【AJCC】伝統のGⅡは今年も難解! ここで復活か、アリストテレス
勝木淳
ⒸSPAIA
主力は5、6歳
前半はハイペースで日程を消化した冬の中山も気づけば最終週を迎える。そのメイン・アメリカジョッキークラブCは今年64回目を迎える。昨秋のGⅠで好勝負を見せた古馬や、そんな一線級と戦う春に備える4歳馬などタレントが揃う伝統のGⅡだ。ただし、最近は厳冬期に行われることや極力レース出走数を控える傾向などから以前より混戦模様になる年が増えた。その分、馬券のハードルは上昇しており、名前で買えるレースではなくなりつつある。全馬しっかり検討して挑もう。データは過去10年間のものを使用する。
1番人気は【2-3-0-5】勝率20.0%、複勝率50.0%と直近10年で好走は半数になった。それでも3番人気以内7勝、複勝率はここまで50.0%キープで上位人気は拮抗している。一方で7番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%など穴っぽいところも走る。昨年は11番人気マイネルファンロンが2着に入り大穴を提供、人気の死角に入る実績馬にも気を配りたいところだ。
年齢別では今年の主力世代にあたる4歳は【2-4-3-14】勝率8.7%、複勝率39.1%でやや勝ちきれない。斤量差が縮んだばかりの冬は年上に分がある重賞が多く、ここもその一つだ。勝率ベースでは5歳【3-1-3-21】勝率10.7%、複勝率25.0%、6歳【4-1-3-28】勝率11.1%、複勝率22.2%が上で、基本的に年上が強い。
前走GⅠ大敗組こそ買い
4歳もいいが、単勝は5、6歳という傾向を頭に入れつつ、次に前走クラスから戦歴を比較、具体的に好走パターンにハマる馬を探してみたい。
GⅡ格にふさわしく前走GⅠが【4-4-1-26】勝率11.4%、複勝率25.7%と優勢だ。今年も前走菊花賞のガイアフォースなど該当馬が多い。
具体的なレース名をあげると、前走有馬記念【2-0-0-10】勝率、複勝率16.7%、菊花賞【1-3-0-5】勝率11.1%、複勝率44.4%、天皇賞(秋)【0-1-0-2】複勝率33.3%といった感じだ。今年はアリストテレスが有馬記念14着だが、前走有馬記念は6~9着【1-0-0-3】、10着以下【1-0-0-6】。二桁着順からは14年ヴェルデグリーンが10着から巻き返した。アリストテレスと同じ6歳でのことだった。
ガイアフォースが該当する前走菊花賞は、前走2着以内【1-1-0-1】、6~9着【0-2-0-2】。菊花賞好勝負なら胸を張って推せるが、ガイアフォースは8着に敗れた。当舞台でセントライト記念を勝った実績がありノーマークは禁物も、それだけで飛びつくのは危険だろう。
また前走天皇賞(秋)好走は前走17着の13年トランスワープ2着がある。ノースブリッジ、バビットは大敗後でも見限れない。そしてユーバーレーベンの前走ジャパンCは16年ショウナンバッハ3着。こちらも12着からの巻き返しだった。ユーバーレーベンは中山より東京向きである点は気になるが、このメンバーなら好走して不思議はない。
前走GⅡの好走馬は大半が暮れ施行の金鯱賞なので、かわりに前走GⅢ【1-5-4-28】勝率2.6%、複勝率26.3%を検討する。目立つのは前走福島記念【0-2-0-2】複勝率50.0%だが、2着2頭は福島記念1、2着馬で、10着シャムロックヒルは飛びつけない。
重賞組がデータ上、少し頼りないところがあるので、前走3勝クラス【1-0-1-12】勝率7.1%、複勝率14.3%にもスポットをあてる。ここは距離に注目で、前走2000m【1-0-0-1】、2200m【0-0-1-5】。やや短い1800mは【0-0-0-3】、2400m以上【0-0-0-3】。買うなら前走1800mの4歳エピファニーより2200mだった5歳スタッドリーか。ただし昇級組は4歳【1-0-1-2】に対し5歳【0-0-0-4】で全体の傾向と逆である点に注意しておきたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。
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