も154%と黒字で、ヒモに入れておいて損はない。

3位は4勝で友道康夫調教師。こちらはワールドプレミアの菊花賞が今回の条件に該当。関西の主場が特に強く、京都は【1-2-2-9】で勝率こそ7.1%だが、複勝率35.7%、複勝回収率156%となかなかの数字。阪神も【3-2-0-7】勝率25.0%、複勝率41.7%、単勝回収率117%、複勝回収率111%とハイアベレージだ。

今年の天皇賞(春)では、タスティエーラとチャックネイトが堀厩舎、シルヴァーソニックが池江厩舎に該当する。そのほかテーオーロイヤルの岡田稲男厩舎は【2-1-0-3】で単勝回収率195%と良好。一方、サリエラの国枝栄厩舎は【1-1-5-24】で同23%と狙いづらい数字となっている。

サリエラに関しては騎手、厩舎データのどちらを上にとるかが悩みどころ。あくまで参考だが、今回の条件で武豊騎手×国枝栄厩舎のタッグは20年阪神大賞典のボスジラと22年天皇賞(春)のハヤヤッコの2頭が該当して、いずれも着外に敗れている。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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