【東海S】ハギノアレグリアス、重賞初制覇の好機到来! 大穴候補はデルマルーヴル

勝木淳

東海Sインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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1番人気は手堅いものの

23年GⅠ開幕戦フェブラリーSまで1カ月ちょっと。早くもその前哨戦が行われる。しかし、東海SはフェブラリーS前哨戦というより、同舞台のチャンピオンズCの続きといったニュアンスが強い。暮れのGⅠで力を出せなかったコース巧者がさながら敗者復活戦のように巻き返すイメージだ。今年はスマッシングハーツやオーヴェルニュがそれに近いが、はたしてどうだろうか。データは京都で行われた2020年を除く過去9回分を使用する。


過去10年(京都開催除く)東海S人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【5-1-2-1】勝率55.6%、複勝率88.9%で手堅い。中京実績を備え、かつ近走重賞で好走していると、1番人気に押されがちだが、そういった馬は基本、崩れない。勝ち馬は7番人気以内だが、2、3着は18年13番人気2着コスモカナディアン、21年12番人気3着メモリーコウなど油断ならない。3連系では相手候補を広めにとってもいい。


過去10年(京都開催除く)東海S年齢別成績,ⒸSPAIA


厳冬期、かつダート中距離となると、ベテラン勢は侮れず、5歳【5-3-3-21】勝率15.6%、複勝率34.4%を中心に6歳【1-1-4-35】勝率2.4%、複勝率14.6%、7歳以上【2-4-0-39】勝率4.4%、複勝率13.3%。年下の4歳は【1-1-2-12】勝率6.3%、複勝率25.0%と質量ともに目立たない。今年も4歳は昇級ウェルカムニュースぐらい。5歳中心に6歳以上に目線を置こう。


今年は微妙な前走チャンピオンズC

今年は6歳ハギノアレグリアスや7歳オーヴェルニュ、スマッシングハーツ、ゲンパチルシファーなどベテラン勢が例年以上に多い。いったいどんな好走パターンがあるのか。戦歴を振り返りながら探っていこう。


過去10年(京都開催除く)東海S前走クラス別成績,ⒸSPAIA


このレースの前走クラス別成績で目立つのは前走地方【2-2-1-9】勝率14.3%、複勝率35.7%。その内訳は東京大賞典【2-1-0-4】勝率28.6%、複勝率42.9%、名古屋GP【0-1-0-3】複勝率25.0%といった感じ。名古屋GP経由で2着に好走した18年チュウワウィザードは名古屋GPを勝利していた。2着以下【0-0-0-3】。


過去10年(京都開催除く)東海S前走チャンピオンズC組着順別成績,ⒸSPAIA


JRAのGⅠではチャンピオンズC【2-2-3-9】勝率12.5%、複勝率43.8%が目立つ。毎年ここがポイントになるので、整理しよう。まず前走着順別では4着以内【1-0-1-4】、6着以下【1-2-2-5】。なかでも6~9着だと【1-1-0-1】勝率33.3%、複勝率66.7%。スマッシングハーツ、オーヴェルニュが該当する。


過去10年(京都開催除く)東海S前走チャンピオンズC組着順別成績,ⒸSPAIA


チャンピオンズC6着以下の位置取り別成績を出すと、先行【0-1-1-1】複勝率66.7%、中団【0-0-0-4】、後方【1-1-1-0】勝率33.3%、複勝率100%でなぜか中団だけ好走がない。前で頑張ったか、後ろで追走に苦労したかが肝になる。先行したオーヴェルニュが候補。ただし、昨年のチャンピオンズCは最初の600m37.0、1000m通過1:02.4、最後の600m36.9と緩めに流れた後半勝負だった。オーヴェルニュは流れが向いた割に踏ん張れなかった。


大穴データは前走師走Sにあり

ほかではハギノアレグリアスの前走みやこSは【0-2-0-4】複勝率33.3%。この6頭はいずれも6着以下に負けており、2着ハギノアレグリアスはそれ以上も期待したくなる。みやこSは前半600m37.3、1000m通過1:01.7、後半600m37.4。400~600m13.7と緩んだあと、12.3-12.1とペースが上がる不安定なラップ構成だったので、先行して2着に粘ったハギノアレグリアスは評価できる。あえてチャンピオンズCに向かわなかった理由が気になるが、無理しなかったならここは全力でくるだろう。

OP組からベテルギウスS【2-0-0-19】について。成績が極端で狙いづらいが、傾向としては2着以内【2-0-0-4】、3着以下【0-0-0-15】なので、3着ハヤブサナンデクンより勝ったサンライズウルスを上位にとる。

このレースは前半600m37.0、1000m通過1:01.5、後半600m37.8で前半早めで上がりをやや要する流れだった。ハヤブサナンデクンは3番手から進め、3コーナーで積極的に逃げ馬を捕まえに行った分、最後甘くなった。対してサンライズウルスは中団インで揉まれながら、勝負所でじわじわと動き、最後はインを抜けてきた。流れ的にはハヤブサナンデクンを評価したくなるが、サンライズウルスも展開が味方した面があるとはいえ、昨秋はオープンで2、2、1着と安定感が出ており、データ通り評価しても面白い。

最後にデルマルーヴルが該当する前走師走S4着は【0-1-1-1】。好走2頭は9、10番人気で妙味を感じる。師走Sは前半600m35.8、1000m通過1:01.4、後半600m37.9でキタノヴィジョンがドン尻一気を決めた。デルマルーヴルも4コーナー9番手からしぶとく脚を伸ばした。良馬場であれば最後に時計を要する今の中京は合いそうだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。


東海Sインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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