【2歳馬ジャッジ】ビッグシーザーが中京2歳Sを朝日杯FSと同等指数で快勝 今後のGⅠ、重賞戦線での大活躍に期待

山崎エリカ

12月3週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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12月3週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は朝日杯FSを無傷の3連勝で制したドルチェモア、中京2歳Sを朝日杯FSと同等の指数で勝利したビッグシーザーなどが出た、12月17、18日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

12月17日(土) 中山2R 優勝馬 フラッパールック 指数-14(ダート) 評価A
10月の新潟新馬戦は好位直後の中目を追走していたものの、3角で外から被されたことで怯み、前から離されてしまったフラッパールック。最後の直線ではジワジワと脚を伸ばし4着だったが、特に目立つような内容ではなかった。今回はデビュー2戦目、スムーズなレースなら変わる要素はあったが、2番人気はやや過剰人気のように感じた。

レースは11番枠から速いスタートではなかったが、加速がつくと好位まで上がっていき、そのまま道中は2番手を追走。隊列は変わらず4角を迎え、直線に入ると逃げていたマーゴットミニモを目標に抜け出しを狙った。しかし、前がなかなか止まらず2頭による叩き合いに。結果は上位2頭で3着馬に10馬身以上の差をつけてのゴールだった。

フラッパールックが今回記録した指数は古馬1勝クラスレベルを上回る優秀なもの。デビュー2戦目で指数、レース内容がここまで激変したのは母がダート重賞で大活躍したワイルドフラッパーの血がなせる業か。今後ダート路線でかなりの活躍が期待できる。

また、逃げて2着だったマーゴットミニモは今回が初ダート。それで古馬1勝クラス級の指数を記録、近いうちに未勝利クラスは突破するだろう。もちろん、その後の活躍も楽しみだ。

12月17日(土) 中山5R 優勝馬 セリオーソ 指数-3 評価A
17頭立ての新馬戦で16番枠から出遅れたセリオーソ。しかし、出遅れたことが結果的には良い方に出て、馬群の切れ目から1角までに最内に入り込むことができた。向正面では中団の最内からひとつ外に出して徐々に位置を上げ、4角手前までには前を射程圏に入れていた。

直線入り口でスムーズに外に出されると、前を行く馬たちを一気に飲み込む素晴らしい末脚を見せた。豪快なフットワークで突き抜け、3馬身差の圧勝。ラスト2Fは11秒9-11秒8と減速せず。良い脚を長く使えるタイプで距離が延びて楽しめそう。今後の上昇が期待できそうだ。

12月17日(土) 中山7R 優勝馬 グランベルナデット 指数-6 評価A
前走ミシシッピテソーロが勝利した新馬戦では1番人気に支持されたものの、1番枠から出遅れ&最後の直線で前がしばらく壁で能力を出し切れなかったグランベルナデット。今回は約半年の休養明けで一気の距離延長。クリアするのはそう簡単ではない臨戦過程だった。

レースは前走から一転、11番枠から好発を決め、行きっぷりよく道中は3番手の外目を追走。3~4角で促されると4角では外から早々と先頭に立つ強気な競馬を見せ、そのまま後続を突き放して3馬身差の勝利を決めた。休養明けは苦しくなりやすい自ら動く競馬、それも一気の距離延長をクリアしたことから、かなりの潜在能力の持ち主と見る。今後が面白そうだ。

12月18日(日) 阪神4R 優勝馬 ショウナンバシット 指数-8 評価A
セレクトセールで2億8,600万円で取引きされ、新馬戦では1番人気と注目されていたショウナンバシット。同レースではやや出遅れ、少し折り合いを欠く場面もあったが、好位から伸びきれずの3着だった。今回はデビュー2戦目、確かにこのメンバーでは指数上位だったが、断然の1番人気にふさわしい馬かは半信半疑だった。

レースは4番枠から五分のスタートを決め、好位直後の中目のポジションを付けた。ここは緩みないペースで流れたことで3~4角では包まれていたが、直線序盤では前が開いた。そこから一気に抜け出す脚が素晴らしく、外から迫るライバルを競り落とし、最後までしっかりと伸び2馬身半差の快勝。記録した指数は1クラス上でも通用する優秀なものだった。

