【天皇賞(春)】「前走で阪神大賞典勝ち」は複勝率77.8% テーオーロイヤル最有力もドゥレッツァの成長力にも注目

勝木淳

2024年天皇賞(春)に関するデータ,ⒸSPAIA

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菊花賞1、2着の明暗

21世紀に入ってから春の盾に前年菊花賞1、2着がそろって出走したのはわずか6回。過去6回の対戦では菊花賞馬の3勝3敗。このうち天皇賞(春)を勝利したのは03年ヒシミラクル、19年フィエールマンの2頭。残る一つは17年3着サトノダイヤモンド、12着レインボーライン。

逆に菊花賞から逆転したのは3例。04年13着リンカーン、16着ザッツザプレンティ、12年3着ウインバリアシオン、11着オルフェーヴル、そして昨年6着ボルドグフーシュ、11着アスクビクターモア。ライバルを倒し、GⅠをつかんだ例は21世紀に入ってからはない。

そろって出走という縛りをなくし、前年の菊花賞2着馬に焦点を当てると、【0-0-2-10】。3着はクリンチャー、ウインバリアシオンにとどまり、残る10頭は4、1、1、2、6、4、7、2、2、3番人気と期待されながらも敗れていった。このなかにダービー馬はいないが、タスティエーラにはイヤなデータになってしまう。

菊花賞馬が翌年の天皇賞(春)を勝ったのは今世紀でマンハッタンカフェ、ヒシミラクル、ディープインパクト、キタサンブラック、フィエールマン、タイトルホルダーの6頭。ドゥレッツァは3200mのここではタスティエーラにもその他ライバルたちにも負けられない。データは阪神施行の2年間も含めた過去10年分を使用する。

天皇賞(春)の人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【3-3-0-4】勝率30.0%、複勝率60.0%、2番人気【5-0-1-4】勝率50.0%、複勝率60.0%と人気馬は簡単には崩れない。真っ向勝負の淀の2マイルは波乱の場面も過去にはあったが、なかなかひっくり返すのは難しい。4、5番人気の間に壁がある印象で、基本は上位4頭を中心に組み立てたい。

天皇賞(春)の年齢別成績,ⒸSPAIA


中心は4歳【4-2-4-30】勝率10.0%、複勝率25.0%、5歳【5-3-1-38】勝率10.6%、複勝率19.1%だが、馬券のポイントは6歳【1-4-2-33】勝率2.5%、複勝率17.5%、7歳以上【0-1-3-35】複勝率10.3%だ。6歳以上の馬券絡み11頭のうち、6頭が6番人気以下。今年は6歳テーオーロイヤルもいるが、強いて穴を狙うならベテランだろう。

テーオーロイヤルを崩せるか

4、6歳の人気馬の間に入る5歳は牝馬サリエラ、今年好調のブローザホーン、長距離で崩れないワープスピードなど個性派が並ぶ。割って入れる候補はここにもいるだろう。

天皇賞(春)の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別はほぼGⅠかGⅡ。さすがは権威ある伝統の盾だ。前走国内GⅠ【2-1-0-5】勝率25.0%、複勝率37.5%は、大阪杯が【1-1-0-3】勝率20.0%、複勝率40.0%。17年キタサンブラックは大阪杯とここを連勝、18年シュヴァルグランは大阪杯13着から2着に巻き返した。大阪杯11着タスティエーラは2000mが短いと判断するなら、託す価値はある。内回りで1分58秒台の高速決着は合わない。時計がかかってほしいタイプでもあり、長距離参戦はポジティブに考えるべきだ。

天皇賞(春)の阪神大賞典着順別成績,ⒸSPAIA


大半を占めるのは前走GⅡ【8-8-8-101】勝率6.4%、複勝率19.2%。このうち阪神大賞典は【3-5-4-49】勝率4.9%、複勝率19.7%。10年で61頭のところ、今年は8頭も登録してきた。その着順内訳は1着【3-2-2-2】勝率33.3%、複勝率77.8%と群を抜いている。裏を返せば、2着以下はデータから拾う根拠が薄い。テーオーロイヤル有力は揺るがない。

阪神大賞典は1000mごとに区切ると、1:03.7-1:05.2-57.9。ラスト5ハロンすべて11秒台と長距離戦のなかでもハイレベルなラップ構成になった。これを3番手から抜け出し5馬身差。よほど淀の坂と相性が悪くない限り、京都初出走のテーオーロイヤルが崩れる場面は想像できない。むしろ見どころは先行するテーオーロイヤルにライバルたちがどんな競馬で挑むのか。気分よく走られては阪神大賞典の再現になってしまう。イチかバチかの勝負を楽しみにしよう。

日経賞は【3-2-3-42】勝率6.0%、複勝率16.0%。5着以内【3-2-3-25】で4着マテンロウレオは圏内に残る。ドゥレッツァの金鯱賞はサンプルが少ない。ただ、菊花賞以来の休み明けで2000m戦出走という状況を踏まえれば、2着は上々の結果ともいえる。菊花賞でタスティエーラにつけた3馬身半差は決定的ではないか。昨秋からの2戦で馬体重は16キロも増え、明らかに成長曲線は上向き加減。確実に菊花賞よりパフォーマンスをあげてくる。

2024年天皇賞(春)に関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。



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