2戦目でここまで一気に上昇したのはさすが高額取引馬と言うべきか。今回はレースが流れて能力を出し切りやすかった点はある。今後も過剰人気になりそうな馬ではあるが、やはり強くなるのだろうか。

12月18日(日) 阪神5R 優勝馬 マイネルラウレア 指数-1 評価A
8番枠から五分のスタートを切ったが、コントロールして控えたマイネルラウレア。かなりゆったりした流れを後方追走する形となった。4角ではまだ後方、前を行く馬たちは当然余力があり絶望的な展開。直線ラスト1F地点でも後方、外に出されて進路を作っても届きそうな気配はなかった。しかし、そこからグイグイ伸びてゴール前でギリギリ差し切った脚には驚かされた。

ラスト2Fは12秒0-11秒4と急加速。この流れをラスト1Fだけで差し切り、かなりの瞬発力を秘めていそうだ。この新馬戦は決着指数が優秀ではないが、本馬の驚きの瞬発力は覚えておきたい。

12月18日(日) 阪神11R 優勝馬 ドルチェモア 指数-15 評価A
今年の朝日杯FSは現 2歳世代の指数上位馬が揃ったわけではなく、戦前の段階からやや平凡決着になるのではと予想された。優勝したのは内枠有利な馬場状態を生かし切ったドルチェモア。決着指数はやはり前週の阪神JFには劣ったが、近年の同レースと比較をすると、やや指数面で見劣るものの、そこまで悪いわけではなかった。

ドルチェモアは2番枠からトップスタートを切り、そこからコントロールして2列目の最内。また速い流れを好位から伸びて勝利しており、そこは高く評価できる。朝日杯FSを勝利し3戦3勝、負け知らずなのもいい。

2着ダノンタッチダウンは12番枠と外枠の不利があったが、鞍上の好騎乗で中団の最内に入り込み、最後の直線で外に出して素晴らしい末脚を見せた。当然今後も楽しみだ。

3着レイベリングはやはりキャリア2戦目でも通用する潜在能力の高さだった。14番枠から好位の外、勝ちにいく競馬での3着は内容が濃い。まともなら今回の出走メンバーでは一番強くなりそうだ。ただ新馬戦の当コラムに記した通り、今回の激走は負担が大きいはず。今後は体調面に注意してほしい。

4着キョウエイブリッサは1番枠を生かして、好位の最内を追走しての好走だった。しかし、新馬戦は不適なダートを使われた馬の伸びしろの大きさを見せつける結果だった。デビュー戦で不適な条件を使われた馬、大敗した馬のほうが軌道に乗れば伸びしろは大きい。かつての三冠馬シンボリルドルフの新馬戦は芝1000m、ナリタブライアンは芝1200mで負けていたことは理解しておきたい。

12月17日(土) 中京9R 優勝馬 ビッグシーザー 指数-15 評価AA
今年の中京2歳Sはとても楽しみな一戦だった。福島2歳Sで今年の大半の2歳重賞と同等な指数を記録して勝利したビッグシーザー、さざんか賞を重賞レベルの好指数でレコード勝ちしたミルトクレイモー、さらに新馬戦をラスト2F11秒3-11秒1の末脚で勝利し非凡な瞬発力を秘めるヤクシマ。さらに1勝クラスとしてはかなり優秀な指数での決着となった一戦を、逃げて好指数を引き出した快速馬トレンディスターなど、好メンバーが揃っていたからだ。

レースは逃げたトレンディスターを見ながら、3番手でレースを進めたビッグシーザーが最後の直線で楽な手応えで前を捕らえて快勝。同馬が記録した指数は同週に行われた朝日杯FSと同等なもの、今回も強かった。昨年の中京2歳Sでも、朝日杯FS3着相当の好指数で勝利したジャングロが、後にニュージーランドトロフィーを優勝。今後のビッグシーザーへの期待も大きくなる。

2022年12月3週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ビッグシーザーの指数「-15」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.5秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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